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チサと大奥  作者: 五木カフィ
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家光と出会うチサ そうして、、、、

「では これから好きになってくれぃ」と

優しく言うとチサは フッと笑って

「それはなんとも 申し兼ねます」

「だめか」

「先の事は分かりません。これからお付き合いして見なければ」

「お付き合い?」

「はい いろいろな事を話し合って 私が上様というお方を

 良く知り 上様も私という女を良く理解して下さった上で

 なおかつ愛情があれば 私は上様を愛するようになるでしょう」

「それには どのくらいかかるのじゃ」



チサは可笑しくなった。上様はまるで坊っちゃんみたいな

ところがあると思う。

「それも分かりません。男と女が愛し合うようになるのに

 いつまで等と限ること等無理です。

 10日で意気投合する時もあれば1年かかる時もあります」

「1年か 長いのぅ そうか では待とう。

 そちがわしを好きになるまで あっ そうであった。

 わしもそちを心から愛しいと思うようになるまで

 それでいいのであろう」と

家光は晴々とした顔でそう言った。

事実 彼の心はいつになく晴れやかだった。 女と話していて

こんな気分になったのも久しかった。 しかしチサは


「もし 私がいつまでたっても上様を好きになれなかった

 なら自由の身にして下さいますか」と

憎たらしいことを聞く。 家光はちょっと驚いた。

「それほどわしは そちに嫌われる顔をしておるのか」と尋ねる。

先日 チサが言っていた熊みたいな男という言葉が 胸にあった。

それを聞いてチサは 鳩みたいにクックッと笑い

「どうひいき目に見ても 素晴らしいとは言い兼ねますが

 男らしい魅力のあるお顔立ちではございます」と

臆することもなく 言い切ってまた低く笑う。


家光はホッとしたような腹立たしいような 妙な気分で

「左様か そちは美しい男が好きなのじゃな。

 わしの側女では不服じゃと申すのか」と

少し恐い顔をして問うた。 しかしチサは平気な様子で

「いいえ 美しいだけで中身のない男は嫌いでございます」


家光は手玉に取られたような心持ちになった。

そうこうしている内に夜も更けて 本当に寝なければならない

時刻になる。夜具はふた揃い  家光は南側の布団に

チサは北側に敷かれていた。

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