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疑問

 第四十七話


「名前言うのが遅いんだよ!」

「痛いっ!」


 この大迷宮の創造主に軽くチョップをくらわすと、痛そうなフリをして頭を抑えているが、とても楽しそうにしている。


「聞きたいことはたくさんあるんだが、とりあえずここの大迷宮のことを教えてくれ」

「あれ? 急に優しくなったのはなんで?」

「今は俺が聞いてんだろ?」

「キャー! こわーい! 助けて銀髪ちゃーん!」

「えっ!? 私っ!?」


 ソウタがバキバキと自分の手を鳴らしながら近付くと、バドは楽しそうにしながらセリスの後ろに隠れた。


 それから数分間、先程の殺伐とした雰囲気は何だったんだ? と聞きたくなる程、セリス達は楽しそうにバドを交えて遊んでいる。


「さてと! それじゃぁここのことについて教えて!」

「いいよ!」


 バドは「よっ!」とその場に立ち、ソウタ達の方を見た。


「ここはね、魔王軍と戦うための訓練する場所なんだ!」

「で、あんな化物みたいな奴を用意したと?」

「だから普通のミノタウロスを置いたんだってば!」

「黒いミノタウロスは全然普通じゃないですよ!」

「そんな奴置くわけないじゃん!」


 うーん、やっぱりコイツはわざと置いた訳じゃなさそうだ。なら知りたいことができた。


「黒いミノタウロスってなんで黒色になるんだ?」

「勝てば勝つほど自信が溢れてその結果、力が爆発的に上がるんです。黒くなる原因は、体を無理やり強靭な肉体に変えたからだと言われています」

「そうなのか、メイありがとな」

「はい!」


 ソウタが物知りな仲間がいてくれるのは凄く助かるなと思っている時、バドは何か心当たりがあったのか、申し訳なさそうにしていた。


 それにすぐ気が付いたソウタはなんの躊躇いもなく聞いた。


「何かあるんなら早く言え」

「えーとね? だいぶ前にここに魔王軍が攻めてきたことがあったんだ」

「...それで?」


 ここらへんでみんな嫌な予感がしていたが、続きが気になるのでバドに話させる。


「魔王軍が攻めてきた時、ミノタウロスの夫婦が一組いました。そして魔王軍達は容赦なくミノタウロス達を倒していきました」


 バドがいつの間にか紙芝居のような物を持ちながら話していたので、セリス達は夢中になって聞いている。


「ミノタウロスの数が減ってきた頃についに!ミノタウロスの夫婦が襲われてしまいます! だがしかし、ミノタウロスの夫婦は負けじと戦いましたが、だんだんと押されてしまい、ついに夫が斬られるかと思ったその瞬間! 妻のミノタウロスが夫のミノタウロスを突き飛ばし、斬られてしまい、消滅してしまいました...」


 しーんと静まり返り、セリス達の息をのむ音が聞こえる。この時ソウタが思っていることは当然、


 いつになったらこの茶番終わるんだよ...


 と呆れていたが、話は終わらない。


「妻を目の前で斬られてしまった夫は怒り狂い、普通のミノタウロスでは辿り着けない強さの高みを登り、その場にいた魔王軍を全て葬ってしまいました! そしてミノタウロスの特性が発動し、真っ黒のミノタウロスが誕生してしまいました! おしまい」

「「「おぉー!!」」」


 三人とも、パチパチと拍手をしているが、全くもってそんな愉快な事態ではなかったことを忘れているんじゃないか?と思えるほど目を輝かせていた。


「それであんな化物が生まれたっていうことか。なんで忘れてたんだよ」

「いやぁー、あいつは僕じゃどうしようもなくなっちゃったからキレイさっぱり忘れることにしてたんだよねぇ...あはは...」

「...」


 あんな化物を相手にするのは確かに無理だろう。ソウタですら一人では勝てなかったのだから。


「じゃあ次は英雄の話を聞かせてくれよ」

「魔王軍の幹部を四人倒したらそう呼ばれただけだよ!」

「バド一人でか?」

「まっさかー! 僕はただの援護役だよ! ヤエさんと一緒に魔法を使って倒したこともあるんだよ!」

「師匠と!?」


 セリスが身を乗り出して話に割っては入ってきた。そりゃあ亡くなってしまった人の話が聞けるのなら聞きたくなるのは当然だろう。


 だからセリスがバドに抱き着いて話を聞き出そうとしているのも仕方のないことなのだろう。


 ソウタが自分に言い聞かせていると、メイと茜はそれに気付いた。


「ソウタさん、大丈夫ですよ!」

「そうだよ! ただ真剣になってるだけだよ!」

「わかってるよ!」


 これがただの醜い嫉妬なのはわかっている。けど、セリスが俺じゃない男と触れあっているのを見るのは嫌なんだよ。


「ソウタ君、変わったね」

「そうか?」

「うん、だって昔は自分のこと以外興味なかったでしょ?」

「...そうだな」


 俺自身のことも興味なかったけどな、とは言わない。言えば怒られる気がするからだ。


 ソウタと茜がやり取りしている間、セリスもバドと話しているのでメイは一人ぼっちになっていた。


「どうせ私はいつも一人なんですよ〜だ...」


 悲しいことを言っているが、誰もメイに気が付くことはなかった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 数分後、バドはセリスに師匠について聞かれていたが、誰がセリスの師匠か知らないので教えようがなかったので無視をし始めた。


「そういえば君達の名前ってなんなの?」


 バドはここにいる人達の名前を知らなかったので聞いたが、セリスはいまだにバドにしがみつき「師匠とどういう関係なのー!」と言っており、ソウタは機嫌がますます悪くなっていき、メイは隅っこの方で体育座りをしているので、誰もバドの質問に答えなかった。


「あの〜、誰か僕の話聞いて?」

「じゃあ私の質問に答えてよ!」

「彼氏さーん! 彼女さんが僕の話を聞いてくれないです!」

「あ゛?」

「...すみません」


 バドは「なんでこんな人達がここまで来れたの?」と疑問を抱きながら窓の外を見るのであった。





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