第24話 最強魔法と初依頼
組合の一室に集められた騎士団は6組。
高ランクの騎士団はすでに依頼を受注済みか、
遠方に出向いており不在。
ここに居るのは比較的ランクの低い騎士団だ。
そのため通常の依頼よりも参加数が多い。
質は量でカバーという方針が明確に伝わってくるな。
それとは別に俺に対して視線が注がれているのは気のせいだろうか。
周囲を見回すと、部屋の端にいる一人の少女と目があった。
フード付きのマントを身に付けており、顔はよく見えない。
彼女も騎士なのだろうか。
ちなみに余談だが、
父さんのいる聖都騎士団は聖都の防衛が唯一かつ最重要の任務だ。
そのためこのような緊急性の高い依頼だろうと、
よっぽどの事態でもない限りは出てきたりはしない。
街の名を冠する騎士団はだいたいどこもそのような感じだ。
「集まっていただき、誠に感謝する」
眼光の鋭い老人が口を開いた。
組合の偉い人だろうか。
「今朝、北の廃墟より正体不明の魔物が現れたと一報が入った。諸君らにはこれの調査、索敵に向かっていただきたい」
「あの、正体不明と言うのはどういう意味でしょうか?」
どこぞの騎士団の一人が質問する。
「・・・それが分からないのだ。別の依頼で北の廃墟に向かっていた騎士団とことごとく連絡が取れなくなっている。唯一、生還した騎士の話では少しはぐれた隙に忽然と仲間が消えてしまっていたらしい。」
ざわつく騎士団たち。
そりゃそうだ、明らかに普通じゃない。
「諸君らの心配も分かる、ゆえにこの依頼は緊急としている。報酬と貢献度についてもその危険度に見合ったものになる予定だ」
「魔物と戦闘になった場合は?討伐か?」
「無論、討伐出来ればそれが一番だ。特別報酬も出るだろう。だが今回は発見および情報の持ち帰りを至上命題としたい」
なるほど、情報さえ持ち帰って敵の正体が判明すれば、
俺たちより高位の騎士団が戦いやすくなる。
緊急依頼と言いつつもきっちり後のことを考えてるな。
もちろん暗に俺たちには一切の期待をしていないと言われている気がしてそれはそれでくやしいが。
「それはそうとよぉ、この人選はねぇんじゃねぇか?」
騎士団の一人が言う。
見れば明らかにチンピラと言った感じの男がこちらを睨んでいた。
下位クラスの騎士団にはこういった輩も多いのだ。
「いくら緊急って言ってもガキと一緒にいちゃ、仕事にならねぇですよ、組合長さん」
ざわざわと部屋の中が騒がしくなる。
なるほど先程の視線の正体はこれか。
この反応を見るにチンピラの意見もあながち的はずれではないようだ。
「ここにいる騎士団にランク的な大差はないと考えてるが・・・」
「騎士団はランクだけじゃねぇですよ!強さと、経験。それが必要でしょう」
なんだろう、全体的に部屋の空気がチンピラを後押ししているように思える。
「それについては、議論をしている余地はない。あとは騎士団同士で話合って決めてくれ。」
組合長と呼ばれた男性の一言にさらに場がざわつく。
その後は出発時間が伝えられて解散となった。
うーん、これはひと悶着ありそうだ。
・・・
・・
・
「おいコラ、ガキ」
組合の建物を出たところで声を掛けられた。
振り返ると先程チンピラがこちらを睨んでいた。
「ちょっと話があんだよ、面貸せや」
そう言って、俺を先導するようにスタスタと歩いていく。
俺はその背中を脳裏に焼き付け、
反対方向へと歩き出した。
さらばチンピラ。
「って、ちょっと待てや!どこ行く!そこは付いてこい!!」
チッ、バレたか。
このままいけば確実にトラブルに巻き込まれるだろう。
なんとか逃げたかったのだが。
俺は一度腰の剣を確かめると、
今度は素直にチンピラの背中について市中を歩いた。
チンピラが入ったのは、ボロい宿屋だった。
宿屋の主人と思われる男に声をかけ、
二階に上がっていく。
「入んな」
そう言って客室へと促された。
そこには5人くらいの男女と、一人の少女がいた。
それは先程組合で目があった少女だった。




