第27話 最強魔法と夜営の準備
旅程を進み、北の廃坑が近づいてきた。
同時に日も傾いてきたため、夜営の準備を始める。
「だからよ、こんな生乾きの木で焚き火なんか出来るわきゃねぇだろ。」
騎士団として素人の俺たちは夜営の準備の方法
バロンから教わることになる。
薪にもいろいろと種類があり、火力の強いもの、
火持ちの良いもの、着火が容易なものなどがあるらしい。
奥が深いな夜営の世界。
「火起こしなんか、ガキの頃からやってるかんな!慣れだ慣れ!」
俺が素直に褒めると、バロンが顔を赤くして悪態をついた。
どうやら褒められたのが恥ずかしかったみたい、
とあとでククルが教えてくれた。
なんだそれ、ツンデレか。
「・・・あいつ、うるさいな。殺すか」
隣でヒナタがぼそりと恐ろしいことを言った気がした。
おい、やめろ。
ククルの作った簡素な夕食を終え、
焚き火を囲みピジョン騎士団の話を聞く。
俺たちと同じ年齢の頃に騎士団に入り苦労したこと。
喧嘩っ早いバロンのせいで最初の騎士団を追い出されたこと。
村の馴染みで騎士団を作ったはいいが、バロンの態度が悪く
依頼主と何度も喧嘩してしまったこと。
そのどれもが笑えるエピソードであった。
とても仲の良い騎士団だ。
父さんが騎士団長を務める、聖都騎士団の騎士たちはもっとこう、
統率が取れていて軍隊のようなイメージだ。
バロンをいじりながら笑い合う姿を見て、
なんかこういうのも良いなと思ってしまった。
俺も早く仲間が欲しいものだ。
たった一人では騎士団とは言えない。
ふと横を見るとヒナタが俺とは別の表情で、ピジョン騎士団を見つめていた。
相当な実力者だが、こいつも闇が深そうだな。
確実に訳ありだろうし。
そんな風に俺の初めての夜営は更けていった。
・・・
・・
・
夜、眠りにつく前にテレシアに連絡を取っておく。
俺はみんなのいるテントから少しだけ離れた。
あくまで少しだけだ。
夜行性の魔物は少ないとはいえ、
こんなところで襲われてはたまらない。
「おーい、テレシア。聞こえるか?」
『はいはーい、こんばんは。聞こえてますよ、どうですか?初めての依頼は』
「上手くやってるよ。色々あって他の騎士団と一緒に行動することになった。明日は北の廃鉱に入る予定だ」
『他の騎士団と、ですか。まぁ、一人よりは安心ですね。ルーク君も早くボッチから脱出しないといけませんからね。一人なのに騎士団って名乗るのって正直どうなの・・・って感じです』
「言うな。その点に関しては俺も思うところもある。ところで確認しておきたいんだが、北の廃鉱にヤバそうな反応はあるか?」
『はい、ちょっと待ってくださいね・・・』
今回は正体不明の魔物が調査対象だ。
それだけ危険度も高い。
戦いになるかは不明だが、
テレシアに調べて貰えばそれなりの心構えが出来るってもんだろう。
うん、改めてテレシアの便利さを実感する。
『お待たせしました。はい、どうやらいますね、たぶんですけど大物が』
「たぶん?」
『はい、たぶんです。ごめんなさい。魔力は関知できたのですが、なんか、こう混沌としていて正体がよく分からなくて・・・』
「テレシアでも正体が分からないのか。それはそれで怖いな。でもわかったよ。注意するようにするよ」
『はい、ルーク君なら大丈夫だと思いますが・・・一応申請は出しておきますね』
「申請?」
『あれ?言いませんでしたっけ?使用禁止になってた最強魔法、事前申請が通れば使えるって』
「そういえばそんなこと言ってた気がするな。すっかり忘れてた。どれくらいで許可されるんだ?」
『えっと、ごめんなさい。申請するの初めてで私も勝手が分からなくて・・・。間に合うように急いでみますね』
「頼むわ。あ、そういえば追加で質問なんだけど、俺は普通の魔法って使えないのか?最強じゃないやつ」
『普通の、ですか?』
「たとえば火を出したり風を出したりだな。父さんとの訓練で一応魔法の基礎も教えて貰ったんだが、一切使うことが出来なかったんだ。せっかく転生したのにまったくファンタジーを味わえていない」
『そうなんですね・・・。おかしいですね。ルーク君くらい魔力があれば、もちろん通常の魔法も使用可能なハズですが。どこかで手違いが起きてるのかもしれません。ちょっと調査させて貰っていいですか?』
「ああ、頼む。魔法はロマンなんだ。剣も良いけど魔法で戦いたい」
『ふふ、分かりました。』
その後、テレシアといくつか会話をして俺はテントに戻った。
明日はいよいよ北の廃墟へ突入だ。




