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絶望

 第四十二話


 ソウタが黒いミノタウロスと戦闘している間、セリス達は残りの十九体のミノタウロス達と戦っていた。


「──断絶ッ今のうちにやって!」

「了解です!」


 セリスがミノタウロスの両腕を切断させ、その隙にメイがとどめを刺す、ということを繰り返していると五体ほど仕留めることが出来た。


 その間、茜は他のミノタウロスのヘイトを稼ぎ、時間稼ぎをしている。茜はミノタウロスの動きを見切っているようで、まだ一撃もくらっていない。


「茜! まだ持ちこたえられそう!?」

「あと数分が限界かも!」

「ならすぐに片付けましょう! 茜さん! あと少しだけ耐えてください!」

「わかった!」


 茜がミノタウロスの動きを見切れているのは剣姫による効果が大きい。剣姫の能力は敵の動きがわかる、つまり相手の動きを未来視することが出来るのだ。


 だがこれは魔力を大量に消費してしまうのでいつ限界がきてもおかしくない状態だ。


「メイ、10秒だけ茜と時間稼ぎお願い」

「了解です」


 この状況で勝つ方法はもうあれしかないソウタ、そっちは任せたからね!


 セリスはこの状況を打破するためにイメージする。


 セリスは魔法の天才なのでソウタと同じく創造魔法が使用できる。だがそれは誰にも言っていない。言う必要がないと思っていたからだ。


「...準備OKだよ、二人とも下がって!」

「はい!」「了解!」

「降臨せよ──雷神龍ッ!」


 セリスが創造魔法を発動させると、雷を纏った龍が天井を突き破り、空には暗雲が広がった。


 雷神龍は雷を纏ったとてつもなく大きい龍だ


「喰らい尽くせッ!」

『ギャオォォォォォ!』


 セリスが出現させた雷神龍はまず一番近くのミノタウロスに突撃すると、一瞬で消滅した。


「えっ」

「すごい...」

「はぁ、はぁ、行けぇぇぇ!!」


 雷神龍は次々とミノタウロスを飲み込んでいき、ついにあと四体まで減らした。


 だがセリスは残りのミノタウロスを葬る前に魔力を使い果たしてしまい、雷神龍は消えてしまった。


「はぁ...はぁ...ごめんね、倒しきれなかった...」

「ううん、セリスちゃんのおかげで勝機が見えたよ」

「そうですよ! 後は休んでいてください」

「...援護は任せてね」

「休んでてくださいよ」

「いや」

「あははっ! セリスちゃんって強情だね!」


  ミノタウロスが減ったおかげで余裕ができた三人はそんな事を言っていると、近くで大きな爆発音が聞こえた。


「...勝ったん、ですかね?」

「そ、ソウタ君なら大丈夫だよね...」

「.....大丈...っ!?」


 指輪を見ると、ダイヤモンドが点滅している。ということはソウタは今、ピンチっていうこと!?


 セリスが動揺していると、二人とも気付いたのか顔を青くしている。


「ま、まさか...」

「セリスちゃん、ソウタ君が今どんな状態かわかる?」

「.....うん」

「教え...」


 ドォォォォォンッ!


 壁を突き破り、何かが目の前に飛んできた。それはなんと、ボロボロになったソウタであった。


「あ...」

「うそ...」

「.......ソウ...タ...」


 三人はボロボロになってしまったソウタを見て絶望した。


 ソウタで勝てない相手にどうやって勝てばいいの?それは三人とも同じ事を考えているので、目を合わせればすぐ分かるが何も言葉が出てこない。


「...ここで終わりなのかな?」

「...そう、ですね...ソウタさんが勝てない相手に勝てるはずないですもんね」

「...諦めるしかないの? ねぇ、ソウタ? 何とか言って?」

「.....ははっ、すまねぇな。こんな情けない姿見せちまって。最低な旦那だよな」


 ソウタが元気なさそうに言うと、みんなはお通夜みたいに静まり返ってしまった。


「...みんなは今すぐここから逃げてくれ」

「ソウタさんはどうするんですか?」

「囮になる」

「そんなのダメだよ!」

「いいんだよ」

「良くないよ! セリスちゃんのことをちゃんと考えてあげて!」


 セリスの顔を見ると今にも泣き出しそうな顔をしている。最後に見た表情が泣き顔なんて嫌なんだが、まぁしょうがないよな。


「ほら、早く逃げろ」

「いや!」

「逃げろよ!」

「いや!」


 なんでこんなに強情なんだよ! 時間がないのに、子供みたいに駄々こねやがって!


「いいから逃げろよ!」

「いや! 最後までソウタといるの!」

「俺はお前に死んで欲しくないんだよ!」

「そんなの私だって思ってるもん!」

「二人とも落ち着いてよ!」

「そうですよ! あっ! それならもういっそ、みんなで戦いましょうよ!」


 メイがとんでもないことを言いやがった。つまり、みんながいれば死ぬのも怖くないっていうことか?そんなの、ただのバカじゃないか!


「そうしよっか!」

「そうだね!」

「よーし! やりますよぉー!」

「は?」

「ほら、いくよ?」


 セリスに手を引っ張られ無理やり起こされた。本当にやるつもりなのか?


「全く、お前らはバカだな」

「元はと言えばソウタが逃げないって言ったからだよ!」

「そうです! 一番のおバカはソウタさんです!」

「そうだねぇ、ソウタ君はバカだねぇ」

「お前らなぁ!」

「グォォォォォォォ!」


 冗談の言い合いをしているとミノタウロス達が咆哮をし始めた。どうやらもう待ってはくれないらしい。


「さて、ちょうどみんな一体ずつだな」

「では、私は右のミノタウロスで」

「私は左もらうねー」

「じゃあ私はあまったのをやるね」

「黒色は任せろ」


 メイと茜と一体ずつセリスは二体、ソウタは黒色のミノタウロスを担当することになった。


「各自撃破したら誰かの援護に行くこと。ただし、俺のところには全員そろうまで来るな」

「「「了解です!」」」


 各自、ミノタウロスに攻撃を仕掛け、少し離れた場所に移動する。


「さぁ、第二ラウンドといこうか」

「ペッ!」


 お前には用はない、といった感じに唾を吐かれた。


「ま、お前にはさっきボコボコにされたもんな。そりゃぁ仕方ねぇが、今度はさっきとは別だぞ?」

「フッ」


 いちいちムカつく態度をとる奴だな。相当自分に自信を持っているんだな。


 イメージしろ、こいつに勝てる自分を。


「──覇龍ッ!」


 覇龍を発動させた瞬間、広間は黒色のオーラで包みこまれた。


「セリスの龍を見てなかったらこんなの思いつかなかったぜ」


 覇龍は覇王の上位互換のようなものだ。自分に龍の力を宿す技だ。だが、翼や尻尾はない。代わりに自分の体の腕や顔に鱗のような紋様が浮かんでいる。


 ソウタはミノタウロスとの戦闘中、視界の隅にセリスが放ったであろう龍に一瞬だが見蕩れてしまっていたのだ。


「グォォォォォォォ!!」

「おいおい、ヤバいと思ったらいきなり急変かよ」


 ソウタのオーラは先程より数段強くなっていることが目に見えて分かる。


「さぁ ──第二ラウンド開始だ!」

「グォォォォォォォ!!」


 その瞬間に踏み切り、ミノタウロスの懐に入ると思い切りグーで殴ってやると、大分効いたみたいで血を吐いている。


「グハッ!」

「どうだ? 効いただろ?」


 ミノタウロスがギロッと音が出そうな勢いで睨んでくる。


「ほら、本気をだせよ」

「ぐ、グォォォォォォォ!!!!!!!」


 ミノタウロスのオーラがどんどん増していき、黒いオーラはミノタウロスを包み込んだ。


 やがてオーラの中からミノタウロスが出てくると、目は血走っており、身体中から黒い煙がでている。まさに最終手段を出してきたという感じだ。


「どっちが強いかわからねぇな」

「グォォ」


 ミノタウロスはさっきまでと違い大人しくなり、黒い鎧まで着ている。


「さっさとやろうぜ?」

「グォォォォ」


 そして同時に踏み切った直後、地面はめくれ、剣と剣がぶつかり合うと二つとも折れてしまった。


「ははっ」

「グゥゥゥ」


 ソウタが笑いながら折れた剣を捨てると、ミノタウロスも折れた剣を捨てた。





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