第70話 最強魔法と最初の村
「おい、テレシアなにか分かったかよ」
「ふぇえええ、お待ちくださいぃ」
「ちょっとバロン急かさないの!テレシアちゃんはちゃんとやってるでしょ!」
調査組のバロン、ククル、テレシアは昨日からとある村に滞在していた。
それはステラに調べてもらった今回の事件で一番最初にスタンピードが確認された村であった。
別の騎士団によってスタンピードは制圧されたが、
対応が遅れ村に幾分かの被害が出ていた。
「周辺の到るところに魔力が残っています・・・、とてもおぞましい魔力。今回のスタンピードに感じる魔力と一緒です」
「スタンピードは鎮圧されたんだろ?なんでまだ魔力が残ってるんだ?」
「分かりません。ですが、ここには長い間、何かが住み着いていたような気配がします。」
「住み着いてって・・・そりゃ流石に誰か気がつくだろ」
テレシアの言葉にククルが口を開く。
「・・・村の人たちがなにも話してくれないのと関係あるのかしら」
昨晩から、ククルは生き残った村民達に聴取をしていた。
だが話を聞きに行った誰もが口を閉ざし、
当時の状況をまったく語ろうとはしなかった。
「スタンピードを経験した恐怖から、話せなくなってるのかなって勝手に解釈してたけど・・・」
「こりゃ、村のやつらに話を聞く必要があるかも知れねぇなぁ」
そう言うとバロンが立ち上がった。
「どこ行くの?」
ククルが慌てて尋ねる。
「あん?決まってんだろ。村のやつを捕まえて事情を聞き出すのよ」
「無理矢理なんてダメよ!彼らは魔物に教われているのよ!気持ちを考えなさい!」
立ち上がったバロンを引きずり下ろすな剣幕で
ククルが叱責する。
「わ、わかったよ・・・、ちょっと落ち着けって」
あまりのククルの剣幕に、立ち上がったバロンが腰を下ろす。
「なんとかして話を聞かないとダメね・・・いったいどうしたら」
3人が悩んでいると、声をかけられた。
「お三方、その必要はありませんぞ」
声がした方を見ると、
そこには村の村長がいた。
村長には昨晩に挨拶をすませ、
調査のための滞在許可を得ていた。
「あ?村長のじーさんじゃねぇか。どうした一体」
「すみません、せっかく滞在させていただいているのにまだ何も分かっていなくて」
「なにも・・・そうですか」
「そういえば、さっき何て言った?必要はないってどう言う意味だ?」
バロンの言葉に村長の目が険しくなる。
「昨晩は滞在を認めましたが、村の者で話し合いましてお三方には我々の村から出ていっていただくことになりました。今日中にお荷物をまとめてください」
村長の突然の言葉に、バロンが立ち上がる。
「どういうことだ?」
「そのままの意味でございます。この村はスタンピードに襲われた傷が癒えていない。外の人間がいては気が安まらないのです」
「そんな・・・」
テレシアが驚いている。
「おい、じーさん本気で言ってるのかよ?国の危機かもしれねーんだぞ」
「お引き取りください」
「なにかあるならよ、俺たちが助けてやる。だから何があったのか言ってみろ」
「・・・お引き取りください」
バロンが村長との距離をつめる。
だがそんなバロンをククルは咎めない。
「言えよ、なにか隠してるんだろ?」
「・・・っ、お願いいたします。お引き取りください、お願いいいたします」
村長は3人に頭を下げる。
そんな姿に、バロンもすっかり毒気を抜かれててしまう。
「そうかよ・・・」
三人は立ち上がり、荷物をまとめようと動き出そうとした。
だがその時、部屋の入り口に一人の男が立っていることに気が付く。
「俺にも話してはくれないか、村長?」
そこに居たのは、ボルド王その人であった。




