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第22話 最強魔法と騎士団の名前


明くる日、家から出ようとすると俺の荷物が玄関先に纏められていた。

母さんがそれをせっせと馬車に積み込んでいる。

これはどういうことだ。


「騎士になったんだ、家から出ていくのは当然だろう」


父さんが後ろから声をかけてくる。

この世界では騎士に限らず、

職を得たら一人前と見なされ家を出ていく慣習なのだ。

くそう、早く言ってくれよ。

俺は大荷物と一緒に、ロゼの元へと出勤した。



「あら、そんなの気にすることないわ。あなたもここに部屋を借りれば良いのよ」


家を追い出されたことをロゼに相談すると、

いとも簡単に俺の部屋が用意された。


司教様の顔が引きつっていたが、

どうやらロゼにはなにも言い返せないらしい。

王家の力と言うよりはロゼのキャラクターに圧倒されているようだ。


「さ、今日からは騎士団としてしっかり働いてもらうわよ」



騎士団の仕事と言っても、幅は広い。

ロゼはこちらを見てニコニコしている。

俺はどうやらロゼのこの笑顔にトラウマを植え付けられたようで、

動機が止まらなかった。

変なことを依頼されないと良いが。





俺とロゼは二人で、聖都内を歩いていた。

向かうは騎士組合の事務所だ。


「とりあえず、あなたの騎士団を組合の方に登録しておかないとね」


組合とは数多の騎士団が属する業界組織で、

市民や貴族からの依頼の取りまとめと報酬の分配を行っている。

こちらに登録をしていない騎士団は野良騎士団と呼ばれ、

世間からは正当な騎士団とは認めて貰えない。



俺はロゼがまた何かとんでもないことをしでかさないか気が気でない。


「ちょっと!さっきから心配しすぎよ!もう反省したんだから無茶な事なんてそうは頼まないわ!」


そう言って顔を真っ赤にするロゼ。

だが一度あることは二度三度あると言うし、

俺の警戒心は溶けない。


騎士組合の事務所は地味な建物であった。

中に入ると受付と思われるカウンターが正面にあった。


ロゼは堂々とそこに入り、

中央のカウンターの受付嬢に話しかける。


「いらっしゃいませ、本日はど・・・」

「騎士団の新設よ!手続きをお願い!」


ロゼの迫力に圧倒されたのか、

受付嬢の子はあわあわと書類を用意した。


「こ、こちらにご記入をお願いいたします。」


ロゼは受付嬢からペンを取ると、

スラスラと記入をしていく。

チラリと手元を見ると、意外と達筆だ。


うーん、このギャップはなかなか。

やはり王女様だけに育ちは良いんだな。


などと考えているとロゼの手が止まる。


「どうした?」


「悩んでるのよ、ここ」


ロゼの示した先の欄は騎士団の名前を記入する欄であった。


「考えてなかったわ、どうしよう」


「好きに決めて良いぞ」


「ダメよ!王家の騎士団なのよ?半端な名前は付けられないわ」


などとロゼとやりとりをしていると、

受付嬢の子が話しかけてくる。


「いかがですか?あ、やはり名前でお困りですね。新設の方はそこで止まることが多いんです。ゆっくり考えてくださいね」


そう言って優しく笑う受付嬢。

良く見るとすごく可愛いなこの子。

看板娘を名乗れる人材だ。


「騎士団の名前って、一般的にはどんなのが多いんですか?」


俺は看板娘さんに尋ねる。


「うーん、多いのは町とか地区の名前を付けている騎士団ですかね」


聖都騎士団、バルガス騎士団も確かにそうだ。

順当にいくとポイヤック騎士団だろうか。


「それはダメよ、ポイヤック騎士団はすでに存在するのよ。叔父様の近衛部隊の名前がそれだわ」


ロゼが不服そうな顔をする。


「他には?」


「えっと騎士団長さんとか関係者の名前とか」


ロゼ騎士団、もしくはルーク騎士団か。

それは恥ずかしいかもしれない。

ダメだ、却下だ。

おい、ロゼ。満更でもない顔をするな。


「あとは動物とか植物の名前とかですかね」


「動物・・・いいわねそれ」


ロゼが言う。


「すでに存在する騎士団だと、レオ騎士団、スコーピオ騎士団、ライラック騎士団なんかがありますね」


「動物・・・動物・・・可愛いくて高貴で・・・」


ロゼは一人でブツブツと考えている。


「白馬、はありきたりね。猫、は可愛いけど弱そうだし・・・」


良く見ると楽しそうだ、俺は看板娘さんに話しかけてみた。


「大変ですね」


「あ、はい。あなた、お若いですね。騎士になるんですか?」


「色々ありまして・・・」


組合には世話になるのだ、色々伝手を作っておいてそんはない。

ロゼを待つ間、俺は看板娘さんに騎士になった経緯を話してみた。


「王女様・・・この方が・・」


看板娘さんが驚いたようにロゼを見る。

分かるぞ、気さくすぎて王家の人間には見えないよな。

俺も同意見だ。


看板娘さんと交流しているうちに、

ロゼが渾身の笑顔で立ち上がった。


「閃いたわ!羊!ムートンよ。可愛いし気品もあるわ!」


いそいそと手続き書類の最後の欄を記入するロゼ。

そこにはムートン騎士団、と書かれていた。


強そう、か?

まぁロゼの騎士団だし、ロゼが良いならいいか。


こうして手続きは完了し、

晴れて俺の騎士団、ムートン騎士団が創設されたのであった。





ここまで読んでいただいてありがとうございます。

感想、お気に入り登録などいただければ励みになります。

今後ともよろしくお願いいたします。


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