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クルト〜冒険の正体〜  作者: 氷原結
第二章 修行の旅路
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第18話 ハンターギルド



 少し時間はかかってしまったけれど無事フィルラントの街に入ることができた。


「すごいですねディートさんっ。いろんな食べ物が売ってますよ!美味しそうな匂いがたくさんします!」


「そりゃあ屋台通りだからなぁ」


 街に入れたのが15時過ぎだったため、遅めの昼食ということでまず屋台通りに向かった。

ティルゴの町にも屋台はあるにはあったが宿屋の子供が食堂で余った食材を使った軽い料理を売り歩くくらいのもので、ここの街みたいに屋台のみで稼いでいるようなのはなかった。しかもそれが通りと言えるほどの数ずらりと並んでいるので興奮が収まらない。

 

「ま、とりあえず色々食いながら歩くか」


「はいっ!」


 そうして、5つほど屋台を周り空腹感もなくなったところで屋台通りを後にする。


「次はどこにいくんですか?」


「とりあえずは宿だな」


 というわけで宿を探すと驚くことに、フィルラントの街には宿屋がたくさんあった。

いやこの街の人の多さを考えれば当然なのかもしれないけれど、僕にとって宿は町に1つか2つくらいのイメージしか持っていなかったのでこんなにもたくさん宿屋があることに驚いてしまったのだ。


「こんなにたくさん宿屋があるとどこに泊まればいいのかわかりませんね」


「そういう時は、自分の求めるもの似合うものを探せばいいんだよ」


「求めるもの……ですか?」


「そう。今回ならそうだなぁ、メシの美味い宿とかだな」


「なるほど、美味しいご飯は大事ですもんね」


「強くなるためにも体が資本だしな。というわけで、メシの美味い宿屋を探すぞ」


「オーッ!……ってどうやって探すんですか?」


「そりゃあもちろん……聞き込みだ!」


 そんなこんなで、僕とディートさんはいろんな人に聞き込みをし、ディートさんはハンターたちの大半が太鼓判を押した宿屋……ではなく、3番目に人気の宿屋へと向かっていった。


「やっぱり一番人気なところは空いてないんですかね?」


「たぶんな……それなりの値段の宿屋に泊まるのはほとんどが出稼ぎのハンターなわけだから、そいつらが太鼓判を押すところはもう予約でいっぱいだろう。こんな時間だしな」


 というわけで、聞き込みランキング3番人気の宿屋に着くと無事に部屋を借りれた。

時刻はもう4時にさしかかっていたため、今日のところは座禅をしてご飯を食べて早めに就寝した。



 翌朝5時。ディートさんに起こされて顔を洗う。

日課となりつつある座禅をし、7時ごろに終了。


「今日の予定はどうするんですか?」


「とりあえずはハンターギルドに行こうと思ってる。道中に飼った魔物や薬草とか売りに行きたいからな」


「あれ?そういうのは商業ギルドの方がいいんじゃ?」


 僕がそう答えるとディートさんは渋い顔をして答えた。


「いやなぁ、あそこは色々と堅苦しくて性に合わないんだよ。その点ハンターギルドは基本的に決まった価格で売れるからな……多少安くても手早く済むからそっちの方がいいんだ」


 ディートさんがそういうので朝食を食べた後はハンターギルドへと向かうこととした。

僕もついでにハンターとして登録しておこうと思う。ガウルさんからもらった仮資格を持って、宿屋を出た。

昨日は疲れもあってあまり街を見て回れなかったから、そこまで気にしてはいなかったけれど改めて眺めてみるとすごく大きな街だと感じる……ティルゴの町しか知らないけど。

村を出たばかりの僕はティルゴの町ですら大きく感じていたのに、この街ときたらその数十倍以上もの規模である。

そうして街の景観に感動していると、ハンターギルドが見えてきた。

看板には剣や杖、斧や弓の絵が大きく掲げられていたのでここがおそらくハンターギルドだろう。

ディートさんの方を向くと、頷いているので当たりのようだ。

 ディートさんが大きな扉をあけて入っていくのでその後ろをついていく。

中に入ると、大勢のハンターであろう人たちがガヤガヤと騒いでいた。

一番大きく騒いでいる方を見ると壁に紙が貼られていて、その中の一枚を剥がしたハンターがその紙を持って受付の方へと進んでいった。

となりをを見るとディートさんが「あ〜、忘れてたわ」と言って頭に手を当てていた。

 ディートさんによると、壁(掲示板)に張り出されている紙が依頼紙で朝一で新しい依頼が張り出されるためにハンターたちはより条件の良い仕事をするために張り切っているのだそうだ。

そりゃあ同じ労力ならお金になる仕事の方がいいもんねと納得した。


「こりゃ一回戻るしかねーな。今は受けつけがてんてこ舞いみたいだからな。俺らの用事は急ぎでもねーし」


「……ですね」


 というわけで一度帰って昼ごはんを食べてからもう一度ギルドへ。

さすがに昼頃にギルドにいるハンターはほとんどいなかったようで受付の人も朝と違いゆっくりとした時間を過ごしていた。


「じゃあ俺は狩った魔物の買取査定してくるから。クルトはハンター登録か?」


「はい、せっかく試験も受けたので」


「確かにな。じゃあ終わったら隣の食堂で」


「わかりました」


 そうしてディートさんは買取用の受付カウンターへと向かっていった。

その後ろ姿を見てから僕も総合受付カウンターの方へと向かっていく。

ギルドの受付カウンターは『買取』『受注』『報告』『総合』の4種類ある。

受注と報告は4カウンター買取と総合は2カウンターの合計12カウンターある。

こんなに多くのカウンターがあるのはここが領都であるフィルランドだからこそだろう。

 そんなふうに考察しながら総合カウンターの方へ進むと今は誰も並んでいなかったため、すぐに対応してくれた。受付には20歳くらいのお姉さんが座っていた。ガラスを隔てて対面に立ち、「すみません」と声をかけるとすぐに「はい」と答えてくれた。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


「ハンター登録をしたいのですが」


「ご登録ですね。推薦書などはお持ちでしょうか」


「はい、ちょっと待ってください」


 そうして僕は懐からガウルさんにもらった仮資格を取り出し、受付嬢さんに見せる。


「この仮資格は使えますか?」


「少々お待ちください。…………はい、ご利用になれます。お客様のものではEランクからのご登録が可能となりますがよろしいでしょうか」


 そうそう、今更だけど僕やキースたちはDランクの試験は結局受けなかったんだ。ガウルさんに止められたし、若いからEランクの依頼は受けておいた方がいいってさ。


「はい、それでお願いします」


 受付嬢さんは「かしこまりました、準備をいたしますので少々お待ちください」と言って席を離れていった。

数分ほどで戻ってきて、僕の前に何枚かの紙をおいた。


「それではまずこちらの登録用紙にご記入いただきたいのですが、筆記の方はどうなさいますか。銀貨一枚にて代筆なども行なっておりますが」


「あ、自分で書きます」


 商店で働いていた時にある程度の筆記は覚えていたため、特に問題なく終了した。


「続いて、登録料金……銀貨5枚をいただきますがよろしいですか」


「はい、こちらでお願いします」


 こちらも、銀貨5枚を渡し確認されてから「はい、ちょうどいただきます」と言い終了する。

 

「ただいまよりギルドカードを発行しますので、こちらの『ハンターギルドの手引き』をお読みになってお待ちください」


 そういって20ページほどの小冊子を手渡され、近くにあったベンチに腰をおろし手引きを読みつつ待つこと5分少々。

名前を呼ばれたので受付に戻る。


「クルト=クールベル様……こちらがハンターカードとなっております。こちらのカードを失くされた場合、再発行には銀貨10枚が必要となりますのでご注意ください。それではクルト様のご活躍をギルド職員一同、期待しております」


 意外とすぐに終わったなぁと考えながら受付を後にし食堂の方へと向かう。

通るときに買取カウンターの方を見ると、ディートさんの姿が見えなかったのでもう終わったのかなと思い少しだけ食堂に急いだが見当たらなかった。

飲み物を注文し席についてチビチビとジュースを飲みながら待っていると15分ほどしてディートさんが食堂に入ってきた。


「お、さすがにもう終わってたか」


「10分以上早く終わりましたよ。ディートさんの方は時間がかかってましたね?受付の方を見てもいなかったから先に終わってたのかと思いました」


「あぁ……これまで結構な数を収納してたからな、裏の倉庫でまとめて処理してもらってたんだよ」


「なるほど」


「で。クルトの方は無事登録できたのか?」


ディートさんの質問に「はい」と答えながら発行したてのハンターカードを見せる。


「ほう、Eランクか。仮試験だっけか……結構便利な仕組みだよな」


「そうですね、『上位のハンターに頼むことで人件費の削減になる』とか試験官の人が言ってました」


「いちいちギルド側で試験なんてしてらんないもんな」


「そういえば、ディートさんは登録してないんですか?」


「ん、俺か?一応してるにはしてるぞ……えっと…………ほれ」


 ディートさんはそう言いつつカバンの中から取り出したハンターカードを渡してくる。


「えっ、Cランク!?」


 ディートさんはなんと僕より2つ上のCランクハンターだった。









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