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第84話 最強魔法と帰還の後


「テレシア!応答してくれ」


『はい!ルーク君、聞こえています』


俺の声にテレシアが答える。


「今、王都に着いた。だがこのまま俺たちはバロンとククルを探す。・・・位置が分かるか?」


『・・・はい、やってみます』


そう言うとテレシア何かを呟き始めた。

バロン、ククル、無事でいてくれ。


少しの時間のあと、テレシアが呟く。


『・・・ダメです。上手く探知出来ません』


「ダメか。・・・原因はなんだ?」


テレシアがここまで探知が出来ないと言うのは珍しい。


『・・・恐らく、アルバです。』


テレシアが答える。


「説明してくれ」


『・・・このボルドの地でアルバの魔力がどんどん高まっています。それこそこの地を全て覆うくらいに。私の探知は対象の魔力を追うものです。強大なアルバの魔力によってその微細な魔力が探知出来なくなっています』


「・・・そういう事か。ありがとう」


俺は一度、深呼吸をし考えを整理する。

テレシアの探知に頼れないとなると、

地道に足で探す方が早いか。


悩む俺にテレシアが続けて言う。


『・・・ただ対象に近づけば、もう少し探知が出来るかも知れません』


「よし、それなら俺たちもその村に向かおう。テレシア、

道案内を頼めるな?なるべく魔物が居ない道を通ってくれ」


『承知しました』


俺は振り返り、再びボルドの王都を見つめる。

王都は依然静かで、まるで変化が無かった。

果たして枯木の男は動くのだろうか。

心配事は尽きない。


その時、


「うひゃあ!!!」


俺の後方で叫び声が聞こえた。

慌ててそちら見るとモルドレッドが奇妙な動きをしていた。


「モルドレッド・・・何をしてる?」


「せ、背中に虫が入りまして・・・私は敏感肌なので・・・うひゃああ!」


なんとも気の抜ける動きだ。


「斬ってあげる」


ヒナタが腰の魔剣に手を伸ばす。


「お、お止めください。ヒナタ殿!ただの羽虫です!」


そんな二人のやりとりに、張り詰めていた緊張が解ける。

俺はその光景に大笑いした。


うん、大丈夫だ。

バロンもククルもきっと生きてる。

そう信じることにしよう。


・・・

・・



シャルル達一行は王都に入った。

門兵に状況を聞くと、街の中に特に変わったことはないようだ。

その言葉にシャルルはさらに安堵する。


「王城に向かいましょう」


「あぁ」


カリュアドがシャルルに言う。

シャルルもそれに同意した。


城へと至る道にも変化はなく、

市民達は普段通りの生活をしているようだった。

なんとか間に合ったようだ。


城内にも特段の混乱はなく、

相変わらずテステフとスタンピードへの対応に忙殺されているようだった。


「ひとまず、問題無い様子ですな」


カリュアドが言う。


「うん、先ずは情報を整理しよう。頼めるか?」


「無論です」


そう言うとカリュアドは、

テキパキと周りの騎士に指示を出し始めた。


「・・・少し外す、後を頼めるか。」


「無論です。どちらへ?」


「騎士組合だ。情報を集めてくる」


「・・・お気をつけて」


シャルルは王城を出て、

騎士組合へと向かった。







「・・・珍しいわね。貴方がここに来るなんて」


シャルルを出迎えたのは、組合受付嬢のステラであった。

少し疲れているのだろうか、目の下に隈が出来ている。


「ラフィットに入ってからは依頼の受注なんてしなくなったからな。」


「・・・そうね。そう言えば聞いたわ、あなた達がピラの街の依頼を受けてくれたって。大丈夫だったの?」


「ああ。スタンピードは鎮圧して今帰ってきたところだ」


「・・・あの規模のスタンピードをもう鎮圧したの?流石はSクラスのラフィット騎士団ね。」


「いや、実際はかなり危なかった。今度ばかりは死ぬかと思ったよ。・・・それでも帰ってこれたのは、彼らのお陰さ」


「彼ら?・・・もしかして」


「そう、ムートン騎士団だ。聞いたよ、君が王に繋いでくれたんだろ?本当にありがとう。」


「そんな、私はただ・・・、でも良かったわ。あなたが無事で。身体の方は大丈夫なの?」


ステラの問いにシャルルは首を横に振った。


「そう・・・」


「身体が動く内はやるべきことをやるさ。私は王の騎士だからね。」


その言葉に今度はステラが口を閉ざした。

その表情はひどく悲しそうなものであった。


「・・・それで、今日はどうしたの?ラフィット騎士団の副団長が直接組合に来るなんて。何かあるんでしょ?」


「あぁ。ひとつは情報収集だ。スタンピードに関する最新の情報と有力な騎士団の現在の状況が知りたい。出来れば国内全部だ」


「・・・国内、騎士団の?どういう事、戦争でもするつもりなの?」


ステラの言葉にシャルルが表情を固くする。


「・・・戦争。その通りかも知れない。だとしたら既にボルドは戦いの中と言えるかもしれないな。」


「・・・それってどういう事なの」


ステラが質問する。


「・・・私にも上手く説明は出来ない。だからこそ今は情報が必要なんだ」


「分かったわ」


ステラが動き始めようとしたその時、

シャルルがそれを止める。


「それから」


ステラはシャルルの顔を見た。


「私からある騎士団に依頼を出したい。手続きを頼めるかい?」


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