第51話 最強魔法と制限解除
「ルル、ルーク君!!」
夕飯を食べ自室で寛いでいると、
テレシアが飛び込んできた。
ノックしたか?今。
「大変です!これ!これを見てください」
そう言ったテレシアの手には、
先程大使館で受け取った書類があった。
受け取って中に目を通すと、
どうやら俺にも分かる言語で書かれているようだった。
一部制限解除のお知らせ-
制限中の以下の転生特典について一部制限を解除いたします。
・時空間魔法 Lv1まで解放
・変化魔法 Lv1まで解放
・自然魔法 Lv1まで解放
・女神の寵愛 Lv2まで解放
・??? 制限中
・??? 制限中
・??? 制限中
尚、別途申請承認された転生特典については
監督官の指示に基づき無制限に使用することが出来ます。
以下の注意事項を遵守し使用するようにしてください。
①魔法を人や家に向けたり、
燃えやすい物のある場所で遊んだりしないようにしましょう。
②風の強いときは、魔法を使うのはやめましょう。
③たくさんの魔法を、一度に使用しないようにしましょう。
④正しい詠唱と正しい方法で発動してください
以上
「読みましたか?」
「どういうことだ?」
「どうって!魔法制限が解除されたんですよ!やったーー!」
そう言ってテレシアが満面の笑みで抱きついてきた。
「ちょっと待て!少しは説明しろ、アホ女神」
「え!なっ、誰がアホ女神ですか!言わせて貰いますけど最近、私へのリスペクトが減りすぎてませんか!これでも1級神なんですよ!敬え敬えー!」
テレシアは顔を真っ赤にして怒っている。
「尊敬して欲しければ、相応の力を見せてみろ。話はそれからだ。さぁまずはこの書面の説明からだ」
「ぐぬぬぬ・・・いつか私の偉大さに気が付いてひれ伏すときが来ますからね!」
「・・・死ぬまでないな」
「わーー!!もう知らないんだからっ!ルーク君のアホー!」
そうしてテレシアは再びギャーギャーと騒ぎ出す。
宥めるまでにはしばらく時間がかかるのであった。
「それで・・・そろそろ説明してくれ話が進まん」
「うぅ、なんでこんなことに・・・不憫です」
テレシアは泣きそうになりながら説明をしてくれた。
転生特典だった最強魔法を使えるように調整を進めていたこと。
それにより申請と承認に基づき限定的に使用が認められたこと。
その他、危険性が少ない一部の魔法については自由に使用できるようになったこと。
「なるほどな、分かったような分からないような、だな。ここに書かれている時空間魔法とか、そういうのはどういう事だ?」
「それはルーク君が使える魔法の系統です。転生特典ではその系統魔法の最上位魔法が使用できるような接待がされていたんです。例えば、この世界に転生してすぐに使用した<星落とし>ですが、あれは時空間魔法の最上位魔法にあたります」
「今の俺はそこまでの魔法は撃てないって事か。少し安心したな、あんな危ない魔法は簡単には使えない」
「そうですね・・・、あ、でもLv1とは言えこれらの魔法はかなり強いと思います」
「どうやって使えばいいんだ?」
「あ、そうか。ルーク君は魔法が使えなかったんでしたね。ふふふ、良いでしょう。私が伝授しましょう、この私が!」
「・・・モルドレッドに教えて貰うからいいや」
俺はそう言って部屋を出ていこうとする。
モルドレッドは元ピジョン騎士団の魔導師だ。
「わー!意地悪しないでください!私に教えさせてください!」
「初めからそう言え」
「うぅ・・・私の神としての尊厳がどんどん失われていきます」
役に立たないプライドなんて早めに捨てた方が楽だぞ。
俺は言葉には出さず、テレシアにそっと笑顔を向けた。
「とは言え、ルーク君は既に制限が解除された状態なので使い方は簡単です。魔力を集めて魔法名を言葉にする、それだけです」
「簡単な説明だな。その魔力を集めると言うのはどうやるんだ。」
「以前、<星落とし>を使用した際には私がその部分を代行しました。今回は自分でやってみましょう!」
俺は半信半疑のまま準備を始める。
今までは父さんに魔法の使い方などを教わったことがあるが、
一切出来なかった。
ホントに使えるようになったのだろうか。
テレシアは珍しく俺にでかい顔が出来るからか、
ウキウキで準備している。
俺とテレシアは部屋のなかで、
1mほど離れて向かい合った。
「・・・まずは深呼吸して、お腹に力を入れてください」
俺は目をつむりテレシアの言うとおりにする。
ゆっくりと深呼吸。
「魔法は想像力がすべてです。ルーク君の右手から肩を通り左手へ、左手から脇腹を通って左足、そこから右足、最後は右手へ。魔力が体内を循環していると想像してしてください。」
指示通りにイメージを膨らませていく。
次第に温かいなにかが俺の身体の中に巡っているような感覚が出てくる。
なにかは俺の身体を円形に巡り、
その中心に熱を感じる。
「これ・・・」
「静かに。そのまま循環はどんどん早く、円が小さくなるイメージをしてください」
テレシアの言葉に従い集中を高める。
俺の中のなにかが、どんどん熱を帯びてくる。
「分かりますか?」
「あぁ」
「それが魔力です。ルーク君の身体の中にある力です」
「何て言うか、こう、すごいな」
ファンタジーな世界に転生してから数年。
ようやく俺も魔法が使えると言うことか。
「ここから魔法を使うにはどうすればいい?」
「あの時と同じです、魔法名を言葉にしてみてください」
あの時、と言うのは間違いなく俺が初めて魔法を使ったときだろう。
魔法名と言われ考えてみると胸の痣が少し熱くなったような気がした。
頭のなかに魔法の名前が浮かんでくる。
初めて知るはずの言葉なのに、なぜか昔から知っていたような気がする。
なんか不思議な感じだな。
<華炎>
「・・・っ!」
先程までとは比べられぬほどの熱を感じて目を開けると、
俺の目の前に炎が揺らいでいた。
俺は遂に、ファンタジーの世界に足を踏み入れたのだ。




