第4話 最強魔法と父親の抱擁
「どういうことか説明して貰おうか」
俺はテレシアに話しかける。
『どういうこと、と言うのは?』
本気でわからないというような感じで質問してくテレシア。
「あれだ」
俺は目の前にポッカリとあいた大穴と、
景観の変わってしまった川原を指差す。
『あれは、ルークさんの魔法発動の後ですが・・・なにか気に入らない点でも?もう少しスタイリッシュな魔法の方がお好みでしたか?』
「そうそう、出来れば炎の魔人とか、氷の女王とかな・・・」
『炎の魔人に氷の女王ですか・・・ふむふむご要望にお答えできるか確認してみますね』
「っておい、ちょっと待て。そもそも隕石ってなんだ。百歩譲って隕石は認めるとして、あの威力はなんだ。俺は魔法名を言っただけだぞ。」
『ルークさん、転生ボーナスの件覚えてますか?』
「最強魔法つきの転生だろ?」
『そう仰るとおり。最強の、魔法です。』
「だからって、地形が変わるほどの魔法って・・・」
『勘違いされているようなのでお伝えしますが。初めての魔法発動時なので、私のほうで十二分に威力制御をかけました。理由は近隣にいくつかの村の存在を確認しており、無制御で放つとその村まで消し飛ぶ可能性があったからです。』
「あれで威力制御後だってのか?ちなみにその村まではどれくらいの近さなんだ?」
『ここから一キロほど下流にあります』
「一キロ・・・」
ルークは自らの魔法に眩暈がした。
『余談ですが、なにぶん私も発動するのが初めてでしたので。威力制御を計算するのに時間が掛かり発動が遅れてしまいました。今後はただ魔法名称の詠唱をキーとして、即時即刻魔法の発動が可能です』
「じゃあ、俺がまた<星落とし>って言えば隕石を落とせるってことか?」
質問するが、反応がない。
フリーズでも起こしたか。
「おい、どうし・・・」
『キーワードを確認魔法を発動します』
無機質な声で答えるテレシア。
「お、おい待て!!今のは!」
俺の制止もむなしく、
上空に巨大な影が迫る。
先ほどよりもはるかに巨大な隕石が川の上流の方に飛んでいく。
そして、
強烈な光と爆発音が聴こえ、
地震のような振動がルークに届いた。
『お分かりいただけましたか?ちなみに詠唱後の途中停止は不可能ですため、ご注意くださいね』
顔は見えなくとも、女神の笑顔が想像出来た。
悪魔のような天使の笑顔って言葉が頭によぎった様な気がする。
・・・
・・
・
「ルーク!無事だったのか。安心したぞ」
そう言って俺を抱きしめる老人。
彼はワーグ=ピースクラフト。
なにを隠そう、俺の祖父である。
俺はあれからテレシアに最強魔法の注意事項をいくつか聞いた後、
祖父の家へと帰宅していたのだ。
「突然、隕石が2つも降って来てな。村の近くの渓谷に落ちたそうなんだ。今、お前の父さんと騎士連中が探索に行っておる」
俺はそれを聞いて冷や汗をかく。
まさかその原因があんたの孫にある、なんて死んでも言えない。
「そうか・・・父さんが・・」
「心配せんでもすぐに帰ってくる。さぁ、爺ちゃんと一緒に風呂にでも入ろう。いくら何でも泥だらけ過ぎるぞ」
そう言ってワーグは俺の手を引き、浴室へと向かうのであった。
夕食が済んで少ししてから、玄関の扉が開く音がした。
その音を聞いて俺とワーグは急いで玄関へと向かう。
父が帰ってきたのだろう。
「無事で何よりじゃ。して、どうじゃった?」
「人的被害は何もありませんでしたが、落ちた隕石によりバルガス遺跡が完全に破壊されていました。」
「バルガス遺跡がか・・・おかしなことにならんと良いんじゃがな」
「念のため、聖都のほうには使いを出すことにしました」
「それがいいじゃろう」
俺はワークの後ろに隠れながら、二人の話を聞いていた。
遺跡?聖都?
どちらも俺の記憶にはないものだ。
だが隕石については身に覚えがありすぎた。
二人は一通り話をすると、俺の方に顔を向けた。
「ルーク、心配したぞ」
そう言ってルークの身体を抱き上げる父。
ジーク=ピースクラフト
聖都の騎士団で、部隊長を務めている。
ワーグよりも力強い抱擁だ。
父に抱かれているというだけで、
こんなにも安心感があるのか。
俺は目頭が熱くなるのを感じた。
その晩は父と同じベッドに入り眠りについた。
カケルとしての俺はもういい年齢ではあるが、
今の俺は8歳のルークなのだ。
多少甘えたとしても、自然だろう。




