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チサと大奥  作者: 五木カフィ
114/150

梅山 更年期障害に、、、、

また この日には注連飾りをお広敷や御膳所に飾る。

こうしてチサは五度目の正月を向かえた。

大奥では御台所不在の上 春日局も他界しているので大きな行事は

行わず元旦は 将軍お成りの時 大奥を代表してお万の方が

年頭の祝い言を述べ それを受けた後早々に表に戻る。



表御殿にて御三家や譜代大名からの年頭の挨拶を受ける。

大名には時服を与えた。2日には御三家の嫡子 外様大名

大身の旗本などから同じく年頭の挨拶を受け 3日は

無位無冠の大名や寄り合い 諸用達しの町人などからも挨拶を受けると

このように 毎日 忙しいのであった。



大奥では2日に書き初めがあり 4日にはお弾き初めと言い

お茶の間においてお次の女中達が 三弦を合奏し御祝儀の曲を演奏した。

5日になるとだいぶ落ち着いてきて この日は将軍自らお目見え以上の

奥女中達にお酌をする お流れ頂戴の式がある。

お年寄はじめみなが 緊張するひと時であった。



家光は いたずら心を出してお酌をする時

わざと杯に酒をなみなみと満たして 女達が粗相をしないようにと

困る様をおもしろそうに眺める。

日頃 厳めしい顔付きのお年寄達も このいたずらには悩む。

しかしそこは家光も心得たもので 和島のような本当の年長者には

あまりなみなみとは注がず 若い女には杯をいっぱいにするので

お玉やお里沙もこぼさぬようにと すればするほど緊張して手が震える。



やっと飲み干し杯を返してホッとひと安心。

チサにも家光は容赦なく こぼれぬばかりに杯を満たす。

だが そこは反抗心豊かなチサのこと、、、、

家光をチラッと見上げ ひと膝前に進み出るような仕草で

杯を口にではなく 口を杯に近づけてクイッと飲んでしまった。

行儀作法も何もあったものでは無い。



家光にはあの世で顔をしかめる春日局の姿が

ありありと眼に浮かんだ。

呆れるお万の方 はしたないと蔑むお玉達 

しかしチサは素知らぬ様子で杯を返す。

これには苦笑するしかなかった。



そうして7日には七草粥を 11日には鏡開きをしてお汁粉を食し

また 御対面所に飾ってあった餅や 諸家より献上された餅を賄い所の役人が

割って奥女中達に配られた。 その大量の餅を煮たり焼いたり または親元に

送ったりする者もいた。



チサなどは たくさん貰っても食べ切れる物ではないのでおよのや

おこう達侍女にみな分け与えた。

正月も過ぎ寒さが厳しくなった頃 いつも将軍が大奥にお渡りの時の世話役

接待係の梅山が勤めを休んだ。

チサがこの世界に来た時は 梅山の部屋に付属の庭だった。



どうかしたのかと思い 部屋の者に尋ねると軽い風邪だと答えた。

風邪ならばこの季節 珍しくはないと思い少し様子を見てから見舞いにと

思っていたが 梅山はひと月過ぎても回復しないらしかった。

さすがにおかしいと思いチサは二の側にある梅山の部屋を

およの おこう かな江の3人と共に訪れた。



チサとおよのにとっては懐かしい部屋である。

チサ達の居る一の側と比べ 少し部屋の造りが狭いとはいえ

二階もあり一軒家と同じ位の広さがあった。

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