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第62話 最強魔法と突然の来訪者


ボルド騎士組合に入ると、人が少なくガランとしていた。


「なんだぁ?ほとんど人が居やがらねぇな」


バロンがそう漏らす。


「ホントね、皆出払ってるのかな?」


ククルが言う。


「あ、貴方たち!帰ってきたのね」


そう言って駆け寄って来たのは俺たちを担当してくれた

美人の受付嬢さんだ。


「あぁ!帰ってきたぜ。見事、スタンピードを制圧したからよ!」


バロンが自慢そうに言う。


「スタンピードを?あなたたちだけで?」


受付嬢さんは驚いたように俺たちを見る。


「あぁん?信じられねぇって面だな、おい」


バロンが絡もうとするのを目でククルが制す。

バロンが一瞬で大人しくなった。


「はい、それで依頼達成の報告に来たんです」


「分かったわ、お疲れ様。こっちに来てちょうだい」


俺たちは受付嬢さんに促され、

受付の方へと向かった。




「・・・はい、確かに。依頼主のサインも確認したわ。これが今回の報酬よ。スタンピードの発生可能性調査がメインの依頼だったけど、受注まで時間が経ってしまったからスタンピードが起きてしまったようね。ごめんなさい」


受付嬢さんは俺の顔を見て謝る。


「いえ、お気になさらず」


俺は端的にそう答えた。

少しぶっきらぼうだっただろうか。

年上の美人と話すとどうも気恥ずかしくなってしまう。

そんな俺を見て、受付嬢さんが微笑んでくれる。


「依頼主さんからの追加報酬も出てるから受け取って頂戴ね」


受け取った報酬は依頼達成時の報酬よりかなり多く、

バロンとククルが驚いていた。


報告も終わったし宿に戻ろうかと俺たちが腰を上げたとき、

受付嬢さんが俺たちに声をかけた。



「ねぇ、帰って来て早々に申し訳ないんだけど、明日も依頼受けに来てくれないかしら?」


「明日ですか?」


ククルが聞き返す。


通常、騎士団は一つの仕事が終わったあとは数日休むことが多い。

疲労回復、武器のメンテナンス、情報収集。

その間にやるべきことが多いため、連日依頼を受ける騎士団はあまりない。


だが、受付嬢さんの様子をみるになにか事情がありそうだ。


「なにかあったんですか?」


受付嬢さんは俺が話を聞く姿勢を示した瞬間、

明るい表情になってくれた。


「実は今、こんな状態なのよ」


そう言って受付嬢さんが出してきたのは、

大量の依頼書であった。

その依頼書を手に取り、じっと見るバロン。


「なんだこりゃあ」


しばらくすると驚いたように声を上げた。


・魔物大量発生の予兆あり

・<至急>スタンピード発生、討伐隊募集

・魔物大量発生調査

・魔物大量発生の予兆あり


そこに書かれていたのは内容は違えど、

すべてスタンピードの発生に関わる依頼であった。


「これは・・・どういうことですか?」


ククルが尋ねる。

スタンピードは土地に宿る魔力が飽和し氾濫することで

起きる自然現象だと言われている。

そのため、普通であればこんなに頻繁にスタンピードが同地域で起きることはありえない。


「分からないの・・・だからボルドの騎士団のほとんどは近隣のスタンピード制圧に向かって貰ってるわ」


そうか、組合に人気がなかったのは依頼に出払っていたからか。

合点がいった。


「これ異常事態ですよね。調査は進んでいるんですか?」


「それがあまり。こんな事態になったのは貴方たちが出発したあとくらいからなのよ。だから急ぎ派遣した騎士団たちもまだ依頼を達成できてなくて、情報がなかなか集まらないのよ」


そこで再び受付嬢さんは困った顔をする。

スタンピードの発生タイミングは読めないし、

大量の魔物が発生してしまえば、

討伐するには多くの時間と戦力が必要だ。

被害を出さないためには過剰戦力を投入するしかない。

大国ボルドの騎士組合と言えど人員不足になるのは当然だろう。



「わかりました。依頼を受注します。どちらにせよ、出発は明日の早朝になると思いますので、今日は

宿に戻って支度をして明日の早朝にまた来ます。」


「本当に?」


俺の言葉に受付嬢さんが驚く。

帰還したばかりの俺たちが依頼を受けたのがそれほど意外だったようだ。


「もちろんです。スタンピードを放っておけば多くの被害が出ますよね。まだ弱小の騎士団ですが、守れる人は守らないといけない。」


俺がそう言うとバロンとククルも強く頷いた。


「・・・ありがとう」


受付嬢さんは小さな声でそう言った。




・・・

・・



「と、言うわけだ。なにかあるか?」


宿に帰り一同に介した俺たちは、組合での出来事と状況を共有した。

モルドレッドは驚いていたが、ヒナタとテレシアは特に異論はない様子だ。

ぶっちゃけ聖都でも体力に任せてほぼ毎日討伐依頼をこなしていたし、

二人にとっては問題ないことだろう。


「正義感が強い団長を持つと苦労するぜぇ」


そう言うバロンだが、ムートン騎士団でもっとも正義感があるのは彼だ。

文句は言っているがそれがまったく本気でないことはわかる。


「出来るだけ準備をしておくわ。あとは馬車の手配と・・・」


ククルは既に明朝の出発に向けて準備を進めている。

ククルのような学級委員長タイプがいるとホントに助かるな。

なお、ミリアルドさん達には状況は報告済みだ。


では質問も無いようなので解散だな。

明日は日の出と共に出発だし、早く眠るとしよう。

そう思い解散しようとしたその時、

俺たちの部屋の扉がノックされた。



「誰だ?こんな時間に」


そう言ってバロンが扉を開けにいく。

ミリアルドさん達のうちの誰かか。


扉がゆっくりと開き、

一人の男が部屋の中に入ってくる。


突然のことに、全員の時が止まる。


「・・・う、そだろ?」


「ハハハ。なんだ、ずいぶん安っぽい部屋に泊まってるんだな。ムートン騎士団よ」


そう言って笑ったのは、

ボルド国王、その人であった。


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