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第19話 最強魔法と進路決定

教会の控え室、

俺と姫様とミリアルドさん、それから父さんとトーマスが集まっていた。


「姫様!どういう事ですか!あんな事をしてしまっては、本当に冗談では済みませんぞ」


ミリアルドさんが顔を真っ赤にしながら怒っている。


「ミリアルドこそどうして怒っているの!あんただってお父様と叔父様の仇は取りたいって言ってたじゃない!」


負けじとロゼも言い返す。


「それとこれとは話が別です!このまま亡命者として過ごせばあなたの身の安全は保障されるはずだったのですぞ!」


「だから!そんな人生になにがあるってのよ!そんな人生、死んだようなものだわ!それが嫌で逃げたのに、一人で逃げきることも出来なかったんだから、こうなったら正面から戦うしかないじゃない!」


お互いに一歩も譲らない。


「あー、すまんが、ちょっと言いか?」


見かねたトーマスが声を掛ける。


「俺たちは完全に巻き込まれた形になったんだが、要は姫様。あんたホントに国を取り返そうって思ってるってことか?」


「あら、愚問だわ。さっき式典で宣言した通りよ。私は戦うって決めたの」


トーマスが深いため息を吐く。

傍らに居た父さんも話し出す。


「あなた方が戦うと言うならもちろん止めはしない。それは、王家の名誉に関わることだ。だが息子は?ルークは完全にとばっちりじゃないか」


その通りだ。

ポイヤックの騎士として任命されれば、

戦いは免れない。

おまけに直々の勅命依頼も受けてしまっている。

ロゼがチラリとこちらを見た。


「・・・あら、彼にだって断ることは出来たはずよ」


「そんな訳がないじゃないですか、あそこで断れば騎士の掟に反する。そうすればルークの騎士としての人生は、始まる前に終わるに等しかった。事実上の脅迫です。」


父さんの言葉に一瞬、怯むロゼ。


「そ、それは悪かったわよ・・・。でもああでもしなきゃ・・・」


「姫様のワガママでルークさんの人生を変えてしまってはいけません。それは二度も助けてくれたルーク君への恩を仇で返す恥ずべき行為ですよ」


諭すようなミリアルドさんの言葉にロゼはうつむき、

何も言い返せなかった。

空気に居たたまれなくなった俺は、

トイレと断りを入れて部屋を出た。



「おい、テレシア。聞こえてるか?」


俺はテレシアに助けを求める。


『はい、ルーク君聞こえてますよ。どうですか彼女の方は。何か進展はありましたか?』


「あー、進展って言っていいのかな。とりあえずあの子は俺たちが思った以上の逸材だったぞ」


『え、なんですか。どういうことでしょう?』


俺はテレシアに式典での出来事を説明した。


『な、なんてことを。それってルーク君も戦争に巻き込まれるってことじゃないですか』


「だよな」


『うーん。キーイベントとしては申し分ないとは思いますが、危険過ぎますね』


「どうすれば良いかな」


『どうすればも何もこのキーイベントは既に始まってしまっています、ここから離脱するにはそれはもうバキバキにフラグを折るしかありませんが・・・』


「が、なんだ?俺が嫌だと駄々をこねればこの話は無くなりそうだぞ」


『そうしてしまえば、ルーク君の神託自体が失敗となってしまう可能性があります。キーイベントは神託に向かうための重要なイベントだと言いましたよね?』


「そうか、そうだった。そうすると道は一つしかないな」


俺と女神の意見は一致した。



部屋に戻ると、三人ほど人が増えていた。

王家側の関係者だろうか。

戻った俺に全員の視線が集まる。


「ルークさん、先程は大変失礼いたしました」


ミリアルドさんが頭を下がる。


「助けていただいた貴方の顔に泥を塗るような真似をしてしまいお恥ずかしい。先程の騎士への任命と、勅命依頼は無かったことにしていただいて構いません。貴方に責が無いことはポイヤック王家が保証させていただきますので」


ミリアルドさんの横で、

ロゼが今にも泣きそうな顔をしていた。

さて、女神の後押しも得たことだし、

ここらで男を見せるか。



「あの、ミリアルドさん」


「はい、ルークさん。なにか」


「騎士への任命は、ロゼ王女より賜りました。それはあなたにも誰にも取り消せません」


「それは・・・」

「お、おい。ルーク」


トーマスが隣であたふたしている。


「ロゼ王女が取り消すと言うのであれば、それも可能ですが・・・先程の言葉はロゼ王女のご意志でしょうか」


「そ、その通りです!姫様!そうですよね!」


ロゼは答えない。


「俺はまだ子供です。こんな俺の何を気に入ってくれたのかは分かりません。けど俺は同時に騎士を目指す身でもある。俺にとって騎士の掟は絶対です」


俺の言葉に顔を上げるロゼ。

驚いたような顔で俺を見つめる。


「王家からの命に背くのは騎士道に反します。俺は父にそんな風には育てられていません。だから・・・」



俺は腰から短剣を引き抜き、

両手で持ち顔の前に掲げた。


「ロゼ王女の剣となり、共に戦う事を誓いましょう。この命、尽きるまで」


俺はこの瞬間から騎士になった。

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