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第67話 最強魔法と痣の呼び掛け


俺の炎とヒナタの氷。

これまでの剣を主体とした戦闘に、

魔法と言う範囲攻撃が加わったことにより

俺たちの戦闘能力は飛躍的に向上していた。


俺が魔法を収束するために集中している間はヒナタが、

ヒナタが魔剣に魔法を使わせる時には俺が。

瞬時に前衛と後衛を入れ替わりながら、

俺たちは次々とリザードマンを屠っていった。


教会を囲むように群れていた魔物達も、

ほとんどが俺とヒナタの周囲に集まり出していた。

これでひとまずは教会の中に居る人たちの危機は救えたか。


周囲に残るリザードマンの残存戦力は30匹程度。

このまま一気に焼き尽くしてやる。

俺がそう思い魔力を収束しようとした瞬間だった。


「伏せて!」


ヒナタの声が聞こえとっさに俺はその場に伏せる。

俺の頭の上を何かが通り過ぎ、そのまま地面に突き刺さった。

それは巨大な槍であった。


俺とヒナタが、その槍が飛んできた方向を見るとそこには

他のリザードマンとは異なる、灰色の肌色の巨漢のリザードマンがいた。

これまで倒してきたリザードマンの倍以上はあるだろうか。

間違いなくこいつが親玉だ。


「リザードキング」


ヒナタが言う。

リザードマンを統率する知能と、戦闘能力を持つ上位種だ。

間違いなく上位クラスの騎士団でも単体では手を焼く存在。

俺たちが北の廃坑で倒したアークタラテクトと同列の強さと

考えてもいいだろう。


リザードキングは険しい視線でこちらを睨み、

じりじりと距離を近づいてくる。

他のリザードマンたちは俺たちへの攻撃をやめ、

リザードキングの行動を見守り始めた。



「ヒナタ、こいつを倒せば決着だ」


「理解している」


アークタラテクトを倒した時は、

テレシアが無理をして放った攻撃魔法によりトドメを刺すことが出来た。

だがここにチートキャラの女神様はいない。

俺とヒナタとでこいつを倒さなくてはならないのだ。


「グギャアアアアオオオオン!!!」


俺たちが戦闘態勢に入ると同時に、

リザードキングは鼓膜が破けるほどの大音量で咆哮をあげた。



「ぐっ」

「っ!」


俺とヒナタはその咆哮の圧に身体が動かなくなる。


<バインドボイス>


上位の魔物が使う、対象の動きを硬直させる技だ。

硬直が解けない状態の俺達にリザードキングが突進してくる。

すさまじいスピードの巨体を避けることも出来ず、

俺とヒナタは吹き飛ばされた。


地面に叩きつけられ、全身に痛みが走る。


「ぐうっ・・・」


何て硬い身体だ。


俺たちを吹き飛ばしたリザードキングは悠然と

地面に突き刺さった槍を回収した。


見るとリザードキングを挟んだ反対側に

ヒナタも吹き飛ばされていた。

だが、俺と違いしっかりと受け身を取ったようで

俺よりも早く立ち上がり、

リザードキングに飛び掛かった。


俺もヒナタに続くべく、

<炎刀>を発動させてリザードキングに接近する。


リザードマンたちとの戦闘で、

かなりの魔力を消費してしまっている。

魔力不足となる前に片付けるしかない。




リザードキングの槍は他のリザードマンのそれよりも巨大で、

まるで丸太を振り回しているかのような迫力であった。

槍の刃の部分はもちろん、柄の部分であろうと触れてしまえばダメージを受けるだろう。


俺たちはリザードキングが振り回す槍を避けながら、

少しずつ剣撃を放つしかなかった。

無論、避けながらの一撃に威力を乗せることは至難の技で、

リザードキングに明確なダメージを与えることは出来なかった。


「グギャアオン!!」


紙一重の攻防の中、

リザードキングが振り下ろした一撃を誤って剣で受けてしまう。

槍によるダメージは無いものの、剣を持つ手が痺れる。


「ぐっ」


咄嗟に距離を取る判断をし、

バックステップのために地面を踏みしめた瞬間、

真横から何かが飛んできて俺は吹き飛ばされていた。


あまりの痛みに目がチカチカする。

堪えながら顔を上げると、

どうやら俺を吹き飛ばしたのは

リザードキングの巨大な尻尾であったことに気が付く。


左腕がやられたようで、痛みにより腕が上がらない。

これは不味いぞ。


リザードキングが俺に追撃を放とうと、体勢を低くする。

その時、反対方向からヒナタの声が聞こえた。



<氷牙>



俺とリザードキングの間に、氷の塊が発生する。

立ち込める氷煙の中、ヒナタが俺のもとに飛んできた。


「大丈夫?」


質問されるが、それに答える言葉がない。

あまりの痛みに額から冷や汗が流れる。


「・・・このままでは勝てないな」


「同意」


魔法を放つにしろ、

<陽炎>か<月穿>を撃つにしろ、

どちらにせよこの攻防の中では難しい。

このままではジリジリと攻められ、

体力の差でやられてしまうだろう。

かといって、魔剣を扱い始めたばかりのヒナタでは

リザードキングに致命の一撃を放つことは難しい。


決め手に欠く状況を嘲笑うかのように、

リザードキングがヒナタの氷牙を破壊し顔を出した。

獲物を見つけた肉食獣のように、

ギラギラした目付きであった。


その時、俺は自分の胸に微かな熱を感じた。

その熱は次第に温度を上げ、

明らかな熱さを感じるほどになった。


服の上からでも分かる。

俺の胸に刻まれる、

最強魔法の痣のひとつが呼び掛けるように鼓動していた。


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