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第55話 最強魔法とボルド王


「明日はいよいよ謁見よ」


夕飯後にロゼに集められたのは、

俺、ロゼ、ミリアルド、ガルド、ラインバッハ、セレティアだ。

明日はこのメンバーでボルド王との謁見に望む。


「今回の戦争の調査書、ラインバッハとセレティアが作成したものをすでにボルド王家に提出してあります」


ミリアルドが言う。


「ありがとう、二人とも。今回の流れはポイヤックとテフテフ双方に問題があったことを認めて、公平な裁判のもとこの戦争を終結させることよ。ボルド王に戦争裁判を開いて貰うわ」


「身内を糾弾するようでちと気が引けるが仕方ねぇな!ガハハハ!」


ガルドが笑う。


「俺はどうすればいい?と言うかホントに必要なのか?」


俺はロゼに尋ねる。


「・・・おそらく必要よ。いえ、間違いなく。行けばわかるわ」


即答するロゼ。

他のメンバーもうんうんと頷く。

なんだってんだ。


そのあと、その会は細かい確認をしただけで解散となった。

今までに十分に想定と練習を重ねてきたのだろう、

ロゼの顔には自信が伺えた。


なぜ俺が同席するのかは分からないままだが、

何か力になれるならそれだけでもいいか、と思えた。



・・・

・・


謁見の間は豪華絢爛という言葉が似つかわしい、

巨大な聖堂のような作りをしていた。

聖都の大聖堂よりも巨大で、ボルド王家の力を誇示しているように見える。


謁見は1日に会える人数と時間が制限されているが、

嘆願書さえ出せば農民でも商人でも騎士でも、

誰もがボルド王と謁見することが出来る。


農民から水害の相談を受ければ治水事業を、

商人から商売の状況を聞いて減税を、

騎士から役人の汚職を聞いては更迭を。


この謁見でボルド王は多くの政策を作ってきた。

現ボルド王が良王と言われる由縁である。


側近に呼ばれ、

待合室から出た俺たちは謁見の間の目の前にいた。


「さ、行くわよ」


緊張した面持ちのロゼを先頭に、

俺たちはボルド王の前に進む。


「お久しぶりでございます、ボルド王。ポイヤック王家ロゼでございます」


ロゼはドレスの裾を広げ、挨拶をする。

ボルド王はメドック国家連合の盟主であるが、

王家間に力の差はあれど序列はないのだ。

ロゼ以外のメンバーは膝をつき頭を垂れる。


「ポイヤック家ロゼ姫よ、久しぶりだ。この度の戦争の件、聞き及んでおるぞ」


腹のそこを震わせるような威厳のある低い声が響く。

ボルド王の顔も見えないが、一瞬で汗が吹き出る。


「こちらこそ、お目通りいただきありがとうございます。実は本日はその件で・・・」


「戦争裁判は、せぬぞ」


ロゼの言葉を遮るようにボルド王が言う。

完全に出鼻を挫かれた。

顔は上げられないが、

ロゼの戸惑いを手に取るように感じる。


「・・・そ、れは。失礼を承知でお聞きいたします。今回の件の調査は先日お送りさせていただきました。それでも戦争裁判は行わないとご判断されると言うことでしょうか」


「そうだ」


柔らかいが明確な拒絶。

俺にもその言葉には強い意志があることがわかった。



「理由をお聞かせ願いますか」


「無論だ・・・だが、その前に」


ボルド王が声をかけると、

周囲から人の移動する気配がした。

どうやら人払いをした様子で、

やがて周囲から俺たち以外の気配が消えた。






「よし、誰も居なくなったな。お前ら、もう顔あげていいぞ」


一瞬、聞き間違えかと思った。

だがそう言ったのは、

先程までの威厳のある口調とはまるで違うボルド王であった。

俺たちは戸惑いながら顔をあげる。


そこにいたのは王と言うよりはまるで壮年の騎士のような

力強い雰囲気を纏った人物であった。


いや、雰囲気だけではない。僅かな所作からボルド王自身がかなりの実力者であることもわかる。

俺が想像していたのとはまるで違う王の雰囲気に、

俺は戸惑いを感じた。



「初めての顔も多いか。俺が15代ボルド王のフラン・ボルドだ。よろしく頼む」


そう言って爽やかな笑顔を向けるボルド王。

イメージ違いすぎるぞ。



「ちょっとボルド叔父様!さっきのはどういう事よ!」


そう言ってボルド王に怒鳴ったのは我らがロゼ姫である。


「相変わらず元気だな、ロゼ。お前の母親を思い出すぜ!ありゃじゃじゃ馬だったが、その才能をしっかり引き継いだようだな」


「なっ・・・じゃじゃ馬って!」


そう言ってボルド王は大笑いする。

ロゼは顔を赤くして抗議しているが、

完全に手玉に取られている様子だ。

ミリアルドさんもはぁとため息をついている。



「ボルド王とのポイヤックの先王、ロゼ様のお父様は戦友でしてな。子供の頃より交友があるのでございます」


ミリアルドさんが戸惑う俺に教えてくれた。

なんだそういうことか。緊張して損した気分だな。



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