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チサと大奥  作者: 五木カフィ
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竹千代の驚き

お楽にとっては竹千代の弟か妹が産まれるような喜び方である。

それにひきかえお玉は 北の御部屋に移る頃になっても

悪阻が治まらず 美しい顔に凄惨さを増し花岡でさえギヨッとする事が

あった。 お玉は我が身にひきかえ家光 お万の方 お楽の方と

味方の多いチサに対抗しなければならないストレスがさらに体調を崩す

原因で あったろうがますます男子誕生を願い 加持祈祷にのめり込む。



北の御部屋というのは産室であり この部屋に入ると中臈といえども御台所と

同じ扱いになる。一つの部屋でなく身の周りを世話する女中や産婆の控え室等

附属の間が三つ四つ 付いていた。

お玉がその部屋に移った頃 チサはすっかり元の元気を取り戻して

家光が仏間拝礼を済まし お小座敷で休息する時にお万の方と共に

顔を出すようになっていた。



家光は愛しげに二人を見やり 

チサには十分に身体に気をつけて 元気な子を産んでくれと声をかけ

お万の方には(チサの事を頼んだぞ)と 目顔で頼んだ。

お万の方も心得たもので 

「上様 ご懸念なきように、、、、 チサは悪阻も軽く良く動いて

 おりますので食も進むようになりました。

 医師も驚いております」と 言上



家光は

「チサ 元気はいいが無理は致すな」と いたわりの言葉をかけ中奥に戻る。

この話しがまた 北の御部屋の女中達の耳に入り 悋気の炎を燃やすお玉がいた。



一方 チサはみなに支えられて 初めの不安も消えつつあった。

お腹の膨らみも ほんの少し出てきたように感じていっそう妊婦としての

心構えが出来てきた。

そう チサは 今では自分の中で折り合いをつけていた。

今 この身に宿る新しい命

チサが20世紀に育った者だとしても それは関係なく日々成長する命

それを勝手に摘む事は出来ないし その術もなかった。

それよりも何としても守りぬかねばという強い願いが芽生えていた。

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