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第61話 最強魔法と新たなる問題



スタンピードを鎮圧したのち、

組合への報告のため発生した魔物の数を調べた。


討伐数

オーク85体

ゴブリン72体


逃亡した魔物たちもいるため、

発生数自体はこの数字よりも多かったはずだ。


150体を越えるスタンピードの鎮圧。

これはCクラスの騎士団の成果としては

十分以上の内容であった。

正確な測定は出来ないが、

その内の半数以上は俺が単独で討伐したらしい。

次点の討伐数で多いのは40体を屠ったヒナタだ。

剣技だけでその数を倒したのも恐ろしい数字だな。


だが当の本人は納得が出来ていないようで、

先程からずっと不満を口にしている。



「魔法、ずるい」



とにかくスタンピードの鎮圧は成功し、

村に被害を出さずに解決することができた。

今はバロン、ククル、モルドレッドがジョセフと共に、

後処理を行っている。


俺とヒナタの前線組は、

体力回復のために留守番だ。

色々と疲れたしな。


今回、魔法をつかった戦闘により成果を出したが

課題と改善点は多いな。

単独で先行したから炎魔法の長所を引き出すことができたが

これが集団戦闘であれば他のメンバーに被害が出ないように、

出力おさえなくてはならない。

今の俺にそこまでのコントロールは出来ないだろう。


それに一番の問題は継戦能力だな。

全力で戦える時間が10分にも満たなければ、

戦場ではほぼ役に立たないだろう。


コントロールとスタミナ。


この両方を強化することが今後の課題になりそうだ。


俺がそんなことを考えていると、

扉が開きバロンたちが帰ってきた。



「終わったぜー、団長」


「おかえり。ありがとう、3人とも」


俺は3人に声をかける。

その後ろからジョセフが続けて入ってくる。


「皆さん、本当にありがとうございました。村を代表して改めてお礼を言わせてください」


ジョセフが頭を下げる。

真正面からの感謝に我が騎士団は三者三様のリアクションをしている。

ククルは優しそうにジョセフを見つめ、

バロンは照れ臭そうにしている。

ヒナタはいつも通り無関心、

テレシアは突然の感謝にあわあわしている。

ジョセフの、そして村の役に立てて良かった。

俺たちは満足感を胸に、

ボルドへと帰還することにした。






「おい、テレシア。どうした」


帰りがけの馬車で、

テレシアが神妙な顔をしていたので話しかける。


「あ・・・いえ・・・」


「なにかまだ気になることがあるのか?」


「えっと・・・そんなに重要なことでもないですけど」


やけに歯切れが悪い。


「結局、到着したときに感じた不思議な感覚の正体が分からなかったなー、なんて」


「あー、たしかにそんなこと言ってたな。スタンピードが原因じゃなかったのか?」


「はい、結局なにも分かりませんでした。こんなことあんまり無いんですけどね・・・」


たしかに気味が悪い。

テレシアの関知能力でもわからないことなんてあるんだな。

俺は少し怖くなり、テレシアに伝わらないようにそのまま会話を流した。

だがテレシアも同じ感情だったのだろうか、

馬車のなかでほんの少しだけ肩が触れるくらいに近づいてきた。

俺はいつものようにツッコミをいれようとしたが、

なにやらそうするのも無粋な気がして、そのまま道中を過ごした。



・・・

・・



ボルドに帰還した俺たちは、

とりあえず組合に完了報告をすることにした。


「私は買い物にいく」


そう言って到着早々に別行動を強く希望したのは、

予想に反してヒナタであった。


「お、おう・・・」


いつもなら、そんな勝手な行動には小言を言うはずのバロンも

ヒナタの圧に負けて承諾の言葉を口にした。


「テレシアも連れていく」


「へ?わ、私ですか?」


この二人が二人だけで行動するのは珍しい。

しかもヒナタの方から声をかけるなんて相当だ。


「おぉ!それならご一緒しますぞ」


「貴方は来なくていい」


申し出を一瞬で退けるヒナタ。

モルドレッドはガックリと項垂れた。

俺たちは宿で合流する約束をして各々の目的地に向かった。



・・・

・・


「ヒナタちゃ~ん、いったいどこに行くんですか?」


ヒナタはテレシアを従えてずんずん進んでいく。

心配になったテレシアはヒナタに声を掛けた。


「商業区へ向かう」


「商業区ですか?何か美味しいものでも食べるんですか?」


テレシアの言葉に足を止めるヒナタ。

振り返りヒナタの目を見つめて言う。


「剣を探して欲しい。一緒に」


「剣ですか?」


テレシアはヒナタに質問をする。


「ルークが魔法を覚えた」


「・・・・そ、そうですね、強かったですね」


「ルークは強い。私も強くならないといけない」


二人はスタンピードでのルークの戦果を思い出す。

単独で80匹以上の魔物を倒したルーク。

それだけでも恐ろしい力だが、もっと恐ろしいのは

ルークが先行してからヒナタたちが追い付くまでの

僅かな時間でそれを実行したことだ。


そんな事が出来るのはボルド騎士の中でも、

一握りだ。


ルークは元からかなり優秀な剣士であったが、

それでも一般的な剣士と比べて強いと言った程度であった。



実は特典魔法の制限が解除されたことをきっかけに、

肉体強化も増強され基本性能自体が向上しているのだが、

ヒナタもテレシアも、そしてルーク本人もそんなことを

知る由もなかった。




「けど私は魔法が使えない」


「それで、剣ですか?魔法を頑張って覚えると言う手もありますが・・・」


「私は剣が好き」


「な、なるほど・・・。素晴らしいです」


端的だが、ブレないヒナタの意志の強さに感嘆の声を漏らすテレシア。


「この街は物流の中心。ここなら私が求める剣があるはず。でも街は広すぎる。私一人では到底探すことは出来ない。そこでテレシア、あなたの力を貸してほしい。」


「私の・・・?剣を探せばいいですか?」


「お願い出来る?」


ヒナタの素直な頼みに首を縦に振るテレシア。

普段はイジられてばかりのヒナタに頼られたことが嬉しかった。

こうして二人は広いボルドの中で、テレシアの探知能力を存分に使い

ヒナタの新装備を探し始めるのであった。



「あの、ヒナタちゃん。それでどんな剣を探せばいいんですか?」


テレシアの問いにヒナタは珍しく笑みを浮かべて答える。


「魔剣が良い。それも飛び切り凶悪なやつ」


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