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第16話 最強魔法と少女のお見舞い


少女が寝ている部屋をノックすると、

男性の声で返事があった。


「あの俺、ルークと言います」


入れてもらえるだろうか。

どうやら中で何かを話している声がする。


「お待たせいたしました」


扉が開けられ、顔を出したのは執事のような老人であった。


「ルーク様ですね、お話は伺っております。お嬢様を助けていただきありがとうございました。」


「いえ、大丈夫ですか?彼女は」


「はい、なんとか回復されまして・・・今はゆっくりとされております。」


「ミリアルド!何をしてるの!早くお通ししなさい!」


俺と老紳士の会話を遮るように、少女の声が聞こえた。

ミリアルドと呼ばれた老紳士はため息をついて、俺を部屋に促した。


中に入ると少女が待ち構えていた。


「ルーク君だったわね、助けていただいてありがとう!」


思ったよりも元気そうだ。

助けた時と印象が違うけど、こちらが彼女の素なのだろうか。


「あ、いえ。怪我とかはないですか?」


「うん、大丈夫みたい。昨日の男達も、オークも何かされる前にあなたが助けてくれたから」


「そうか、良かった。」


「どうしたの?良かったら座って。ミリアルド!」


「承知しております」


そう言って老紳士はお茶とお菓子を持ってきてくれた。

流れのままにソファーに腰かける俺。


「ルーク君は騎士団長さん息子さんなんだってね。治療をしてくれた騎士団さん達が褒めてたよ。やっぱり団長の息子さんはすごいって」


「そんな、たまたまだよ。実際は彼らの方が何倍も強いし、俺なんかまだまだ子供だし」


「あら、そう?ふーん」

俺の言葉に何やら不満そうな顔をする。


「ね、ルーク君は騎士じゃないの?」


「あぁ、まだ騎士団には入ってないんだ」


「でも騎士になるつもりはあるのよね?お父さんが居る聖都の騎士団に入るの?」


「それもまだ考え中なんだ。やらなくちゃいけないこともあってさ。」


「そうなんだ・・・。やらなきゃいけないことか・・・。うーん、これは逸材を見つけたかも知れないわね」


どういう事だろう。

ロゼはこちらを見てニコニコしている。


「あの、ロゼさんはなんで逃げたりしたの?」


俺は気になっていたことを尋ねる。

その質問にロゼの顔がすこしだけ暗くなった。


「・・・叔父さんが戦争で負けちゃってね。国が無くなっちゃったのよ。」


「うん、それは聞いたよ」


「そう!でもそうなると私は政治の道具として使われるか、地方の変態貴族に娶られるしかないって訳。そんな運命受け入れられないわ!だから逃げてやったの!」


「お、お嬢様!そんなこと言ってはなりません」


ミリアルドと呼ばれている老紳士が慌てて声をかける。


「あら、良いじゃない。私に付いてきてくれる、家臣と呼べる人はもうミリアルドだけなのよ。だから立場を放り出して、逃げちゃっても良いかなって思ったの。失敗しちゃったけどね」


「そ、そうなんだ・・・」


ずいぶん行動力のある元王女様だ。

ミリアルドさんの苦労が想像できるな。

だが、こんな絶望的な状況にも関わらず明るく前に進もうとするのは尊敬できるな。

俺も見習わなければ。


「ねぇ!もっとルーク君のことを色々教えてちょうだい。私、近しい歳の人とあまり話した事がなくて。出来れば色々教えて欲しいわ!」


そう言ってロゼは俺に矢継ぎ早に質問を繰り返した。


その後はロゼとしばらくお喋りを続けたが、

ミリアルドにそれとなく促されお暇することにしたが、

ロゼはまだ話し足りないようで不満そうであった。


これでキーイベントは進んだのだろうか。

明日になったらテレシアに相談してみよう。

俺はそう思いながら、帰路へと着いた。


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