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第30話 最強魔法と蜘蛛の糸


俺たちは廃鉱の東部の探索を終え、

北部へと進行していた。


その途中、奇妙な光景を目にする。


「なんだあ、こりゃ!」


先頭を歩いていたバロンが言う。

見れば通路が白っぽい何かに埋め尽くされ、

真っ白になっている。


「これって・・・」


「蜘蛛の糸、か?」


俺たちは松明の炎を使いながら、

糸を焼ききって歩く。


「廃墟には蜘蛛型の魔物がいるのか?」


俺はククルに尋ねる。


「事前に調べた感じじゃ、そんなの居なかったわよ。もしかして、今回のターゲットかもね」


糸の量を見るにたまたま発生したレベルの話ではなさそうだった。


「蜘蛛は嫌い」


ヒナタが呟く。

誰も好きなやつなんていないと思うぞ。


「こっからは注意して進むぞ」


バロンが警戒を強め、一行もその後に続いた。




そこから更に一時間ほど進んだところで、

またバロンが足を止めた。

何事かと伺うと、バロンはその場にしゃがみこみ

地面を丁寧に調べているようだった。


「どうした?」


俺はバロンに尋ねる。


「ここ、僅かだが血の臭いがしやがる。それもまだ新しい臭いだ」


俺にはなにも感じない。

バロンは鼻が良いのだろうか。


「バロンは獣人とのクォーターなの。」


ククルがそっと教えてくれた。


「これ、見つけた」


周囲をうろちょろしていたヒナタが、

なにかを見つけて戻っていた。

見ると、兜をひとつ手に持っている。


「そりゃ・・・なんだ?」


「ゴツい騎士団、これと同じ兜を被っていた」


ヒナタが答える。

ゴツい騎士団とは恐らくトトラク騎士団のことを言っているのだろう。

俺もその兜には見覚えがあった。


「十中八九、ここであのオッサン達が戦闘したと思ってよさそうだな、おい」


バロンが言う。


「でも、近くに彼らの気配は感じないわね」


「ギルド長の言ってた忽然と姿を消すって話と一致すんなぁ」


バロンが言う。

一同の間には奇妙な雰囲気が漂った。

その時、


『ルーク君!ルーク君!』


テレシアから交信が入る。


「わっ!」


思わず声をあげてしまった。


「あん?どうしたってんだ?魔物でもいたか?」


バロンがこちらを伺う。

テレシアの声は俺以外には聞こえないのだ。


「い、いやなんでもない。大丈夫だ」


俺はバロンから少し距離をとる。


「どうした?テレシア」


『どうしたじゃありません!すぐにそこから離れてください!』


「どういうことだ?」


『魔物の正体が分かりました!正確に探知出来なかったのは、魔物が一体だけではなかったからです!』


「複数体いるってことか?」


『そんなレベルの話じゃありません!あぁもう!ダメです、既に気が付かれています。間に合わない!』


テレシアの話と同時に、

バロン、ククル、ヒナタも周囲の異常な気配に気が付いた。

通路の奥から何かが近づいてくる。


「お、おいなんだこりゃ。魔物の気配か?」


「それにしては多すぎる・・・」


ガサガサと暗闇の中で何かが蠢いている。


「テレシア・・・これはなんだ?俺たちは何が迫ってる?」


俺はテレシアに尋ねる。


『ルーク君、そいつらは蜘蛛です!大量の蜘蛛の魔物に囲まれています。その数はおよそ数百!まだまだ集まってきています!』


テレシアの言葉とタイミングが合うように、

暗闇から一匹、蜘蛛型の魔物が出てきた。


大型犬くらいの大きさ巨大蜘蛛。

脚には気持ちの悪い棘が大量に生え、

カチカチと牙を鳴らしている。

六つある目は紅玉のように赤く光っており、

そのすべてが俺たちを捉えていた。


そしてよく見ると、その紅玉のような光は

暗闇の中に大量に光ってた。



「走れ!」



バロンの言葉で俺たちは走り出す。

同時に、暗闇の中からワラワラと蜘蛛が沸きだしてきた。

バロンを殿に俺たちは蜘蛛から逃げ出す。


「ギャギャギャギギャギャギャギギャギ」


背後から気持ちの悪い、

蜘蛛達の鳴き声が迫る。


殿を務めるバロンの足元に、蜘蛛が迫る。


「クソがっ!」


バロンがその内の一匹を蹴りあげる。


「ギャギ!!!」


一匹の悲鳴をきっかけに、

蜘蛛達が向ける殺気が強まった。


「ダメ!!追い付かれるわ」


息を切らし、ククルが叫ぶ。


「良いから走れ!」


バロンが答える。


「戦うべき」


ヒナタが言う。


「ダメだ!ありゃタラテクト種だ!あいつら一度巣を作ると無限に繁殖しやがる。あの様子じゃどれだけ増えてるか予想も付かねぇ。俺たちゃこの情報を街に持ち帰んなきゃならねぇんだ!」


バロンが走りながら叫ぶ。

蜘蛛の鳴き声はすぐ側まで迫っている。

このままでは間違いなく追い付かれる。


「くっ!」


その時、最後尾を走っていたバロンが足を止める。


「バロン!?」


ククルが言う。


「いいから走れ!街に知らせやがれ!」


そう言ってバロンは暗闇の中に引き返して行った。


「バロン!ダメよ!バロン!」


ククルが後を追おうとするが、

ピジョン騎士団の魔導師に肩を捕まれる。


「ククル!ダメだ!」


そのまま抱き抱えられるククル。


「ダメよ!離して!バロンが・・・バロン!」



叫ぶククルの声だけ聞きながら、俺たちはそのまま走り続けた。

やがて後ろから迫る気配は無くなり静かになった。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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今後ともよろしくお願いいたします。


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