第14話 最強魔法と少女の探索
翌日、俺は聖都を歩いていた。
今日は父さんに言って剣の修行を休ませて貰った。
普段、俺がサボることはないし、
父さん自身も勅命依頼を解決しなくてはならないため
すんなりと受け入れられた。
向かうは昨日、少女と出会った路地裏だ。
『ここですか?』
路地裏に着くとテレシアが話しかけてくる。
「あぁ、そうだ。ここからどうする?」
『大丈夫です、私にお任せください』
そう言ってテレシアはなにかをぶつぶつ言い出した。
『彼女は・・・街の南の方へ向かったようですね』
テレシアが言う。
「すごいな。どうして分かる?」
『ふふ、これも<女神の寵愛>の力です』
そう言えばテレシアと交信する以外に、
<女神の寵愛>にどんな力があるか聞くのを忘れていた。
あとでゆっくりと教えて貰おう。
『ただ少し彼女の反応が弱っています。何かあったんでしょうか』
「わかった、とりあえず行ってみよう。」
俺はテレシアの指示に従い、街の南へと向かった。
「おい、テレシア。もう外壁まで来たぞ。ここが聖都の南端だ」
聖都は中央にある教会本部を中心に街が広がっており、
その周囲はぐるりと外壁が囲んでいる。
元々は城塞都市として活躍していた時代もあるらしい。
外壁はその時の名残だ。
街への入り口は東西南北に4箇所ある。
そこには常に聖都騎士団の門兵が詰めており、
聖都への入出を管理していた。
『待ってください・・・もう少し右、10メートルほど進めますか?』
俺はテレシアの指示に従い、外壁沿いを歩く。
『そこです、そこを彼女が通った気配があります』
テレシアが指定したのは、
草むらになっている部分に隠れている、
外壁の下部に小さく空いた穴であった。
「・・・まさか、ここから外に出たのか。父さん達が捕まえられないはずだ」
俺はその穴に潜りこみ、街の外へと出た。
・・・
・・
・
聖都の周囲は森に囲まれており、
街道以外を人が通る事はない。
森の深さもあるが、
一番の理由は魔物が出現するためだ。
魔物は動物や昆虫、植物が変化した様な姿のものもいる。
中には魔獣バルガスのように、
圧倒的な力を持った物もいるが、
聖都の回りにはそこまで強力な魔物が
出現することはない。
共通するのはそれらの魔物すべてが人間に敵意を持っており、
見つかれば間違いなく襲いかかってくる。
街の人間や商人が襲われぬように魔物を
間引くのも騎士団の大事な役目だ。
俺も父に連れられ、剣の修行として
魔物を倒しに行ったことがある。
『ルーク君、女の子はここを真っ直ぐ行った先にいます、急ぎましょう』
穴が開いていた場所は、
街道からも門からも距離があるため、
魔物が出現する可能性は非常に高い。
少女が無事だと良いが。
・・・
・・
・
森のなかを移動していると突然、テレシアが声をあげる。
『ルーク君!前方50メートル、襲われています!』
テレシアの声と同時に少女の悲鳴が聞こえた。
俺は地面を蹴る足に力を込める。
同時に腰元の短剣を抜刀した。
見ると少女が醜いオークに取り囲まれている。
小型のオークが3体。
大丈夫、今の俺でも戦える。
「やめろぉ!!」
俺は倒木を台にして飛び上がり、
そのまま無防備なオークの背中を切りつけた。
「ギャギャァ!」
悲鳴を上げて崩れるオーク。
よし、奇襲は成功した。
あと2体だ。
俺はオークと彼女の間に立った。
「ギャア!」
オークが持っている木の棒を振り回す。
俺はそれを短剣を受け止め、
返す刀でオークの首元を切り裂く。
2体目も力なく倒れた。
「グギギ・・・」
3体目のオークはこちらを伺ったあと、
声を上げて森の方へ逃げ出した。
オークは生存本能が強く、
勝てない相手と分かれば逃げ出すようなやつもいるのだ。
「ふぅ・・・」
俺は息を吐くと、短剣を鞘に戻した。
襲われていた少女の方を見る。
金髪碧眼で、間違いなく昨日会った少女だ。
驚いたような表情でこちらを見ている。
さてなんて声をかけようか。




