表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/99

第83話 最強魔法と静寂の街


「・・・う」


バロンは右腕の痛みで目を覚ました。

辺りは暗く、蝋燭の灯りが目に入る。

周囲はゴツゴツした岩肌。

どうやらどこかの洞窟のようだ。


「・・・バロン、目を覚ましたのね」


傍らに座っていたのはククルであった。

心配そうな顔でバロンを見つめている。


「ククル・・・俺たちは・・・ここは一体」


身体を起こすと回復魔法特有の身体のダルさを感じた。

ククルが自分に回復魔法をかけてくれていたのだと気付く。


「・・・大丈夫か?」


今度はククルとは別の方向から低い声が聞こえた。

驚いて振り向くと、そこに居たのはボルド王であった。


「王さま>・・・俺たちは・・?どうしてここに・・・」


バロンが混乱する記憶を整理していると、

次第に記憶が蘇ってくる。

始めに思い出したの真っ赤に染まる自らの視界と、

とてつもない轟音であった。

思い出して少し頭痛がした。


「・・・国宝の剣を犠牲にしちまったが、生きてて良かったぜ」


そう言ってボルド王が手に握る剣を見つめる。

見れば刀身がボロボロになっており、

もはや剣として使うことは不可能だと言うことが分かった。


あの時、アルバが魔法を放とうとした瞬間、

剣をかざした王が何かの魔法を発動した。

莫大な魔力は障壁となり、王と、近くに居たバロン達を守った。

それによりバロン達は魔法の直撃を避けることが出来たのだ。


「その剣は・・・?すごい魔力を感じました」


「これは魔剣オーパス。極上の守護魔法が込められていた。それが一撃で・・・あの魔物とてつもない強さだ」


ボルド王は悔しそうに剣を鞘に戻した。


「俺たちはどうやって逃げたんだ?」


バロンがククルに尋ねる。


「アルバは魔法を撃った後、またすぐに地面に潜ったわ。村を燃やし尽くして満足したように、ね」


「・・・それには本当に助かった。もしアルバの追撃があれば俺たちは全員死んでいただろう」


「そして目を覚まさないバロンを、ボルド王がここまで運んでくれたのよ」


「・・・それはすまねぇ。恩に切り、ます・・・」


王に担がれたと聞いて、

途端に罪悪感が芽生えるバロン。


そして何かに気が付いたようにハッとする。


「お、おい。テレシアはどこだ?あいつも村のなかに居ただろ?ちゃんと無事か?」


バロンの言葉にボルド王とククルが重い表情になる。


「村は、私たち以外は何もかも・・・」


「・・・俺の魔法では全員を守ることは出来なかった。すまない」


ボルド王がバロンとククルに頭を下げる。

一国の王から深々と頭を下げられ、二人は困惑する。

ボルド王の責任でないことは当然理解していたからだ。


「・・・アルバ、あれはヤバイぜ。なんとかしねぇと被害が拡大するだけだ。」


バロンが呟く。

その言葉にボルド王が頷く。


「分かっている。あの枯木のような男が気になることを言っていた。俺は一刻も早く王都に戻らなければならない。ラフィットがいりゃ王都はだとは思うがな・・・」


王の言葉にバロンとククルは視線を合わせて頷く。


「俺たちも王都までいきます」


「・・・ありがたい」


ボルド王、バロン、ククルはダメージを負った身体を庇いながら、王とへの帰還を急いだ。



・・・

・・


街道を駆けていると巨大な門が見えてきた。

ボルドの王都である。

遠目から見ると異変は無いようだ。

俺は最悪の事態が起きていないことにひとまず安堵する。


横を駆けるシャルルも同じ様子で、

その安心は共に駆けるラフィット騎士団にも伝わった様子だった。


「ルーク」


シャルルが馬を寄せてきた。


「・・・ひとまずは大丈夫そうだな。どうする」


「まずは王城へ。情報を集めたい。それから遠征に出掛けている騎士団長にも連絡を。本当にアルバと戦うのであれば戦力を集めなくてはならない。君たちはどうする?」


「俺は一度仲間の安否を確かめる必要がある。テレシアの話にあった村の方へ向かう」


「分かった。ではここで一度、別れよう。・・・もし王を見つけたら、その時はよろしく頼む」


俺とシャルルはもう一度互いに強く頷いた。


「・・・その、色々とすまなかった。」


シャルルがそんな事を言った。


「何がだ?」


「ムートン騎士団。特に君には色々と失礼な事を言った。私は君がただ若いというそれだけで、君を見下していたと思う。そして君の実力を見ようとはしなかった。許して欲しい」


素直に謝るシャルルに戸惑ってしまう。


「・・・戦いが落ち着いたら、俺に剣を教えて欲しい」


俺の言葉に、シャルルが口角だけで笑う。


「・・・それが望みか?ラフィットの剣は、厳しいぞ?」


「望むところです」


そう言って、お互いに拳を合わせる俺とシャルル。

その様子をカリュアドが優しい目で見つめていた。


「では、また会おう!」


そのままシャルル達は王都へ。

俺たちは東へと方向を変えた。


少し馬を走らせて振り返ると、

シャルル達がボルドの大門を潜る姿が見えた。


「どうするの?」


ヒナタが俺に質問する。

モルドレッドも同じ気持ちのようだ。


「まずはバロンとククルを見つけよう。・・・テレシア、聞こえるか?」


俺は女神に交信を送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ