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チサと大奥  作者: 五木カフィ
141/150

名前は愛姫(いと姫)

チサの子が姫君だったことは すぐに知れ渡っていて

聞いたお玉は安心した。姫様だったら我が子徳松の競争相手には

ならないからである。

一夜明けて 家光は朝の仏間拝礼の後 その足で北の御部屋に向かった。

母子ともに異常なく健康であると聞かされても 自分の眼で見たかったし

親としての自然な感情もある。



部屋に入るとチサは 布団の上に起き上がり畳で作った寄り掛かりを

背にして待っていた。

「チサ 変わりはないか?」 ここでも家光はまずチサを気づかう。

「はい みなの力添えのおかげで無事 産む事が出来ました」と

答えるチサの いつもと変わらぬ姿に家光もホッと安心する。

見れば肌の艶も良く ひと皮剥けたというか女ぶりも上がったようだ。



次に彼は隣の小さな布団に眠る娘を見た。

今まで見た3人の息子達より しっかりとした顔つき

生後半日以上過ぎて また一段と可愛いらしくなっていたのだった。

元々 家光の母は戦国一の美女と言われたお市の方の娘である。

俗に女の子は父親に似るというから お市の方の血を引いていても

不思議ではなかった。



「可愛い姫じゃな」  第一声がそれであった。

「はい」  答えるチサも女達も

もちろんお万の方も嬉しそうに頷く。 家光はその後もお七夜を

向かえるまでに2回 チサと娘を見に寄った。



そのお七夜に名前が決まり 大奥でのお披露目がある。

チサはまだ産褥にある為 乳母の正子が姫を抱いて代行するのだった。

チサの子の名前は 愛姫(いと姫)と名付けられた。

家光の第一声が{可愛い姫}と言ったのが考慮されたのかも知れない。



「愛姫 いとしい姫 愛ちゃん」 チサはつぶやく いい名前だった。

この日からチサは中臈ではなくお部屋様 おチサの方になった。

そうなると今まで同居していた お万の方の部屋から出なければならない。

お万の方の部屋は長局の右角にあり 続いて年寄り筆頭和島の部屋 

姉島とお里沙の部屋 二つおいて花岡 続いてお玉と徳松の部屋 

他にもいくつか部屋があって左角は 亡き春日局が使っていた部屋があった。



お万の方は年寄り達と相談し 局が部屋親だったチサを後に入れる事にした。

隣の部屋は年寄り仲里である。ついでに今まで4人だった年寄りを一人増やし

5人にする事にした。

元々5人だった年寄りの一人 波野はお夏の方に付いて天樹院館に行った為

4人になっていた。



そこでお万の方は チサと親しいお客会釈の梅山を年寄り職にして

仲里の隣の部屋を与えた。

一の側の中ほどにあるお玉の方 花岡に対する牽制とも言おうか、、、、



愛姫が生まれて3週間後 チサは元いた春日局の部屋に

娘と共に戻ってきた。

およの達3人とお万の方の部屋にいた女達も3人 新しく雇った者5人

それに正子であった。

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