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第96話 最強魔法とカロ・セギュール


王城の前まで到達すると、そこには魔物に囲まれる

ヒナタとボルド王の姿があった。


<華炎>


俺は走りながら魔物たちの中心に魔法を放つ。

爆発とともに魔物たちが悲鳴を上げ、

俺の方に注意が向いた。


「ルーク!」


ヒナタが俺の姿を見つけて叫ぶ。


「伏せろ!」


俺の掛け声にとっさに身を屈めるヒナタとボルド王。

俺は魔物の群れに突入すると、腰の剣を抜刀した。



<月穿>



俺を中心とした円形の斬撃。

ヒナタたちを取り囲んでいたゴブリンやオークは一瞬のうちに

肉塊となった。



うん、回復してきたみたいだ。

むしろ、なにやら調子がいい。




「力を貸して、アウスレーゼ」



魔物たちがひるんだ隙をついて、

ヒナタが魔剣に魔力を込める。


ヒナタが剣を振るうと同時に、

魔物の群れを分かつ様に氷河が生まれる。


「ルーク」


ヒナタの意図を理解した俺は、

ボルド王を連れ生まれた氷河の上を掛け出す。

氷河は距離を伸ばし続け王城への道を形成していた。





「・・・助かったぜ」


王城に到着し一息つくと、

ボルド王に礼を言われた。


「あれくらいの魔物であれば、問題ありません。」


俺はボルド王にそう答える。

するとボルド王は首を横に振った。


「いや、さっきの魔物もそうなんだだが。何より一番の感謝は大門だ。破壊してくれて助かった。なんとか避難も可能だろうよ。恩に着る」


ボルド王は再び俺に頭を下げた。

国で一番の実力者に礼を言われ、俺は戸惑う。

そんな俺を見かねてヒナタが口を開いた。


「・・・ルークは勇者。人を助けるのは当然。」


そう言い切るヒナタに俺はため息をつく。


「・・・勇者か。そうか、そうだよな」


ボルド王はその言葉を聞いて何か納得したようだった。

ヒナタもそんなボルド王を見て満足そうな顔をしている。

おい、勝手に分かり合うな。


「とりあえず、先に進みましょう。魔物が追ってくる前に」


俺は二人に声を掛ける。


「あぁ、そうだな。まずはここでシャルルのやつを見つけるか。」


ボルド王がそう言う。

そういえば、ラフィットの騎士団長カロさんに会ったことを思い出す。

そのことをボルド王に伝えたほうがいいだろう。


そう思い口を開こうとした瞬間、

王都の方向で大きな爆発が起きた。


「な、なんだありゃあ!」


ボルド王が叫び、俺たちは爆発の方を見た。

そこには噴煙が上がっており、かなり大規模な爆発が起きたことを感じる。

同時に


「ヒナタ」


「間違いない」


俺とヒナタは互いに頷く。

距離は離れているが間違いない。

俺たちが感じたのは魔獣アルバの魔力であった。




・・・

・・



市街地のど真ん中で爆発が起きる。

同時に感じる禍々しい魔力。

バロン、ククル、モルドレッドの3人はひどく焦ってた。



「早く逃げろ!街の外へ向かえ!!」


バロンが叫ぶ。

その指示に従い、逃げる市民たち。

だが、そこに魔物の群れが襲い掛かる。


「ギャギャギャ!!!」



<風鎌>


モルドレッドの放った魔法がオークの顔面を切り裂いた。

市民たちはその光景を見て恐怖に顔を引きつらせながら、

避難を再開する。


「このままでは、埒があきませんぞ!バロン!しかもこの魔力は・・・」


モルドレッドが叫ぶ。


「分かってんよ!だが今はこれを続けるしかねぇだろ!!人手が足りねぇんだ」


ボルド王の騎士、ムートン騎士団の3人、それから王都に残っていた他の騎士たち。

それぞれが各地で尽力しているはずだが、

避難のスピードは遅々として進んでいなかった。

王都の住人は数万人。

それが突如魔物に襲われ完全にパニックを起こしている。


こうして遊撃しながら避難させるのは並大抵ことではない。


「クソ、どうにか統率が取れりゃ。もう少しマシなんだがよ」


バロンが悔しそうに言う。

そう言いながらも彼の大盾はゴブリンの頭を叩きつぶしていた。

その時――――――。




「お困りですかな、若き騎士たちよ」


後ろから声を掛けられて振り向く。

バロンたちは驚愕する。


そこに居たのは、

かの有名なラフィットの騎士団長カロ・セギュールその人だったからだ。



「あ、あんた・・・」


バロンが驚く。



「避難の誘導が人不足と見える。私と我が騎士団の力を貸そう」


「あ、あんたの騎士団って・・・それって」


カロの後ろには、重厚な鎧に身を包んだ屈強な騎士たちが集まっていた。


「すでに各地には、我が騎士たちを向かわせている。・・・ここは任せるぞ、若き騎士よ」


そう言ってカロ・セギュールはマントを翻し再びどこかに向かう。

いや、あの方角は先ほど大きな爆発があった方角だ。


バロンは一瞬のことに戸惑うも、すぐに状況を理解する。


「ラフィットの本隊と騎士団長が戻ってきてるのか・・・、そりゃ頼もし過ぎるな」


バロンの言葉に、残されたラフィットの騎士たちが強く頷く。

一同は再び声を張り上げ、市民の避難を進めた。



・・・

・・



カロ・セギュールは市民の生まれであった。

剣の才能を見出された彼は、

先代ラフィット騎士団長に徴用され、

幼き頃から最前線で騎士として戦ってきた。


ボルドの重要な戦役では勝利と、

数々の武勲を上げ、

やがて騎士としては他に並ぶものが居ないほどの実力と称されることになった。

かの有名な『剣神』とも引き分けたと噂されるほど彼は強かった。


ラフィットの騎士団長となってからもその勢いは止まらず。

『ボルド王の懐刀』として多くの使命を果たしてきた。

確実に、誠実に。

彼が王の命を果たせなかったことはなかった。



そんな折、ボルド王から極秘の依頼を受ける。


「隣国テステフとの戦争および国境線の防衛」

カロ・セギュールは自らの耳を疑った。

ポイヤックの盟主たるボルドに、

反旗を翻す国がいることが信じられなかった。


カロ・セギュールは独自に調査を重ね、

この一件に納得の出来ないきな臭さを感じる。

誰かが、何かを企んでいる。


国境線の防衛任務を果たしながら、

その目はいつでも遠く離れた、

王都とボルド王に向いていたのだった。


だから王城の異変を聞いたとき、

カロ・セギュールは誰よりも早く馬を駆け、

不眠不休で王都へ向かった。

自らの街を、王を守るため、

生まれて初めて王の命を破ったのであった。


そして今―――。


だがそんなカロ・セギュールは今までに感じたことの無い

恐怖を感じていた。



「おやおや?クックック誰かと思えば」



目の前にいる、枯木の様な男から

到底人間とは思えないような邪悪さを感じていたからである。



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