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作者: コウ

インスタグラムを眺めていると、"友達かも"的なやつに何か見覚えのあるトップ画とアカウント名がふと目に入った。それは、かつて4年半から5年ほど前だったろうか、お付き合いをしていた元カノであった。詳しい別れの日は覚えていないがそんなところだ。


別れてからというもの、一度も連絡を取り合ったこともなければ、記憶のどこか片隅からも消えようとすらしていた矢先の出来事だ。


「おー、なつかしいな〜」


もはや記憶から薄れていた人のことだ。元カノのプライベートを覗くなんて感覚はなんかは無く、あいつ今何してんだろという昔の友達を懐かしむ感覚で、その"他人"のプライベートを覗き込んだ。


手作り弁当の写真をコレクトしているらしく、下へスクロールしても具材のレパートリーを数えるだけで、その人が普段何をしているのかがいまいち分からず、なぜだか少し、してやられた感を覚えた。なんだこんなものか……?


???


膨大な弁当の写真に埋もれるように一枚の写真が目に飛び込んできた。羅列の中の一枚であったが見覚えのある顔であることくらいは認識できた。しかしその瞬間、他人のプライベートから元カノのプライベートを覗いてる感覚に陥ったのは確かである。懐かしい顔だ。


子どもと一緒に写っている写真だった。


若い女子は誰でも子ども好きなものである。演技でもその方が周囲からの印象も良くなるしな。

そんなことを気楽に考え画像を選択し、いよいよ元カノのプライベートへ踏み込んだ。

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#息子#親子



まじか、子ども出来たんかい。

ノスタルジックな気分に浸っていたのだが、元カノは全然別の次元へ行っていたんだと知った。

流石に寂しさや焦り、ましてや悔しさなんかは微塵も感じなかったけれども、どこか自分の中の空想世界で元カノは元気に楽しくやっているのだろう。と思っていたその現実とのギャップ

が自分に空虚を与えた。


だがしかし、自分はそれでホッとしていた。

もし自分の中の空想世界と現実が一致していたなら、もしかすると当時の恋心さえ思い出してしまっていたかも知れない。全くの別世界を生きていてくれたから、あくまでも関係のない、関係の断ち切った他人として納得できた。






それにしても、子どもも大きいな。


別な写真を見てみると、誕生日と思しき写真を見つけた。バースデーケーキと例の子だ。

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#4歳







そうだよな、


あの時の別れ際、浮気をしていてくれたんだよな。きっと。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 日常に普通にありそうな一連の流れをそっと切り取っているのが好きです。ちょっと純文学かも。
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