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第63話 最強魔法と ボルド王の勅命


ボルド王の突然の来訪に、俺たちは固まる。


「なんだ?そんな化物でも見たような顔して」


ボルド王が不思議そうに言う。

その瞬間、バロンたち旧ピジョン騎士団組が片膝をついて

膝まづいた。

その動きに驚いているのは、俺とヒナタとテレシアだ。

特にテレシアは自分も膝をつくかワタワタしている。

やめろ、お前は女神だろ。


「あー、よせよせ。こんな場でそんなのは不要だ。」


ボルド王が面倒臭そうに言う。


「し、しかし・・・王よ、なぜこのような所にいらしたのですか?」


ククルが顔を上げずに尋ねる。


「・・・理由、か。」


ボルド王が俺を見る。

その険しい目付きに一瞬ギクリとする。

だがその視線もすぐに外され、もとのけだるそうな感じに戻る。


「お前ら、スタンピードの発生を制圧して帰って来たんだってな。なら、今各地でスタンピード発生の予兆が出まくってるの知ってるだろ?」


「は、はい。騎士組合から新たな依頼も受注するつもりですが・・・」


ククルが答える。


「お前らの担当をした受付嬢、ステラって言うんだが。あいつは優秀だな。お前たちが持ち帰った情報をいち早く俺まで届かせやがった。それでな大臣たちと相談してこれはボルド国として本格的に調査することにした。それでお前らに話を聞きに来たって訳だ」


「・・・一国の王が直接、騎士に話を聞きに来たってのか?」


バロンが素直に感想を言う。


「ちょっとバロン失礼でしょ!申し訳ございません!」


「ハハハ、気にすんな。確かにそうだな、そう思うかも知れない。豪華な椅子に偉そうに座ってるのも俺の大事な仕事だ。けどな、有事の時ほどトップは現場に近付かないと役に立たない。素早く動くときに重い頭は邪魔なだけなんだよ。ただ大きくなる分にはいいが、国は頭でっかちになっちゃ終わりだ。分かったか?小僧」


「・・・っ」


ボルド王の言葉にバロンが言葉を失う。

俺も同時にボルド王を見る目が変わった。

この人はきっと、優秀な王だ。


「さて時間もねぇし、話してくれるな?お前らが見たスタンピードの状況を」


・・・

・・



ボルド王は俺たちから一連のスタンピードの状況を聞き出すと、

何を考え始めた。


「なーるほどな、よく分かったぜ。ありがとうな」


ボルド王はそう言って、椅子にもたれ掛った。


「何が、起きてるんですか?」


俺はボルド王に尋ねる。


「いや、分からねえな。だが分からない事が起きてるってことが分かった。それなら相応の調査するだけだ。」


「そう、ですか」


ボルド王は、再び何かを考える。


「お前ら、明日からまたスタンピード制圧に行くって言ってたか?今日帰ってきたばかりだろ?」


「はい、そのつもりです」

ククルが答える。


「そうか・・・よし決めたぜ」


「決めた?」


「俺からお前らに依頼だ。勅命依頼ってことにしてくれ」


ボルド王はさらりとそんなことを言った。


「ち、勅命依頼・・・?」

「・・・マジかよ」


バロンとククルが驚いている。

ボルド王からの直接の依頼など普通はありえない。


「内容は?」


「分かってんだろ?スタンピードの原因究明、それから出来る限り被害を抑えて欲しい」


「俺たちが・・・」


「あぁ、頼めるか。もちろん報酬は弾むぜ?」


「・・・受ける」


報酬の話になった途端、

今まで興味なさそうに聞いていたヒナタが答える。


「ち、ちょっとヒナタ」


ククルがあわててそれを止める。

危なかった。


「俺たちに依頼する理由は?ボルドには高ランクの騎士団がいるはずですよね」


俺はボルド王に尋ねる。


「あー、確かにそうだな。だが俺が今すぐに動かせる、信頼のおける騎士団ってのは少ないんだ」


「・・・騎士団ランキング1位のラフィット騎士団は?ボルド王の懐刀と呼ばれる彼らなら」


「あいつらこそ、動かすわけにはいかない。忘れたか?俺たちは今、テステフとの戦闘を目前に控えてるんだ。それこそ国防に影響が出ちまう。そもそもこのスタンピードだって何がどうなってるのかも分からねえんだ。そんな状況でラフィットを動かすのは得策じゃねぇ」



王はこの騒動の裏に人為的な事件の可能性も感じていると言うことか。

王の言うことには理が通ってる気がした、ただ一点を除いて。



「俺たちを選ぶ理由は?」


ランキングに入ったとは言え、

それはほぼ実力外のところが評価されてだ。

実力だけ見れば俺たちは上位騎士団には遠く及ばない。


なにか思惑があるのか。

そう勘繰る俺にボルド王は正面から目を見て答えた。




「勘だ、俺の。だがお前たちなら間違いなく出来る」




そう言われた瞬間、心がドクンと震えるのが分かった。

なぜか目頭が熱くなり、涙腺が緩まされた。


「か、勘・・・」


バロンもククルも同じ状態の様子だ。

これはズルいぞ。


「やってくれるか?」


王しての威厳と実力を兼ね備えた賢王ボルド。

その彼から正面から期待されて、信じられて。

これで心が動かなくては騎士ではない。



俺は片膝をつき、ボルド王に頭を垂れた。


「勅命依頼、確かに拝受いたします」


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