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サムライ・エイジア  作者: 七陣
第3話「ザ・ネーム・イズ・グランドエイジア」
23/147

2 反逆者たち

プロローグから改稿しました。

誤字脱字、補足説明や設定面での矛盾を出来るだけ修正したり、改行や段落開けなどで読みやすくしたつもりですが、一度読み返して至らぬ箇所があれば教えてください。

「何度も言うが、マクラギには政治思想なんぞないよ。ナガレも同じだし、師匠の俺が俺だ。奴は単に食う手段として傭兵をやってるだけに過ぎん」

「では何故トヨミ方に? 兄上への意趣返しなどはないのでしょうかね?」

「……その一面は否定できん」


 トヨミア大君主連合国。銀河戦国時代を太平に導いた大君タイクーントヨミ・ヒデヨの興した国家である。タイクーン・ヒデヨの死後、大君主連合は大幅に弱体化し、その後の歴史はヤマティアン(ヤマトの民)の知る通りである。

 現在トヨミア大君主連合国はトヨミ市国という名の立憲君主制国家として存続を許されている。

 トクガとトヨミ、二者の間で最後に戦争が行われて百年にもなる。結果としてトクガが勝利し、ショーグネイションがヤマトの覇権を握った。それを未だに許容出来ぬ者たちがテロリストとして、反乱の烽火ほうかを今なお燻らせ続けている。……

 

「では、下手人はトヨミで確定でよろしいかな?」

「トヨミには違いあるまいが……」


 ムネフエの言葉にハチエモンは言い淀んだ。


 最大派閥である〈トヨミ・リベレイターズ〉、武断派で知られる〈ナニア解放同盟〉、穏健派の〈サナダ・フラグス〉、近年成長著しい〈イシン・ファイヤーズ〉……中小の派閥も含めれば、トヨミ系過激派と目される全てを把握している者など恐らくいないだろう。

 ムネフエ自身そんなことはわかり切っていた。これらを全てひっくるめて「過激派」の一語で呼称するには無理があることも、当然承知である。重要なのは一般市民への広報だった。どうせ市民にはそれぞれの「過激派」の存在意義や大義など理解しないしするつもりもないことも、大公にはわかっていた。いずれにせよ彼らは全てショーグネイションの敵なのだから。


「結局、マクラギを締め上げるしかないということか」

「しかし奴はプロの傭兵ですぞ? どこにいるかすら……」


 ハチエモンの視線が二重円弧の脚跡に注がれた。二重の〈ツムジ・ザッパー〉の痕跡。


「こんなものを残していくくらいだ。奴は俺をおびき寄せたいのだな」


 ムネフエもそれを注視した。彼も兄には及ばぬが、サムライとして免許皆伝マスターライセンスを持つ身だ。

「……二つ。まさか、弟弟子の方ですかな」

「さてな。ラスティ・ネイルに誰が乗っていたかまでは俺にもわからん」

 

 ハチエモンは口の端にあるかなきかの笑みを浮かべたが、すぐにそれを打ち消した。


「ムネフエ。奴らのネグラになりそうな場所は?」

「候補地は複数あります」


 ホログラムが切り替えられ、フォド荒野一帯を中心とした地図になる。いくつかのポイント。

 

「廃城や放棄された基地を含めて四つまで絞り込めましたが、テログループ組織や思想なきローニン・スライダーなどの根城でもある場所です」

玉手箱タマテバコは開けてみねばわからないということか」

 

 ハチエモンは腕組みした。天下に名高いヤギュウ・サムライ・クランといえども四ヶ所を同時に襲撃するのは少々躊躇ためらわれた。戦力分散は愚であるが、事件を早期解決出来ねば、捕虜になっている研修生たちの身に危機が及ぶ可能性は十分考えられる。

 

『もう当たりはつけているぞ』


 少女の声が聞こえた。その場にいる者全てが首を巡らせた。

 

『今失礼ながらマスター・トクアンの携帯端末インローを借りて喋らせてもらっている。わたしは……そちらの呼称でいうならミズ・アゲハ。電子海賊〈フェニックス〉の頭目だ』


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