第53話 最強魔法とモルドレッドの教え
俺が目を覚ましたのは次の日の昼過ぎであった。
気が付くとベッドに寝かされていたようだ。
「ル、ルーク君!大丈夫ですか?」
俺が目を覚ますとテレシアが心配そうに飛び付いてきた。
「ちょっとテレシア!ミリアルドが起きても安静にするようにって言ってたでしょ!」
そう言ってテレシアを叱責するのはロゼだ。
「で、ですが・・ですが・・・」
テレシアはオロオロしている。
「テレシアはミリアルドを呼んできて!もう起きたんだからそんなに急がなくていいわ!」
「は、はい!承知しました!」
ロゼに言われてテレシアは大急ぎで部屋を出ていく。
慌ただしいやつだ。
「慌ただしい子ね」
ロゼがそう呟く。
同意見だ。
「最近こんなシーン多いな?」
「あなた、倒れすぎよ・・・今回は魔力の使いすぎだってミリアルドが言ってたわよ」
「魔力の・・・」
それで何が起きたのかを理解する。
なるほどテレシアが陥ったのと同じ状況だったか。
魔力の使いすぎによる意識喪失。
体験してみると恐ろしいな、
これが戦闘中だったらと思うとゾッとするな。
ベッドから身体を起こしてみると、
思ったよりも軽やかで、
影響はない様子だった。
「ん、大丈夫みたいだ。心配をかけてごめん」
俺はロゼに言う。
「いいわよ、あなたはそれで。でも聞きたいんだけど、あなた魔法が使えないって言ってなかったかしら?」
ロゼが言う。
確かにその通りだ。
今まで散々魔法が使えない剣士で通してきたのだ、
実は使えました、では納得させられないだろう。
だがここで色々と明かしてしまうのは問題がある気がする。
ロゼは明日大仕事を控えている身だし、なるべく心労をかけたくない。
迷った結果、俺はロゼに対しては秘密で押し通すことにした。
「急に使えるようになった」
「急にって・・・そんな話聞いたこと・・・」
「俺も分からん。だけどテレシアに教わったら火が出せた」
「自然魔法・・・ってこと?でも魔法を顕現させるには何年も訓練が必要って・・・」
そこからロゼの怒濤の追求を、知らない分からないですべて押し通した。
実際ロゼはまったく納得していなかったが、致し方ない。
押し問答に俺が答える気がないことがわかると、機嫌が悪くなり部屋から出ていってしまった。
悪いことしたかな。
・・・
・・
・
「なんですと?魔法の使い方?」
そう言って不思議そうに聞くのはモルドレッドだ。
彼は元ピジョン騎士団の魔導師で、我が騎士団唯一の魔法戦力である。
俺はモルドレッドに魔法が使えるようになった旨を説明する。
「ふ、ふーむ。たしかに魔法が使えなかった者が時おり魔法を使えるようになったと言う話は聞きますが・・・ルーク殿が・・いやいや不思議なこともあるものですな」
モルドレッドはロゼと違いそれ以上追求はしてこなかった。
彼自身の性格もあるだろうが、
騎士にはお互いの能力についてあまり詮索をし過ぎないという暗黙のルールがあるのだ。
「そ、そんなことよりルーク殿、テレシアちゃんは一緒ではないのですかな?」
ちなみにモルドレッドは重度のテレシア信者だ。
ふざけるな。
俺は咳払いをして話を仕切り直す。
「魔法を使ったら、意識を失ってしまってな。魔力の使いすぎが原因と聞いた。つまり魔力の絶対量が足りないと言うことだろう」
「うむ、正解のようで正解ではないですな」
モルドレッドは回りくどい言い方をする。
「どういうことだ?」
「使用する魔法自体の必要魔力量、必要魔力量の効率的な使用、魔法の威力と範囲、それから今仰った、ルーク殿の魔力量。一口に魔力切れと言ってもどこが原因かはっきりさせた方がよろしいですな」
「色々あるんだな。」
「そうです!魔法は奥が深いのですぞ!ささ、そうと決まれば参りましょう」
「いく?どこにだ」
「もちろんルーク殿の今の魔法力を計測しに、ですぞ」
モルドレッドはいそいそと俺を外へと連れ出すのであった。




