第46話 最強魔法とピジョン騎士団との再開
ボルド王国に向かう間際になっても、
俺たちはいつも通り仕事に向かう。
旅の支度や準備はミリアルドさんやラインバッハさんが進めているので
何も手伝うことがないのだ。
「おい!待て、ルークじゃねぇか!」
大通りを歩いていると、
そう言って声をかけてきたのはバロンであった。
「バロンさん、久しぶりです!体調はもう大丈夫なんですか?」
「あん?なんとか復活したよ!さすがに死ぬかと思ったがな!」
バロンは豪快に笑う。
北の廃坑から戻ったのち、一週間ほど寝たきりだったらしい。
それってかなりヤバイ状態だったんじゃないのか、
俺は質問しようとして止めた。
「ご、豪快なかたですね・・・元ヤンってやつでしょうか」
テレシアが小声で俺に言う。
おい聞こえるぞ。
「てめぇら、時間あるか?朝飯奢ってやるから顔貸しやがれ!」
バロンが相変わらず強引に俺たちを連れていこうとする。
「あ、いや・・・俺たちは今から組合で仕事を・・・」
俺の言葉に怪訝な顔をするバロン。
「あん?そうなのか?そっちの二人は来る気満々みたいだぞ」
バロンに言われて振り替えると、
我が騎士団のメンバー二人が俺に何かを訴える目をしていた。
「ルーク君、私お腹が空きました。朝御飯食べないと健康に良くないし、ぜひ行きましょう」
いや、お前さっきパン食べてただろ。
それに元ヤンだのなんだの言ってたのはどうした。
「奢り。素敵な言葉」
ヒナタも別の意味でバロンの提案を指示していた。
食欲よりも、奢りに釣られたな。
最近、ますます金の亡者になってきた気がする。
「おい、行こうぜ!久しぶりに会えたんだしよ!次はいつ会えるかも分からねぇんだ」
バロンに言われ、納得する。
まぁたしかにここで別れるのは寂しい気もするか。
騎士団やってる以上、お互いにいつ命を落とすかも分からないしな。
俺はバロンに連れられ、騎士組合と反対方向に歩き出した。
・・・
・・
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「バロン、どこをほっつき歩いて・・・あら?」
バロンに連れられ酒場兼食堂のような店に入る。
そこにいたのは、ククルとピジョン騎士団のメンバーであった。
懐かしい顔だ。
「お久しぶりです、ククルさん」
「久しぶり」
俺とヒナタがククルに声をかける。
「ルーク君、ヒナタちゃん!」
ククルが笑顔で駆け寄ってくる。
あの北の廃坑の後、初めての再開である。
「は、初めましてです!」
続いてテレシアがピジョン騎士団に挨拶をする。
俺たちはピジョン騎士団と、
同じテーブルついて遅めの朝食を摂り始めた。
・・・
・・
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「テメェら、Cクラス昇格だけじゃなく、騎士団ランキングにも載ったらしいな」
バロンが尋ねてくる。
「えぇ、分不相応だと思いますが。」
「カカ!分かってんじゃねーか!調子に乗るんじゃねーぞ、テメェらなんぞひよっ子なんだからな!」
隣に座るバロンが俺の背中をバシバシ叩いてくる。
おい、痛いぞ。
「バロン!そんな言い方しないの!あんた騎士団ランキングにルーク君達の名前見つけて大はしゃぎしてたじゃない」
「ば、バカ!はしゃいでなんて居ねぇぞ!ふざけんな!」
「そうかしら?さすが俺の見込んだ奴らだとか、一緒に依頼達成したんだ!とか周り自慢してたじゃない・・・」
「ぐ・・・あれはだな・・・」
ククルに恥ずかしい話をバラされ、
そのままバロンは黙りこんでしまった。
相変わらずバロンの扱いが上手いな、ククルは。
「あなたたちはこれからも聖都で活動するの?」
ククルが尋ねてくる。
「はい。そのつもりです。明後日にボルド王国に向かう用件がありますけど」
「ボルド王国・・・いったいどうして?」
「ボルド王に謁見の予定がありまして、俺たちはその一行の護衛、になるんでしょうか。同行する予定なんです」
「ボルド王との謁見だと!?」
俯いていたバロンが顔を跳ね上げる。
「どういう事だ、謁見なんぞただごとじゃねぇぞ。説明しやがれ・・・」
驚くピジョン騎士団のメンバー。
あれ、これは言ったら不味いやつだったのかな。
まぁ仕方ないか。バロンたちなら大丈夫だろう。
俺はバロンたちにムートン騎士団結成の経緯と今の状況を伝えた。
・・・
・・
・
俺が説明が終えると、
想像したリアクションよりもかなり思い雰囲気になった。
ククルは何かを考えている表情。
バロンは頭を抱えている。
他のピジョン騎士団のメンバーは言葉もない、と言った様子だ。
一体なにごとだ。
「なにごと」
ヒナタも同じ疑問を口にする。
俺が知るか。
「・・・おい、ククルよ。俺は腹を決めたぜ」
しばらくの沈黙のあと、バロンが口を開く。
「うん、分かってる。・・・たぶん私も、皆も同じ気持ち」
ククルの言葉に、ピジョン騎士団の他のメンバーも頷く。
「あの、一体なんの話を・・・?」
俺は状況が掴めず、バロンに尋ねた。
バロンは意を決したように、こちらを見て言う。
続いて発せられたのは思いがけぬ提案であった。
「おい、ルーク。俺たちをお前の騎士団に入れてくれ」




