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第39話 最強魔法と謁見の予定


「新しい騎士さんが加入したの??すごいじゃない!」


俺はヒナタをポイヤック王家メンバーに紹介するために協会まで連れてきた。

ロゼは新たな戦力の加入に大喜びの様子だ。


「ヒナタ様これからよろしくお願いいたしますぞ」


ミリアルドさんがニコニコと挨拶する。


「なんだよ、こんな可愛い子仲間にするとはやるじゃねーか!」


ガルドさんが俺の背中をバシバシと叩く。

おい、痛いぞバカ力。


ロゼたちに相談もなく、半ばヒナタに押し切られる形で加入となったが、

温かな歓迎ムードに俺は一安心した。

これで断られたらどうしようかと思った。

ヒナタ、無愛想だし。


だが肝心のヒナタは勇者の騎士団に加入したと言う事実にホクホクらしく、

終始ご機嫌であった。

こいつこんな一面もあるんだな、と素直に思った。


ただロゼ達には女神と神託の件は説明していないため、ヒナタには口止めをしている。

そのうち彼女らにも話さないとな。


「そうそう、こちらにも進展がありましたので共有いたします」


ミリアルドさんが切り出した。


「ちょうど一か月後に、ボルド王との謁見が決まりました」


「ポイヤック復興の第一歩ね!」


ロゼが鼻息を荒くする。


「確かに、姫様の仰る通りではありますが・・・そう上手くいくとは限りません。当日までに入念な準備が必要でしょう」


「分かってるわ!でもここが勝負なのは間違いないわ」


ロゼの言葉にミリアルドが頷く。


「ミリアルドさん、ちょっといいですか?」


俺は手を挙げて質問する。


「具体的に、ボルド王との謁見の目的はなんでしょうか」


「ふむ、そうですな。戦争裁判を起こしていただくのが主な陳情事項となるでしょう」


「戦争裁判?」


「戦争をした二つの国を第三国が審議して、どっちがどれだけ悪かったのを決める裁判よ。今回はそれも無くにポイヤック国が全面的に敗北してしまったからポイヤックは亡国になってしまったわけ」


「なぜ、戦争裁判は開かれなかったんですか?」


「ふむ、いい質問ですな。それは我々にも分からないのです」


「分からない?」


「前にも言ったけど、ポイヤック国とテステフ国は同じメドック国家連合の一員よ。その盟主たるボルド王が仲裁にも出ず、戦争裁判すら開かずに戦争が終結したの」


ロゼが言う。


「なので、今回は正規の敗戦処理をしていただく様に陳情するのが目的ですな。それさえ出来れば・・・」


「敗戦した手前贅沢は言えないけど、どんなに小さくとも領地と国民は取り返せるわ。つまりポイヤックは亡国ではなく王国として復活できるってわけ。そこから先は努力次第よ!」


なるほど、復興と言うのは適切な敗戦処理を目指していたわけか。

ロゼも何も考えていないわけでは無かったんだな。


一か月後の謁見に向け息巻くロゼ達であったが、

俺は少しだけ胸騒ぎを感じるのであった。



・・・

・・



その晩、身支度を終え教会の自室に入ろうとすると

なにやら隣の部屋がガサゴソと騒がしかった。


おかしい。

隣の部屋は確か空き家であったハズだが、泥棒か?

教会周辺は聖都騎士団のシャトーも近いため、治安は良いはずだが。

俺は自室から短剣を持ち出し、隣の部屋の様子を伺った。


何やら話し声がするが、よく聞こえない。

泣き声のようににも聞こえるが・・・。

だが間違いなく人の気配がする。

心霊現象でなくて良かった。



俺は意を決して、扉を開け中に飛び込んだ。


「誰だ!」


「ふぇえぇぇぇ!!」


突然の俺の侵入に驚愕の声を上げる不審者。

俺は短剣を素早く抜き、不審者の首元に剣を走らせる。

ドアからの僅かな間合いなど、俺の踏込なら一瞬で詰められる。


「た、た助けてください!怪しいものでは無いです!!」


俺はその声にとっさに反応し、剣を緩める。

今の声は聞き覚えのある声であった。

短剣は不審者の身体の寸でのところで動きを止めた。



部屋にある燭台に火を灯すと、部屋の中が照らされた。

同時に侵入者の顔も見えてくる。


俺は現れた相手の姿に深いため息を吐く。

通りで聞き覚えのある声だ。


「・・・やっぱりお前か、何やってんだ?」


「ル、ルークぐん・・・がえれなぐなってじまいましだぁ」


そこにいたのは涙と鼻水でグシャグシャになったテレシアであった。

北の廃坑以来の再開であった。



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