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第78話 最強魔法と救援の炎


「ぐ・・・」


脱力を感じ、

シャルルは遂に片ひざを地面につく。


「副団長!」


騎士の一人がシャルルに駆け寄る。

呼吸が荒くなり、目がチカチカする。


「だ、いじょうぶです。それより魔物は・・・」


「は!シャルル様の魔法により、この場にいました魔物の大部分は討伐しました。残存の魔物も間もなく制圧出来る予定です」


「そうですか・・・」


シャルルは命が繋がったことに安堵する。


だか悠長に回復を待つ時間はない。

急いで体勢を整えねば。

ここにいる指揮官は自分だけなのだ。


シャルルはふと、

いつも自分を支えてくれる優秀な副官の事を思い出す。


そう言えばカリュアドはどうしただろう。

彼が居てくれれば戦線の維持もかなり楽になるはずだ。


その時、シャルルは周囲に魔力の異常な高まりを感じた。

禍々しく、この街に来てからもう何度も感じた魔力だ。


「・・・くっ」


赤い魔力が地面を覆い、

そこから何匹もの魔物が這い出してくる。


「まだ、生まれてくると言うのか・・・」


スタンピードは発生した大量の魔物か、

『主』を討伐すれば魔力が霧散し沈静化する。

だが先程から数百もの魔物を倒しながらも、

スタンピードが沈静化する気配がない。


ラフィット騎士団は再び魔物の群れに包囲された。

歴戦の騎士団にも狼狽する雰囲気が流れる。



「ここが私たちの死地となるのか・・・」



シャルルはそんな事を思いながら、

身体を起こしレイピアを握る。

せめて一体でも多く魔物を倒し、

市民を逃がさねばならない。


そんなシャルルの姿を見て、

騎士たちにも再び闘志が広がる。


ゴブリンの一体が唸り声をあげながら、

騎士団に襲いかかろうとしたその時であった。




<炎柱>




すさまじい魔力の流れと共に、

騎士団を中心として火柱が上がる。

渦を巻く炎は騎士団だけを避けながら、

周囲を囲む魔物を焼き尽くした。



やがて魔法が止むと、

その場にいたはずの50匹以上の魔物は

すべて焼き尽くされており、

魔法の威力が凄まじいものであったことが分かった。


シャルルは今目の前で起きたことが理解できず、

呆然自失となった。

それは他のラフィット騎士たちも同じであった。



「ラフィット騎士団・・・ですよね?大丈夫ですか?」



不意に掛けられた声に顔を上げたシャルルは、

魔物の死体の中に立つ一人の少年の姿を見つける。


戦場にはおおよそ似合わない、

優しげな顔の少年。


だがシャルルはその少年に見覚えがあった。


「あれ?あなたは・・・」


それは少年も同じようであった。

伺うようにシャルルの顔を覗き込んでくる。

その少年は、以前に王との謁見の場で見た若き騎士であった。



・・・

・・



魔法と思われる落雷を頼りに、

俺はついにラフィット騎士団との合流を果たした。


カリュアドさんが言っていた副団長と言うのは、

以前ボルド王との謁見の際に俺を睨み付けてきた青年であった。

感じの悪いやつだと思ったがまさかこんな所で会うとは。


シャルルと名乗る騎士は、

始めは助けに来たと言う俺の言葉を受け入れようとはしなかったが、カリュアドさんの青いナイフを見せると渋々俺を受け入れた。

うーん、助けに来てやったのに、なんか生意気なやつだな。


「スタンピードの中心地はこの辺りですか?」


俺はシャルルに尋ねる。


「いや、もう少し北の方だ。我らもそこに向かっていたが魔物の群れに進入を阻まれていた」


「では、今のうちに進みましょう。早いところ根本を抑えないとヤバイことになります」


「君に言われるまでもなくそのつもりさ」


シャルルは会ったときこそ死にそうな顔をしていたが、

今はそんな強がりを言えるほど回復していた。

だが依然として顔色は悪く、無理をしていることが伺える。

早いところスタンピードを鎮圧しなければ。






シャルル達に付いて向かった先は、

噴水のある広場であった。

普段は賑わっているのだろう。

屋台や露天商の店と思われる残骸が各所に

残っていた。


そして不自然に綺麗な形で残った噴水からは、

今もなお水が吹き出している。

それは禍々しく赤い血のような色の水であった。


「ここだ・・・」


俺たちの到着と共に、

噴水から魔物が出てくる。


銀色の体毛に覆われた巨大な狼。


「シルバーウルフ・・・」


シャルルが呟く。

ブラッドウルフの上位種だ。


「まだ出てくるぞ!」


騎士の一人が叫ぶ。

列をなすように噴水から次々と出てくるシルバーウルフ。

全部で7体の銀狼が俺たちと対峙した。


「総員、隊列!」


シャルルが声をかけると、

騎士達が戦闘体勢をとる。



「お前の力も貸してもらうぞ」


シャルルが俺の方を見て言った。

素直じゃないやつ。


「当たり前だ、足手まといになるなよ」


俺もシャルルに言い返す。


「ラフィットを前に足手まといになるな、とはな。大した奴だ」


俺はその言葉には答えず、

剣を抜いた。



「総員!かかれ!」


シャルルの号令をきっかけに、

最強の騎士団と七匹の銀狼が激突した。


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