第54話 最強魔法と魔力測定
モルドレッドに連れてこられたのは、
商店街の脇道にある怪しげな店であった。
中にはいると様々な本や、
道具が所狭しと置かれている。
「すごいところだな」
「ふふ、驚かれましたかな。この店は魔導師では知らぬ者は居ないほど有名店ですぞ。えっと・・・ロジカ殿、いらっしゃいますか!」
モルドレッドか店の奥に叫ぶ。
するとのそりと大柄な女性が出てきた。
ソバージュのようなくせ毛で、
真っ黒なローブをまとっている。
「あら、モル坊やじゃないの。久しぶりね」
「お久しぶりです、ロジカ殿。相変わらずお美しいですな」
予想外のモルドレッドの言葉に、
俺はモルドレッドを二度見してしまう。
そんな俺にモルドレッドは、
こちらを見ることなく肘打ちした。
「ふふ、変わらないさ。魔導師だからね。あら?見ない顔だね」
ロジカは俺の方に視線を移し、怪しく微笑んだ。
「うむ、我らの騎士団長ルーク殿をお連れした。お若いが非常に優秀なお方なのですぞ。ただ今日はご本人の魔力適性を確認するためにお連れしたのですぞ」
「ほう、あんたみたいなのが騎士団をね。なかなかやるようだね。だが魔法の方の才能はどうかな・・・?いいだろう、こっちへ来な」
そう言ってロジカは店の奥へと進んでいった。
これは着いて行けばいいのか?
俺が躊躇していると、
モルドレッドと目が合いバチンとウインクをされた。
どうやら彼は店内に残るようだ。
俺は一人ロジカのあとを追う。
「さぁ、そこに座りな」
ロジカに促され、席につく。
二人がけの小さなテーブル。
その中央には水晶の結晶のようなものが積まれていた。
これが何か俺は知っている。
「魔力測定器か」
「あん?知ってるのかい?」
「以前、父さんに連れられて聖都の魔法書店に行ったことがある。その時に測定したんだ。その時は魔法を使うことも出来なかったが・・・」
「魔法の発現については個人差があるからね、珍しいことはない。使い方はわかるね?」
ロジカにそう言われ、俺は当時の事を思い出す。
そしてその時の記憶に従い魔力測定器に手をかざす。
あの特は書店の店員に雑な説明しかされなかったが今ならわかる。
このまま魔力を集中すればいいのだ。
「・・・・」
俺は目を瞑り意識を集中した。
テレシアに教わった通り、魔力を集約する。
するとかつては何の反応も示さなかった魔力測定器に変化が現れる。
「おぉ・・・」
その光景を見てロジカが声をあげる。
魔力測定器はゆっくりと光始めたかと思うと、
徐々にその光を強くしていった。
柔らかい赤い光だ。
魔力測定器の輝きは魔力の量。
光の色は適性のある属性を表している。
そして魔力測定器からはかん高い音がなり始める。
キィィィィンと金属が共鳴するような音だ。
「あんた・・・、もう大丈夫だよ。そこまでにおし」
ロジカに言われ、俺は魔力の集約を止める。
良かった、目眩やそんな症状は出ないようだ。
「・・・あんた、何者だい?」
ロジカの質問にギクリとする。
「何者、って言うのは?」
俺はロジカに質問する。
「とぼけんるんじゃないよ。魔力測定器を哭かせる事が出来る人間なんてそうはいない。しかもあんたみたいなガキが出来るようなことじゃないんだ」
そう言ってロジカは険しい顔をする。
魔力測定器が哭く、あのかん高い音が鳴ったことか。
意識はしてないが不味かったのだろうか。
ロジカの質問に、俺は答えることができない。
ロジカはじっと俺の目を見たまま無言の時間が続く。
「・・・はぁ、言えないってか。まぁ仕方ないね、悪いやつじゃなさそうだ。でも今後、魔力の扱いには気をつけな。あんたの魔力は莫大なものだ。だが身体と技術が伴うまでは、あんた自身に牙を剥くだろうよ」
俺はロジカの言葉に昨晩、意識を失い倒れたことを思い出す。
気を付けねば。
「なにか困ったことがあればまた来な。これも何かの縁だ。相談には乗ってやろうじゃないか」
そう言ってロジカは立ち上がり、店の方に戻っていった。
「おぉ!おかえりなさいませ、それでいかがでしたかな!我が騎士団長のお力は!」
モルドレッドが気になっていたのか矢継ぎ早にロジカに質問する。
ロジカは当たり障りのない回答でお茶を濁してくれたが、
モルドレッドは満足したようだった。
店から出るとき、ロジカと再び目が合う。
その視線は何かを語っているようであったが、
怖いので質問するのは止めておいた。
俺とモルドレッドは宿へ戻ることにした。




