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第77話 最強魔法と天才騎士


魔物を討伐しながら顔を上げると、

東方の空が赤く染まるのが見えた。

続いてズズンと地震のような揺れ。

周囲にいた魔物がギャアギャアと騒ぎだす。


「なんだ・・・今のは」


赤い光と鈍い振動に不吉な気配を感じる。

ふとルークは、別行動を取る3人のことを思った。

特に一番トラブルに巻き込まれそうな女神のことは

入念に心配する。


「テレシア・・・」


離れた仲間に思いを馳せていると、

騒いでいた魔物達が再び俺に襲いかかってくる。

先程からどれだけの魔物を倒しただろう。


斬っても斬っても湧いてくる魔物に俺は少しだけ恐怖した。

改めてこのスタンピードの規模の大きさを実感する。

並みの騎士団では持たないだろう、

早くラフィットを見つけないと。


俺は再び駆け出した。


・・・

・・



「右翼!陣形を崩すな!押し込め」


馬上から全体を見渡し指示を出す。

倒しても倒しても湧いてくる魔物たちに、

シャルル・シュヴァリエは一抹の不安を抱いていた。

加えて先程の不気味な地震。

自分の預かり知らぬところで大きな悪意が蠢いているような、

気味の悪い感覚を覚えた。


王都には防衛に支障が出ぬ最低限の人員を残し、

一騎当千の呼び声も高いラフィットの騎士を引き連れてきている。


スタンピードの規模に関する事前報告はあったものの、

正直な話ここまで大きなものになるとは思っていなかった。

ラフィット騎士団であれば、

例えどのような規模であろうと鎮圧出来ると言う驕りもあった。


すべての判断が裏目に出ているようで、

シャルルは悔しさに歯を食い縛る。

もし同じ状況に置かれたのが騎士団長だとしたら、

彼はどんな行動をとったのだろうか。

このままでは王と、留守を任せてくれた騎士団長に申し訳が立たない。


「せめてこの身体が十分に動けば・・・」


シャルルは馬上でそんな事を呟いた。


その時、乱戦の中からラフィット騎士が叫ぶ。


「ダメです!左翼突破されます!」

「副団長!危ない!」


そちらに顔を向けると、

一頭のオークが騎士たちを吹き飛ばし

こちらに向かってきた。


通常のオークの数倍はあろうかと言う巨大な体躯に、

斧のような武器を持っている。

あれはオークキングだ。


「グギャアアアアンン」


オークキングは馬上のシャルルを見定めると、

一心不乱に突進してきた。

シャルルはそれを迎え撃つべく、

腰に差したレイピアを抜く。


オークキングの振り下ろした斧を避け、

空中に飛び出した。


そして空中で身体を捻ると、

オークキングの脳天目掛けてレイピアを突き出した。

鋭いレイピアはオークキングの頭蓋を貫く。


「グギャアアアアンアアアアアア」



頭を串刺しにされたオークキングは、

力なく倒れる。

地面に崩れ二度三度痙攣したあと、

オークキングは動かなくなった。


「オークキングを一撃で・・・」

「さすがはシャルル様だ」


周囲の騎士達が呟く。

その声に答えよう身体を起こそうとした時、

シャルルは胸に走る激痛に顔を歪めた。


「ぐっ・・・」


シャルルは膝を付き、

荒い呼吸に肩が上下する。


「シャルル様!」

「お止めください!おい誰か!」


天才騎士として若くしてラフィットの副団長に任命された

シャルル・シュヴァリエは、近年原因不明の病により、

その行動を大きく制限されていた。


特に戦闘は短時間と言えど、

大きな負担がかかるためボルド王とラフィット騎士団長に

きつく止められているのであった。


「・・・大丈夫だ、それより戦況を」


シャルルは痛みに耐えながら近くの騎士に尋ねる。


「左翼が崩れ魔物に包囲されつつあります、このままでは・・・」


すでにラフィット騎士達にも被害が出始めている。

このままでは多くの死者が出るだろう。


「市民の避難は・・・?」


「街の入り口付近に魔物達が集まり、避難経路の確保が出来ていないとのことです。避難誘導をする者も足りておりません。」


「そうか・・・、分かった」


市民がいるうちは撤退することも出来ない。

ここを退けばさらに多くの魔物が市街に流れ込むだろう。


シャルルは再び歯を食い縛り、顔あげた。


「聞け!!!ラフィットよ!!」


胸の痛みに耐えながら、

声を張り上げる。


「我らの守るものは我らの後ろにある!死を恐れるな!我らは誇り高き王の騎士団だ!民を、国を守るのだ!」


シャルルの檄に、騎士たちが雄叫びをあげる。

魔物の群れを一気に押し返す。

同時にシャルルは魔力を集約する。

胸の痛みがさらに強くなり、呼吸が出来なくなる。

だが構わない。

ここで倒れようと我がラフィット騎士団は、

必ず街を守ってくれるだろう。

全身の魔力を集束し、シャルルは魔法を唱えた。



<雷轟>



その瞬間天空よりいくつもの雷が落ち、

魔物の群れを焼き尽くした。


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