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第11話 最強魔法と進路相談


俺の転生から4年が経過した。

あの日、テレシアとの更新は途絶えたまま連絡はつかなくなり、

俺の最強魔法も発動することはなかった。

七つあった胸の痣もすっかり薄くなっている。


あまりにも音沙汰がないもので、

一度好奇心に負けて<星落とし>の魔法名を口に出したことがある。

だが、隕石は落ちてこず俺は魔法が失われたのだと確信した。


だが父ジークは俺を勇者だと今でも信じており、

バルガスから帰還した4年前のあの日から剣術の稽古を付けてくれていた。

なんとなく距離を感じる場面もあるが、

父は優秀な指導者だった。



聖都の騎士団長を勤める父は、聖都でも屈指の剣の使い手で、

俺の剣術の腕前は12才とは思えぬほど上達していた。

父曰く、俺の身体能力は獣人以上らしい。


俺に与えられた神託「10年以内に現れる邪神討伐」については、

そもそも邪神に関する情報も手に入れられず時間が過ぎてしまった。

口に出して良いのかも分からず、父も神託については知らない。

既に邪神は現れているのか、それともこれから生まれるのか。

俺はそれすらも分からず、ただひたすらに剣の腕を磨くのであった。

テレシア、頼むから連絡くれ。


「ルークもそろそろ13歳か。早いもんだなぁ」


我が家で当然のように寛いでいるのは、かつてバルガス遺跡で父と行動を共にしたトーマスだ。

彼は優秀な人材だったようで、あれからすぐに父が聖都の騎士団にヘッドハントした。

父とは気が合ったようで頻繁に我が家に顔を出すようになり、

俺を実の息子のように可愛がってくれている。

ちなみに俺の力を知っている数少ない人間の一人だ。


「今後はどうするつもりなんだ?ルークくらい強ければCランクくらいの騎士団であれば即入団可能だぞ。なんなら聖都騎士団だって」


この世界では騎士団が街ごとに設置されており、

その実力によりD~Sランクまでクラス分けがされている。

騎士団は担当する村や町の治安維持や魔物討伐などを行うのが主な仕事である。

また決まった町や都市には所属せず、移動をしながら依頼ベースで戦力を提供する騎士団もいる。

騎士団と言うより傭兵団と言った方が正しいかも知れない。


Dは村レベル。

Cは町レベル

Bは都市レベル

Aは主要都市レベル。

Sは国レベル


騎士団は自分達で勝手に作ったり、貴族や王家に任命されて出来たりその経路は様々だ。

だが全ての騎士団は、「騎士団の掟」という暗黙のルールに基づき運営されており、

それに反することは騎士道に反する行為とされていた。


ちなみに父が勤める聖都の騎士団はBランク、

かつてトーマスがいたバルガスの騎士団はCランクだ。



「実はあまり考えてなくて」


俺はトーマスにそう漏らした。


「そうなのか、ジークさんはもちろん自分のところに入って欲しいんだろうな。ゆくゆくは騎士団長もルークに渡したい様子だし。もう誘われたんだろ?」


トーマスの問いに俺は曖昧な笑顔を返した。


この世界は実力主義が主流で、世襲制などがあるのは一部の騎士団だけだ。

当然、騎士団長の血縁であるだけでは騎士団長になれない。

実力の認められない者を騎士にすることは出来ないし、

由緒ある聖都騎士団であればしがらみも多いのだ。


正直に言うと、

父が俺に期待していることは感じていたが、

神託がある以上、遅かれ早かれ邪神討伐のために出立しなくてはならない。

そうなると聖都の騎士団に入団するわけにはいかないのだ。

それに肝心の父さんは何も言ってこない。


「もう少し時間があるので、ゆっくり考えます」


俺はそう言ってトーマスとの会話を打ちきり、

父が待つ練兵所へと向かうのであった。


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