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第25話 最強魔法と優しいチンピラ


「まずお前らの名前と歳教えろ!」


チンピラが言う。

状況的に俺と少女に質問しているようだ。


「ルーク、12歳です。」


「ヒナタ、13歳」


俺に合わせて少女も答える。


「12歳に13歳・・・。お前ら、あの場にいたってことは騎士団なんだよな?仲間はどうした!」


「仲間は居ますが、俺の騎士団には俺ひとりです。先日色々あって設立したばかりなので」


「同じく、ただし私は一人。仲間はここには居ない」


俺たちの言葉にチンピラの顔がみるみる紅潮していく。


「テメェら舐めてんのか!10歳そこそこのガキが一人で騎士団なんて危険な仕事出来るわけねぇだろ!今すぐ降りろ!」


唾を撒き散らしてチンピラが叫ぶ。


「拒否する。騎士である以上、どの仕事を選ぶかは私の自由。私には金が必要」


だがヒナタと名乗る少女も言い返す。


「あぁん!?金だ?金よりテメエの命のが大事だろうが!ガキの小遣い稼ぎでこんな危険な依頼させられる訳ねぇだろ!」


「だから、貴方には関係ない話。何に命をかけるかは私が決める。それにこの依頼で命の危険が

及ぶとも考えづらい」


「だから、その考えが甘ぇって言ってんだよ!」


うーん、なんだこの言い争い。

困っていると、チンピラのツレと思われるお姉さんが話に入ってきてくれた。


「ちょっとバロン!あんた只でさえ見た目チンピラなんだからもう少し優しく言いなさい!」


「テメェ、ククル!誰がチンピラだよ!このガキどもが心配だって言い出したのはテメェも一緒だろうが!」


「だから!言い方を考えなさいって言ってんのよ!これじゃただ絡んでるだけじゃない!騎士団長のあんたがそんなだからいつまで経っても上のランクに上がれないんでしょ!この単細胞!」


「が、単細・・・くっ・・・・!」


お姉さんに叱責され、バロンと呼ばれたチンピラは静かになった。

想像した展開と違かったな。

俺は何があっても良いように腰の剣に軽く当てていた手を下ろす。



「ごめんなさい、急になんの説明もなくこんなとこでこんな話をして」


お姉さんが優しい笑顔でこちらに謝ってくる。


「あぁ、いえ。大丈夫です。あまり状況が整理出来ていないので」


「ふふ、そうよね。ホントにごめんなさい。私たちはピジョン騎士団。Dランクで活動してるわ。リーダーはそこのバロン。私はククルよ、バロンとは同じ村で育ったの」


所謂、幼馴染みと言うやつか。

こんな素敵なお姉さんキャラの幼馴染みが居るなんて。

おい、チンピラ。羨ましいぞ。


「あ?テメエなに睨んでんだコラ」


俺の殺意が伝わったのだろうか、バロンが反応する。

が、それよりも強いククルの眼光によりバロンは再び意気消沈する。


「それで一体なんの用。用が無いなら私は帰りたい」


俺と共にこの場に呼び出された少女ヒナタが言う。


「ご、ごめんなさい。それでねもし依頼を下りないのであれば、私たちと一緒に行動しない?貴方たちは大丈夫って言うかも知れないけど・・・」


「一緒に・・・ですか?」


「そう。騎士団は集団行動が基本でしょ、あなたたちはそれぞれ一人だし、心配なのよ」


どうやらチンピラも他のメンバーも同意見のようだ。

なんだ、揃いも揃って俺たちを心配していてくれただけか。

良い人たちじゃないか。


「・・・心配される筋合いはない。私は一人でも問題を感じない」


空気を読まずに答えるヒナタ。

なかなか強情なやつだな、この子は。


「そ、それなら私たちに力を貸してくれないかしら?ちょうどうちの騎士団には欠員が出ててね。前衛不足なの」


たしかにピジョン騎士団の残りのメンバーを見ると杖と弓を装備している遠距離型だ。

しかし前衛不足と言うほどでもない。

これはククルさんなりに俺たちに気を遣っての誘いだろう。

どちらにせよ一人で行動するより、索敵から戦闘に至るまでこちらのメリットは大きい。

断る理由は俺の方にはないのだ。


「わかりました。ぜひ協力させてください。君も、な?良いだろ?力を貸してやろうよ」


俺はさりげなくヒナタを懐柔する。


「・・・了解した。集団戦闘は苦手だが力を貸してと言われたら断れない」


あ、意外と素直なのね。プライドが高いだけか。

一連の流れを来ていたバロンがグルルと喉を鳴らしているが、

ククルの眼光に制されている。


こうして俺とヒナタと名乗る少女は、チンピラ、バロンのピジョン騎士団に同行することになった。

騎士団同士はこうして依頼によって即席のチームを組むことが多い。


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