四人の朝
第三十七話
朝起きて薬指を見ると指輪を付けていた。ということはだ。
「昨日のは、夢、じゃないってことだよな?」
昨日は色々なことがあったのでもしかして夢だったのでは!と思っていたのだ。
「...セリスと顔合わせるの恥ずかしいな」
告白した次の日の朝に会うと思うと無性に恥ずかしくなってくる。
「ん〜?おはよ、ソウタ」
「おはよう、セリス」
居間の方へ行くと眠そうにしているセリスがソファでくつろいでいた。
あれ?意識してるのって俺だけ?なんかそれはそれで寂しいんですけど...
「ソウタくーん! セリスちゃーん! ごはんできたよー!」
「早くこないと冷めますよー!」
二人の姿が見えないと思っていたらご飯を作ってくれていたのか。
セリスはご飯と聞いたら目を瞑ったまま動き出し、イスに座り食べ始めようとしたらメイに怒られている。
「ちゃんとみんなが揃ってからいただきますをするんですよ!」
「(こくこく)」
「ちゃんと聞いてますか!」
「...すぅー」
「セリスさん! 起きなさーい!」
セリスは余程眠いのかまた寝始めたのでメイが揺らして起こそうとしているが中々起きない。
それを見て茜さんは笑っていたので話しかけることにした。
「おはよう、茜さん」
「おはよう! ソウタ君!」
「昨日はちゃんと眠れたか?」
「うん! でも、あの二人と話してて夜更かししちゃった☆」
「そうか。だからあんなに眠そうなんだな」
俺はそろそろお腹が空いたのでセリスを起こすのを手伝いようやく起こせた。
「...眠い」
「ちゃんと夜寝ないからだろ?」
「茜と話すのが楽しかったんだもん」
「セリスちゃーん!」
セリスは茜に抱きつかれたが黙々と朝食を食べている。その時にセリスの左手を見ると、指輪がついていなかった。
え? あれ? 指輪は渡してなかったのか? いや、それなら俺は指輪をつけていない筈だ。
そして辿り着いた答え。それは考えたくもなかったが、状況から予測するとどうしてもこの結論がでてきてしまう。
そう、俺はこれから指輪を返されフラれるんだということに。
そんなことを考えてしまったソウタは魂が抜けたようになってしまった。茜はソウタが内心そんなことを考えているとは思っていなかったので、疲れているんだな程度にしか気にしていなかった。
「あれ? セリスさん、指輪はどうしたんですか?」
その言葉によりソウタに魂が戻り、ご飯を食べながらチラッチラッとセリスを見だした。
「んー? 指輪?」
「昨日ソウタさんにもらっていましたよね?」
「???.......〜〜〜///////」
セリスは始め、何のことかわかっていなかったようだが、どんどん意識が覚醒していき昨日のことを思い出して湯気が出そうになるぐらい顔を真っ赤に染めていった。
「とってくる!」
セリスはそう言うと、パタパタと寝室の方へ走って行ったと思ったら手に箱を持ち、すぐに戻ってきた。
「えへへ、つけながら寝ると無くしちゃうと思ったからいれてんたんだぁ」
すごく幸せそうな顔をしながら指輪をつけるセリスを見たソウタは嬉しさのあまり抱きつこうとしたが頑張って抑えた。
「似合いますね!」
「そうだねぇ、メイちゃんもやっぱり欲しいとか思うの?」
「それはもちろん!」
「あはは! かわいいねぇ」
女子ってなんでこんなにも早く仲が良くなれるのだろうか? それは男である俺にはわからなかった。
そんなことを思った時、指輪の機能のことをいきなり思い出した。
「その指輪な、お互いの位置とか状態がわかるようになってるんだ」
「え、そうなの!? すごいね!」
「だろ? 見た目も良いし、これだ! と思ったんだ」
「これでソウタが無茶したらすぐにわかるね!」
「.....そう、だな」
そうか、これで俺が無茶したらその瞬間にわかるっていうことになるのか...
「それ、相手の位置とかわかるって...」
「ちょっと、重くないですかね...?」
「え? そ、そうなのか!? 俺って重いのか!?」
女性二人に重いと言われた時に気付いた。
確かに、これじゃあ束縛もいいところじゃないか!? セリスの自由を奪っているようなもんだろ、なんでそんなことを考えなかったんだよ俺ぇぇぇぇぇ!!
ソウタは四つん這いの姿勢になり自分の買った指輪を悔やんだ。
そんなソウタを茜とメイは慰めようとするが、何て言えばいいのかわからないようであたふたしている。
でもセリスだけは違った。
「重くないよ? 私だってソウタがどこへ行ったとか知りたいもん」
「え、いいのか?これで?」
「うん! ソウタが危なくなった時でもすぐに助けに行けるしね!」
「ははっ、俺はもう負けねぇよ」
「そう信じてるよ」
ソウタとセリスは二人だけの世界を作ってしまいそうになるのをメイが防いだ。
「せっかく作ったご飯が冷めちゃいますよ!」
「あー、そっか」
「食べるか」
「そうしよそうしよー!」
こうして四人で迎えた初めての朝は楽しく始まった。




