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しかくしかくしかくおんらいん  作者: ゲームは縛りをつけてこそ
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物語は唐突に開始される第一話

 物語が唐突に始まるように。

 自分が大好きなアニメやゲームがコラボが始まるように。

 いきなりアニメ化が決定するように。

 技術の進歩も一般人には唐突に進んだように見える。


 その技術の進歩みたいな塊が今目の前にあったりする。仮想現実。ぶいあーるとか呼ばれ、ちょっと前まではゴーグルで周りの人からは白い目を向けられていたというのに。今度のは小説や、アニメの中で描かれていたあの仮想現実らしい。


 まあ色々考えるより体感したら良いか。電源やらインターネットに繋げるために線を繋げたりなんやかんやして、大きな機体のスイッチを押す。


 そこで自分はプシューっと水蒸気を上げながら開くのを予想していたのに、水蒸気は上がらないし、音も鳴らないし。なんか想像してたのと違うな、なんて感じてた。でも中に入って寝転ぶと、そんなことは吹っ飛んだ。


『目を閉じてください』


 機械的な女性の声が聞こえて、言われた通りにすると、ビビっていうような、ジジって言うような音が聞こえた後、体が落ちたかのような衝撃を受けた。ビクッと体が反応したのが分かるのに、一度閉じた目が開かない。大丈夫なのかと不安になると、また機械的な女性の声が耳元で聞こえた。


『▪️▪️▪️ONLINE をご購入頂きありがとうございます。長々とお話するのも辛いでしょう。早速、▪️▪️▪️ONLINE の中でのあなたをつくりましょう』


 購入したお礼は短かったけれど、そっか。長いと早くしたい人達が苛立つから。自分の中で納得した。


『では、まず瞳の色はどうなさいますか? 頭の中で色を思い浮かべてください』


 最初に瞳の色を決めるなんて。変わってるなー。でもその変わってるっていうのは小説やアニメの中の話だし。現実では初めてのVRゲームだし。考えても仕方ない。思い浮かべるっていっても。出てくるっていうよりその場にあった色しかない。目の前にあるのは黒。それでいいか。


『決まりました。では、目を開けてください』


 言われた通り目を開けようとすると、今度はきっちりと開く。視界に入ってくるのは黒。周りすべて黒。違うのは目の前に女性がいることくらい。きっと、さっきから聞こえる女性の声はこの人なんだろうな。んで、次。次は?


『名前を教えてください』


 名前。全くもって考えてなかった。いつも付けてる名前でいいか。ノヴァノヴァ、で。


『ノヴァノヴァさんですね。よろしくお願いします』


 お願いします。


『では、ノヴァノヴァさんに問います。あなたは何になりたいですか』


 なりたい?


『勇者でも良いです。それと敵対する魔王でも。脇役でも、村人、生産者、管理者など。色んな者になれます。ノヴァノヴァさん。なにに、なりたいですか?』


 自分は。探検家みたいなものになりたい。そして、色んな所を見て回りたい。


『ノヴァノヴァさんの職業が決まりました。では、良い旅を』


 え。


『▪️▪️▪️ONLINE をお楽しみください』


 今までニコリともしなかった女性の顔が優しく微笑んだような気がした。すうーっと消えていく女性に、バッと強風が来たような気がして目を閉じる。風が止み、目を開くと真っ青な海が視界に入った。


「ゲームは、唐突に始まるのか」


 あはは、と乾いた笑いを零して一歩踏み出してみた。頬にあたる風に、歩くような感触。現実と全くかわりない。試しに頬を抓ってみたが本当に痛かった。痛覚まで再現されているようだ。技術の進歩ってすっごい。


 そんなことより、今自分のいる場所について、だけれど。


 どうやら船の上らしい。あ、海の上って言った方がカッコイイ気がする。そんなことどうだっていいことだろうけど。


 キョロキョロと辺りを見渡してみると人が歩いていたり海を眺めていたり、話し合ったりしていたり。本当に人それぞれの行動をしている。この中でどれだけの人がプレイヤーなのかは分からない。


『あの』


 楽しんでいた時、目の前にそんな文字が浮いていた。

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