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第91話 最強魔法と解放された力



「破壊・・するだと? 」


ボルド王は絶句した。

俺は顔を伺いながら話を続ける。


「俺とテレシアの話はしましたね。ボルド王はどう思ったのか反応が掴めませんでしたが・・・」


「・・・あの少女とお前に不思議な力があることは認めている。だが女神と勇者と言う部分には懐疑的だ。その存在はボルド、いやこの世界では半ば空想に近い」


空想と言われて、

俺はヒナタが持っていた『勇者の冒険紀』が頭に浮かぶ。

なるほどと俺は思う。

半信半疑、それが王の沈黙の理由だったか。

言われてみれば当たり前だ。

やはりこの人は優秀な王だ、と改めて感心する。


「・・・信じられないのは当然だと思います。ですが今は時間が無いので、端的に聞きます。もし破壊出来るとしたら、それを認めていただけますか?」



俺の強気な言葉にボルド王は息を飲む。

そしてじっと俺の目を見て沈黙する。




重い空気。

う、やはり破壊はまずかったかな。

半信半疑の王にこんな判断を求めるのは早計だっただろうか。


俺の心配を感じ取ったのか、

ボルド王は表情を和らげ言った。



「・・・にわかには信じられないが、お前が嘘を言ってるようにも見えない。だが本当に出来ると思ってるのか?数百年魔物の侵攻を防いできた城壁だぞ?」



ボルド王がにやりと笑って言う。

俺は迷わず頷いた。




・・・

・・



「おい、ここもヤバくなってきたぞ!」


バロンが叫ぶ。


「叫ぶ暇があれば、目の前の敵に集中」


バロンに視線も送らずに答えたのは、

魔剣を振るい続けるヒナタであった。


「ルーク殿とボルド王はどこへいったのですか!」


モルドレッドが風魔法を放ちながら言う。

たしかに先程から二人の姿が見えない。


「・・・離脱、しないと私たちも危ないかも知れないわね」


バロンに守られているククルがそんな事を言う。

スタンピードの勢いは徐々に激しくなり、

段々と魔物の討伐が間に合わなくなってきた。


「大門の外でこの調子ってことは、街の中はどうなってんだ!」


そう言ってバロンは恨めしそうに大門を見上げた。


「大丈夫」


ヒナタが剣を振るいながら言う。


「何が大丈夫だってんだ? ヒナタァ!」


バロンが叫ぶ。


「・・・ルークは勇者。今はテレシアもいる。絶対に何とかする。私たちは彼らを信じて戦うだけ」


今度はヒナタがバロンを正面から見て言う。

その強い眼差しにバロンの動きが止まる。


呆けた表情からやがてバロンが笑みを漏らす。


「へっ、普段無口な癖して良いこと言いやがって!」


バロンが再び大盾を構える。

その姿をククルが嬉しそうに見ていた。


「よし!こいや!うちの勇者様が戻るまでここで戦うぞ!ムートン騎士団!」


4人は再び周囲の魔物と戦い始めた。



その時、乱戦の中を早馬が一頭走り抜けた。

見るとそこに居たのはルークと姿を消したはずのボルド王であった。

バロン達が王に声を掛けるよりも早く、ボルド王は周囲に声を張り上げ叫び始めた。



「全員!大門から離れろ!!距離を取れ!!」



その声は大門前で戦っていた騎士達に次々と伝わり撤退が始まった。

やがて大門の前には魔物だけが残される事になる。



・・・

・・





ー転生特典使用許可について-


貴殿の申請に基づき、

制限中の以下の転生特典について使用を許可いたします。


・時空間魔法 Lv3 1回まで

・変化魔法 Lv3 1回まで

・自然魔法 Lv3 1回まで


使用時には周囲の安全を確認し、

十分に注意し使用してください。




『との事です!』


テレシアが改めて通知文書の内容を読み上げる。

俺はそれに無言で頷いた。

先程の交信の際にテレシアが出してきた案がこれだ。


俺の騎士としての初仕事。

ヒナタやバロンと出会った北の廃坑への調査依頼。

あの時はアークタラテクトの強襲にテレシア自身が登場し助けてくれた。

だが同時にこの申請も出していてくれたらしい。

テレシア自身も申請したことをすっかり忘れていた訳だが、

テレシアが神界に戻ったタイミングで承認が降りたらしい。


8歳に転生し、魔獣バルガスと戦ってから4年。

つまり4年ぶりに俺は最強魔法の使用を解禁されたのだった。



俺は王に承諾を貰ったあと、

ボルドの大門からさらに離れ、

高台になっている岩場まで来た。

ここなら大門のすべてが見渡せる。


視界の端から端まで長く伸びた大門。

こうして見ると本当に巨大な建造物だと実感する。

俺はそんな事を考えながら、時が来るのを待った。


『・・・準備が整ったようです』


テレシアの声が届く。


ボルド王には大門の前から人を避難させるよう頼んだ。

正直、最強魔法がどれだけのものかイマイチ把握出来ていないので、

人的被害を出さないようにするためだ。

あそこにはヒナタ達も居るしな。



「よし、こちらも行くか」


俺はテレシアに声を掛けた。


『はい、こちらはいつでも大丈夫です』




「目標は二つだ。門を破壊し中に入れるようにすること。破壊による二次被害を出さないこと。この二つを同時にクリアすることは可能か?」


『・・・はい。単発の魔法では難しいので、魔法を二つ使用します』


そんな事も出来るのか。


『最強魔法の行使は以前の様に私が制御します。ルーク君は以前の様に発動を指示してください』


「了解だ」


『では魔力の集束を始めます。こちらはルーク君の魔力を触媒に、この世界に無数に漂う魔力を集めます』


そう言って、テレシアは更新先でなにかを呟き始めた。


途端に俺の周囲に魔力の集束を感じる。

集まりだしたその魔力は俺が使うような魔力の比ではなかった。

俺はあまりの魔力量とその勢いに、テレシアに声を掛けた。



「テ、テレシア、これは・・・」


俺の声にテレシアが答える。


『感じますか? ・・・これがルーク君の得た力です。まだまだ増えますよ!』


答えたその声はなにやら興奮しているようだった。


そうしてテレシアが呟きを加速する毎に、

周囲からどんどん魔力が溢れ出てくる。

例えるなら大瀑布のような魔力量だ。


思えば8歳の時には転生したばかりで、

魔力の流れを感じる事も出来なかった。

だが成長した今なら分かる。


これだけの魔力、これだけの力。

たしかに放てば最強魔法となるだろう。

神々が禁ずるのも納得できる話だ。


やがて魔力の集約が終わり、

視認できるほどの濃厚な魔力が俺の周囲に集まる。


『・・・いきます』


テレシアがそう呟くと、

周囲に漂っていた魔力が一気に俺の身体に入ってきた。


「う、お・・・」


身体中に感じたこともないような魔力が満ちる。

身体の内側で熱を持ったエネルギーが暴れている。


同時に、胸の痣が熱く輝きだした。


『ルーク君!!魔法を起動してください!』


テレシアの叫びに俺の意識が反応する。

そしていつもの様に、

俺の脳裏には今唱えるべき魔法名が浮かぶ。


圧倒的魔力に朦朧となりながら、

俺はゆっくりと口を動かした。




<七曜>



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