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第17話 最強魔法と王家の式典



翌日、父にたたき起こされ何事かと事情を聞くと、

俺も聖都の教会本部へ同行しろとの事であった。


ロゼが俺を名指しで同行者として指名したらしい。

なんでも教会に戻った後に、聖都騎士団と俺に公式に御礼の言葉を伝えたいらしい。

日を改めて、と父とトーマスが説得したが頑として譲らなかったそうだ。

ワガママ振りを発揮しているな、と思った。


俺が正装に身を包み、ロゼを教会に送る一行に合流すると、

馬車から顔を出したロゼがこちらにヒラヒラと手を振った。


一行はゆっくりと教会へと進む。

騎士団のシャトーから街の中心部へ向け30分ほど行くと、

そこに教会本部の大聖堂がある。


荘厳な雰囲気に、

細かい装飾が施された巨大な聖堂は、

息を飲むほどの美しさだ。

ここは信徒以外にも解放されており観光名所ともなっている。


教会前では司教様と教会の関係者達が集まっており、

馬車からロゼが出てくると歓声があがった。

人気あるんだな。


聖都騎士団は別室に通され、式典の準備が出来るまで待機となった。


トーマスは緊張しているようで、立ったり座ったりを繰り返している。

父さんはさすがと言うべきか、どっしりと座り目を閉じている。

と、思いきや足が震えていた。


二人が緊張するのは無理もない。

国が滅びたとはいえ、王家に関する式典は騎士にとって晴れ舞台なのだ。

立ち居振舞いや進行など、制約も多い。

それを簡素とはいえ、当日にぶっつけ本番を要求されるなど、

無茶振りも良いところだ。


30分ほどした後、教会の人間が騎士団を呼びに来た。

俺は父たちに続いて、会場となっている大聖堂へと向かった。


「聖都騎士団、入場!」


その言葉と共にラッパが鳴らされ、騎士団員と俺は聖堂の中へと行進する。

教会の人間と、ロゼたちの関係者と思われる貴族、それから聖都の民と、

たまたま居合わせた観光客。

聖堂の中は結構な人数の人が溢れていた。



騎士ではない俺でも緊張するくらいだ。

先頭を歩く父さんとトーマスは胃に穴が空く気持ちだろう。


聖堂の先には着飾ったロゼと、傍らにミリアルド、それから司教様がいた。

ロゼは化粧もしているようで、その美しさは極まっていた。


騎士団は行進を止めると、

その場に跪いた。


「聖都騎士団」


ミリアルドが口を開く。

この人、恐ろしく声がダンディーだな。

イケボってやつか。


「この度、貴殿らの働きによりロゼ王女の命は救われた。それを深く感謝する」


「ありがたき、お言葉にございます」

父さんは答える。


「ここに貴殿らの働きに感謝の意を表し、感謝の品と報酬を与えよう」

聖堂内にミリアルドの声が響く。


「ありがとうございます。聖都騎士団長ジーク=ピースクラフト、畏れながら申し上げます」


「何用か」


「我ら騎士団の掟に従い、報酬を辞させていただきます。我らは王の剣。自らの剣を振るうのに謝礼は不要にございます。」


「なんと気高い言葉か、では王はどのように貴殿らの働きにどのように報えば良いか」


「聖都騎士団長ジーク=ピースクラフト、畏れながら申し上げます」


「申せ」


「我らに向けていただいた、そのお心を民のためにお使いください。我らは王の剣、民を守る王のために剣を振るいます」


「なんと素晴らしい言葉か!よかろう、騎士団よりの願いに報いるため我が王は民のために今後も存在するであろう!今一度だけ、この誇り高き騎士団に感謝を!」


そこまでミリアルドが叫ぶと、聖堂内から万雷の拍手が送られる。

ちなみにこれは父さんとミリアルドさんのアドリブなんかでは無く、

全て台本通りの進行だ。

騎士は王家から報酬を受け取らないのが掟なのだ。

それはこの場にいる誰もが理解しているしきたりだった。



受け答えに一瞬だけ声が裏返っていた気がしたが、

父さんもこれで肩の荷が降りただろう。

このあとは司教様がありがたいお言葉を王家と騎士団に送贈り閉会となる。


ようやく終わるか。

俺はそう思って顔を上げた。

その時、膝を付く騎士団の列の先にロゼが見えた。

ロゼもまた俺の方を見ていた様で、一瞬だけ目が合う。


彼女がにやりと笑ったように見えた。

あれ、なんだろう。この恐怖心。




「待て、まだ私の話が終わっておらぬ。」


突如口を開いた王女。

ミリアルドを凌ぐほど聖堂全体に響いたその声に、

会場は一瞬で飲まれた。



「此度、私の命を救ってくれたのは騎士団だけではない!勇敢なるルーク=ピースクラフト!前に出よ」



おいおい嘘だろ。

観衆の注目が集まるなか、王女様に俺の名前を呼んだ。

一瞬で全身から汗が吹き出る。

顔を上げて見れば父さんが恐ろしいものでも見るような目でこちらを見ていた。

トーマスは顔面が蒼白だ。


「どうした、ルーク!おらぬのか。前に出て参れ」


再度声を出すロゼ。

俺は跪いた状態から立ち上がり、

ゆっくりと前に進んだ。



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