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第93話 最強魔法と荒れる王都


土煙が晴れると、

そこにかつてのボルドの大門はなく、

山のような瓦礫が残されていた。

開けた視界から王都の街並みが見える。



「ほ、本当にやりやがった・・・」


ボルド王が声を漏らす。

目の前で起きた光景が信じられない、と言った様子だ。


「早く行かないと間に合わない」


ヒナタの言葉にボルド王がハッとする。

自らの顔を両手ではたき、

表情を鋭くする。



「・・・全員!行くぞ!街に入り、民を救うのだ!」


ボルド王は馬に乗り、誰よりも早く駆け出した。

呆然自失としていた騎士たちは我を取り戻し、

ボルド王に続くように街へと掛けていく。



「行こう」


ヒナタがバロンとククル、モルドレッドにも声を懸ける。


「やってくれるぜ、家の団長さんはよ・・・」


バロンは心底嬉しそうに言った。

ヒナタもその言葉に表情を和らげる。


「・・・その通り。私たちは勇者の騎士団。」


ムートン騎士団は王都に向けて、走り出した。





王都に入ると、

そこはスタンピードの真っ只中であった。


混乱は激しく、人々は半狂乱になりながら逃げ惑っていた。

至るところでオークや、ゴブリンが生まれている。

美しかった王都の街並みは今や魔物たちに占領されている。


「お、王!ボルド王!ご無事でしたか!」


街中を中心街に向かって走るボルド王たちに声を掛けたのは、

ボロボロな姿になった騎士であった。

身なりからしてラフィットの騎士のようである。


「大丈夫か!街はどうなってる?」


ボルド王は騎士に声を掛けた。


「ハッ!街のあちこちで魔物が発生し王都の騎士が総出で討伐しております!ですが魔物の発生スピードが早く対処が追い付きません。このままでは・・・」


騎士は顔をしかめた。



「よし、既に気が付いているだろうが大門は破壊された。騎士を集めて王都の民を避難させることを優先しろ!!お前はこの話を出来るだけ多くの騎士に伝達せよ!」


「ハッ!承知いたしました。」


ボルド王は振り返り、同行する騎士たちに声をかける。


「聞いたか!各員、民の避難に向かえ!騎士組合に連絡を取り、スタンピードが本格化する前に避難するんだ!一人でも多くの民を救え!」



「「「 ハッ!! 」」」


ボルド王の一声で、騎士たちが町中に散っていく。

もはや一刻の猶予も許されないだろう。



「おい、俺たちはどうするよ?」


バロンがボルド王に声をかける。


「お前たちは俺と一緒に王城に来てくれ。」


ボルド王は王都の中央に位置する城に目を向けた。


「・・・スタンピードの魔力の中心はあそこだ。恐らくそこに今回の元凶が待ち構えてるだろうよ」


ボルド王の言葉に、バロンとククルはあの枯木のような男の姿を思い浮かべた。


「・・・行きましょう」


ククルが神妙な表情で言う。

ボルド王とそれに頷き、

一行は再び走り始めた。



・・・

・・



『ルーク君!起きて!起きてください』


テレシアの声に意識を取り戻す。


「・・・ぐ」


身体を起こすと、

そこは先程魔法を発動した岩場であった。

どうやら意識を失っていたようだ。


『・・・ごめんなさい。魔法発動に魔力が足りなかったようで・・・ルーク君の魔力まで使用してしまったようです』


状況を理解する。

気絶したのは魔力切れによるものか。


「どれくらい、気を失っていた?」


俺はテレシアに尋ねる。


『・・・今回は、ほんの10分くらいです!』


その言葉に少し安心する。

どうやら寝過ごすことはしなかったようだ。


俺は朦朧とした頭を振り、立ち上がる。


『・・・大丈夫ですか?』


テレシアが心配そうな声をだす。


「あぁ、大丈夫だ。それより助かったよ。大門が破壊できたのはテレシアのおかげだ」


眼下に見える大門の瓦礫。

ボルド王たちは無事に王都に入れただろうか。


『そ、そんな・・・私なんて・・・どうしたんですか突然』


「いや、なんでもない。あとは任せろ」


『はい、気を付けてくだくださいね・・・何かあればいつでも連絡ください』


ありがとう、ともう一度伝えて

俺はテレシアとの交信を切った。


「行くか」


そう思い、重い身体を引き摺る様に歩き出した。

ぐ、思ったより消耗が激しい。

これで王都に行っても果たして役に立てるだろうか。

これから大量の魔物と戦う必要があるというのに。



そう思っていると、

不意に後ろから声を掛けられた。


「少年、待ちたまえ」


とても澄んだ、聖人のような声。

振り返るとそこには髭を蓄えた、

紳士風の男が馬に乗ってこちらを見ていた。

だがその男の姿はスーツや貴族のような姿ではなく、

真っ青な甲冑に包まれている。


「若いようだが貴殿も騎士とお見受けする。」


俺はその質問に黙って頷いた。


「そうか。すまぬが、情報が欲しい・・・もし王都に向かうのであれば私の馬に同乗すると良い。その代わり王都に何が起きているのか教えてはくれないか?」

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