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事故

 第四十九話


「......ん...眩しい...」


 外の光がちょうどソウタの寝ている場所を照らしているので、暖かいのだろうが少し眩しそうにしている。


「...この部屋は朝日が入ってこないんじゃなかったのかよ...」


 ソウタは寝起きが悪い方なので、朝日などの光に起こされるのが大嫌いなのだ。


 うぅ〜と唸りながら寝転んだ状態のまま伸びをする。


「...起きるか。今何時だ?」


 時計を見ると、2時を指している。


 昨日は十時ぐらいに寝たはずなので相当寝ていたことになる。


「...腹減ったな」


 コントロールスペースに食べ物はあるが一人で勝手に食べるのは悪いので、とりあえずリビングの方に行くと、みんなが色違いのパジャマ姿で寝ていた。


「こんなとこで寝てたのか...お前ら風邪引くぞ」

「...すぅ...すぅ...」

「......」

「...ん...ん〜、ソウタ、さん?」


 声をかけるとメイだけが起きたので、セリスと茜さんをベッドの方へ連れていくのを手伝ってもらうことにする。


「おはよう。起きてすぐで悪いんだが、セリスと茜さんをベッドまで連れていくのを手伝ってくれないか?」

「おはようございます! 了解です!」

「寝起きなのに凄く元気だな」

「ソウタさんに起こしてもらえたからです!」

「なっ!?」


 不意打ちでそんなことを言われたので驚いてしまい、顔がどんどん熱くなっていくのがわかる程だ。


「顔が赤いですけど、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だ」

「本当ですか? 無理しないでくださいね」

「おう、ありがとな」


 ただ恥ずかしくなって顔が赤くなってただけだなんて言えねぇよ。


 ソウタは珍しく恥ずかしがりながらセリスを担ぎ、寝室の方へと向かうと、メイも茜を背負ってきてくれた。


 ここでソウタはようやく違和感を感じた。それは、やはり右腕が無ければすごく不憫だということだ。今までは考えないようにしていたので気付かなかったのだ。


「やっぱり、利き手が無いってのは辛いな」

「ごめんなさい」

「なんで謝るんだよ」

「私がもっと早くソウタさんの元に戻れれば腕を失わずに済んだかもしれないからですよ!」

「そんなもん気にするな。だいたい、俺がお前らを投げ飛ばさなければ腕を失わずに済んだかもしれないんだよ。だから俺の判断ミスだ」

「...全部ソウタさんの思惑通りですよね?」

「......」


 女ってなんでこんなにも鋭いんだよ...


 あの黒いミノタウロスとの最後の戦いは全て、ソウタの計算通りだったのだ。だがどうしても大ケガをしてしまうのが分かっていたので、それを見られたくなかったからという理由と、もしも失敗してしまった時のことを考えて二人を安全であろう所まで投げ飛ばしたのだ。


「...そんなわけな」

「ありますよね?」

「...はぁ、なんでわかるんだよ」

「いつも見てるからです!それにセリスさんもわかってると思いますよ!」

「そうだろうな」


 俺の嫁達には適わないなと内心思いつつ、寝室から出てソファに座るとメイに横から飛びつかれて押し倒された


「何すんだよ!」

「ごめんなさい、こうでもしないとソウタさんに抱きつけないと思ったんです」

「っ!?」


 涙目+上目遣いというコンボで見るんじゃねぇ!


 見ず知らずの人なら相手にもしないソウタだが、前まで友人だった人が嫁になり、しかもその人に押し倒されているこの状況はどうにもできなかった。


「私はソウタさんのお嫁さんに相応しいでしょうか?」

「は?」

「だって、私はセリスさんみたいに可愛くありませんし、細くもないですし、なんなら男勝りな力だってあります...それに、ソウタさんに告白されていません...」


 確かに言っていない。ただ、それはまだメイのことを友達だと思っているからだ。それに、急に「私はあなたのお嫁さんです!」と言われて「好きです!」なんて普通は言わないだろう。


「あのな、俺はメイのことを、その、まだ嫁というか友達としか思えてないんだ」

「...そうですか。それなら!」

「おまっ!? 何してんだよ!」


 なんとメイが服を脱ごうとしたので慌ててその手を止める。


「離してください!」

「ダメだ!」

「あっ!」

「しまっ!?」


 ドォンと音を立てて二人ともソファから落ちてしまった。


「いててっ」

「うぅ〜痛いですぅ〜」


 二人で痛がっていると、寝室の方から足音がだんだんと近付いてきた。


「ん〜、どうしたの?えっ」

「うるさいよー、って、なっ!」


 二人ともドアの前で固まっている。


 あれ? 確か前にもこんなことがあったような...


 ソウタが記憶の中の引き出しを探っていると、セリスと茜が顔を真っ赤にし始めた。


「な、な、な、なにしてんのー!?」

「ソウタくんの変態!スケベ!エッチ!」

「なんでだよ!」

「そ、ソウタさん!? どこ触ってるんですか!?」

「え? あ! す、すまん!」


 なんと、ソウタの手がメイの服の中に入っていたのだ。


 すぐに勢いよく離れたが、まだ手には柔らかい感触が残っている。


「メイ、大丈夫!? 何もされてない!?」

「え、えーと、胸を...」

「胸!? 胸を触られたの!? うぅ〜、私なんてまだキスしかしたことないのに...やっぱり大きい方がいいんだ〜! うわぁぁぁん!!」

「よし、ソウタ君、こっちへ来なさい! お姉さんが制裁を下してあげる!」

「ちょっ、待てって!」

「「待たない!」」

「セリスまで!? これは事故だって!」

「「言い訳無用!」」


 ドゴォンと鈍い音が響き、ソウタは意識を失った。


「で、ソウタ君に襲われてたの?」

「違いますよ! 私が襲おうとしたらソウタさんが抵抗して...」

「メイ?」

「は、はい!」


 セリスさんからすごい負のオーラが出ているように見えるのは私だけでしょうか!?という感じに茜の方を見ると、いつの間にかソファの後ろに隠れ、目が合うとサムズアップをした。


「あ、茜さん! 助けてください!」

「抜け駆けしようとするからだよ☆」

「そんなぁ...」

「お仕置きだからね?」

「い、いやですぅぅぅぅぅぅ!!!!」

「ていっ!」

「あうっ!」


 セリスがメイの頭にチョップをするとメイは気を失ってしまった。


「え? 何したの?」

「脳をちょっと揺らしただけ!」

「......」


 茜は何も言わなかった。いや、言えなかった。


 セリスちゃんは器用だなぁとヤケクソ気味に思いながらソウタとメイを寝室に運ぶ茜であった。





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