男の戦いINGC
ハリセンボンは膨らんだ。
騒がしい周りの音には耳栓をして、俺は店内を歩き目的の場所へと向かう。
男と言うのは、こと勝負事には意地になる物。それも自分の趣味のこととなればなおさらだ。
「……まけるもんか」
ハリセンボン ーーいや。ストラップのジャラジャラとついた、フグの形のがま口財布から、戦闘資金を投入口へ。
更に座った椅子の先。その独特の形の一箇所へと資金を積み上げる。
「さて。いくか」
意を決して、ボタンを押した。
「……はぁ」
何分経ったか。いや、何十分か。俺は席を立って溜息を吐いた。
背中に感じていたプレッシャーからようやく解放されるのと同時に、修行不足を痛感する。
そして。歩くたびにジャラジャラと鳴る財布を見て、また息を吐いた。
彼女の行方は、誰も知らない。
GAME OVER