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第72話 最強魔法と災厄の夜


村長の話によれば、

ロワール商業連合の商人は珍しい交易品を持ってきては、

村長や村人に贈っていたらしい。


珍しい酒や煙草、異国のスパイスなど、

商人の贈り物は村民に大変喜ばれていたそうだ。


ある日、商人が一風変わったものを持ってきた。

商人によるとそれはある生物の卵だと言う。

不気味に赤く染まった巨大な卵に、

村人達は驚いた。



商人が言った。

自分はこれから自国に帰るが、

一時的にこの卵を村で預かってくれないかと。

世話は必要ないし、謝礼は弾む。

また次の取引の時に回収させて貰う。


多少の恐怖はあったが、

これまでの信頼関係から、村人達はこれを快諾。

村の一画に掘っ立て小屋を建て、

その卵を世話していたのだと言う。



だが季節は過ぎて、

約束の時期になっても商人は村を訪れなかった。

これまでそんな事は無かったため村のなかでも意見が別れる。

騙されたのか、それとも商人の身になにかが起きたのか。

村人達にどうすることも出来ず、ただ時間だけが過ぎていった。


次第に村人達は卵を持て余し、

掘っ立て小屋には誰も近づかなくなり、

その存在を忘れていった。



そしてある夜、異変が起きる。


「グキュルルアアアアアアアアアン!!!」


静かな村に聞いたこともないような恐ろしい咆哮と、

地響きが響いた。

腹の底に響くような生き物の叫びに、村人達は震え上がった。

地震は長い時間止まず、村人は一晩中恐怖で眠れなかったという。


同時に忘れていた卵の事を思い出していた。

夜が明けると、村人達は卵を安置していた掘っ立て小屋に走った。


そこには商人から預かった卵はなく、

その場には卵の欠片だけが残されていた。

そして掘っ立て小屋のあった地面には大穴が空いていた。


『なにか』が生まれ、地面に穴を掘り消えていったのだと確信した。


村人達はすぐに掘っ立て小屋を焼き払い、

卵の殻を処分し、すべてを無かったことにしようとした。

今になって思えば、なぜあんな得体の知らないものを村に置くことを許したのか。

顔見知りの商人の頼みとは言え、金に目が眩んだ自分達を呪った。


村の災難はそれだけでは終わらなかった。

卵から『なにか』が生まれた数日後に、

村の井戸の水が赤く染まったのだ。

たまたま村に居合わせた騎士団が、

これはスタンピードの予兆だと色々と手配してくれた。


だが村人達は気が付いていた、

染まった井戸の水の色が、

あの卵の色とまったく同じだと言うことを。


だがそれを騎士団に言うことは勿論出来ず、

全員がそれを隠した。


そして、そのままスタンピードが起きる。

村人達は自らの罪と愚かな決断を、

その身を以て償うことになる。



・・・

・・



「赤い卵・・・」


村長の話が終わったあと、バロンが呟く。


「間違い無さそうね」


ククルが頷く。


「おい、どういう事だ?」


ボルド王が二人に質問する。


「私たちはボルド王の依頼の調査でここに来ていたんです。」


ククルが答える。


「魔獣アルバの手がかりを追ってな」



「アルバだと!?」


ガタンと、椅子を倒してボルド王が立ち上がる。


「お前達に依頼したのは、スタンピードの調査のはずだろ。それがなんで・・・アルバなんて話になる」


「説明します、ですがその前に」


ククルが、状況に狼狽している村民達を見る。

罪を告白し、その裁きを待つ恐怖に怯えた目であった。


「そうだな・・・。今日の沙汰は調査のあとに出す。各人、この部屋から退去してくれ。監視はしないが逃げないでくれよ。自分達の罪はしっかりと償って欲しい、我がボルドの民としての誇りが少しでも残っているならよ」


そう言うと村人達は部屋から退去し、

ボルド王とバロン、ククル、テレシアだけが残った。

村長にだけは部屋の外に待機してもらっている。


「さて、聞かせて貰うぜ。アルバなんておとぎ話とスタンピードの関係をな」


三人はボルド王に事の経緯を説明した。

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