告白
第17話
俺とセリスは寝る前にあることで揉めていた。それは、
「ソウタと一緒に寝るの!」
「一人でねろ」
「いーやー!」
「絶対にお前とは寝ない」
なんとセリスがごね始めたのだ。これは俺が折れるのが一番手っ取り早い。だがここはギルドの中の寝室だ。もしも一緒に寝ている時にザックが入ってきたらもう弁明のしようがない。なので俺は頑なに断る。だがしかし、
「私のことが嫌いだからそんなこと言うんだ! うわぁーん!!」
セリスが泣き始めた。 こういう時、女は本当に面倒だと心の底から思う。
「はぁ、もうわかった! 今度からギルドの中の寝室じゃなかったら一緒に寝てやる! だからもう泣くな」
「ほんと!? わぁーい!」
「ちっ、 また嘘泣きかよ」
「ソウタは涙に弱いよねぇ!」
セリスはうふふっ! と楽しそうに笑っている。まぁ一件落着ということにして、ベッドの横に布団を敷き、寝ることにする。
「ねぇソウタ」
「……」
「もう寝たの?」
「……」
「おーい」
「……」
ひたすら狸寝入りをする。 はやくお前も寝ろよと思っているとセリスが小さな声で何かを言い始める。
「私ね、この街に来て昔のこと思い出したの」
「……」
「ソウタは街の人から石を投げられてたでしょ? 私もね、私が住んでた村の人からたくさん石を投げられたりしてたの」
「……」
「だから、私に石が当たった時に震えていたのは痛かったんじゃなくて、昔のことを思い出していたからなの」
「……」
「でもソウタは勘違いして新しく【風の鎧】を創って私のことを守ってくれたよね」
「……」
「ありがとね」
「……」
「もう!何か返事してよ!起きてるの知ってるんだから!」
バレてた。 なんで分かったんだよ。 つーか、今はそんなことより、しなきゃならねぇことができた。 起き上がりセリスのいるベッドに近づく。
「ほら! やっぱり起きてたんじゃない! 返事ぐらいしてよね!」
「なぁセリス」
「なに?」
ガバッ! と俺はセリスを抱きしめる。
「えっ!? ちょ、どうしたのソウタ!?」
「これから先、なにかあったら俺を頼れ」
「ど、どういうこと?」
「お前は昔、辛いことがあって、ヤエに頼るしかなかったから一緒にいたんだろ?」
「う、うん。 そうだけど、それと今この状況に何か関係があるの?」
「……」
あれ? 俺はなんでセリスを抱きしめたんだ? ていうか、しなきゃならないことってなんだよ! 別に、守ってやるって言うだけならハグとかしなくていいよな。 もしかして俺はこいつのことが……!?
そうぐるぐる考えを駆け回らせていたが、自分の本心を認めることにする。だって、みっともないだろ? と心の中で開き直り、セリスの顔を見る。
「ほんと、さっきから無視しないでよ」
「悪いな」
「で、なんなの? この状況」
「あの、えーと、その」
「ほんとにどうしたの? いつものソウタじゃないよ?」
「ちょ、ちょっとだけ待ってくれ!」
なんだこれなんだこれなんだこれ。言葉が出てこねぇ。俺ってこんなにヘタレだったのか? 世の中の男性はどうやって告白してるんだよ!
そうやってソウタが心の中で叫んでいる時、セリスはすごく内心焦っていた。
え!?今なにか覚悟決めたような顔してたのに何も言わないの!? しかも、ちょっと待ってくれとかソウタらしくないこと言ってくるし。 もしかして、私とはやっぱり一緒にいたくないから、最後に抱きしめてやったんだから二度と付いてくんなよ? とか言われるのかな?
と悪い方向に考えが傾いてしまい、泣いてしまった。
「えっ!? セリス!? どうしたんだよ!?」
「うっ、ひっく。 私のこと嫌いなんだったらはやくそう言ってよ!!」
「は?」
「だって、ソウタは最後に抱きしめてやったんだから二度と付いてくんなよ? って言いたいんでしょ!?」
「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」
「じゃあなんで私のことなんか抱きしめてるの!?」
「…………だよ」
「なんて言ったの?」
「だから、その、……す……だよ」
「はっきり言って!」
「だから! お前のことが好きだからだよ!!」
「え?」
そう言った瞬間、世界から音が消えたと思えるぐらい静かになった。
あぁぁぁぁぁ! 言っちまったぁぁぁぁぁぁ!!!!
俺はもの凄くはテンパった。こういう時って、本当に冷や汗がでるんだな。ていうか、セリスが何も言わねぇ。 まさか引かれたのか!? と思いセリスの顔を見ると、大きな目から大量の涙が流れていた。
「セリス!? また、何か昔のこと思い出したのか!?」
「ちがうよ! バカ!」
「は!? なんなんだよ!」
「私もソウタのことが好きなの!」
「え?」
今、こいつはなんて言った? 俺のことが好き? ははは、耳がイカれただけだよなぁ。
「なにか、言ってよ」
「え、? な、何を?」
「だから! その、えっと、」
「セリスらしくないな。なにかあるんなら言えよ」
「ソウタのせいでしょ!?」
なんか俺のせいにされたんだが、理不尽すぎないか?
「だから、その、私のことすき?」
「あ、あぁ」
「私もソウタのことが好きだよ」
「っ!?!?」
ふっ、世の男性達よ、俺は勝ったぞ!と叫びたくなるのを我慢する。
「なぁセリス」
「なに?」
「この世界って交際というものはあるのか?」
「あ、あるよ?なんで?」
「お、俺と、付き合って、くれ!!」
セリスは目を見開き、笑い出した。
「ぷっ、あはははははは!!」
「なんで笑うんだよ!」
「だって、ソウタがすごく不安そうな顔で言ってくるんだもん」
「だからって笑うことないだろ!?」
「あははは! はぁ、えっと返事だよね! もちろんお願いします!」
「っ!? たくっ、笑わずに返事してくれよ」
「だって可愛かったんだもん!」
そう言って二人で笑い合う。すると、セリスが聞いてきた。
「なんで私のこと好きになったの?」
「急にどうしたんだ?」
「会って1ヶ月ぐらいしか経ってないのにどうしてかなぁと思ったの」
まだそんだけしか経っていないのか!?と驚きつつも返事を返す。
「さぁ、なんでだろうな?」
「えっ!? 理由ないの!?」
「嘘だよ。お前の元気の良さに惹かれたんだよ」
「でもなんでこのタイミングに告白してきたの?」
「なんつーか。今すぐにでも、お前のことを守ってやりたくなったんだよ」
「私が嫌な事を思いだしたから?」
「あぁ」
「ふふっ、ありがとね!」
そう言ってセリスが抱きついてきた。こんな小さな体で頑張ってるんだよなぁと思いつつ、こいつは俺の命を賭けてでも守る、と心に決める。
「なぁ、そろそろ寝ないか?」
「ソウタはどこで寝るの?」
「……ベッドで寝る」
「じゃあ私はお布団?」
セリスが意地悪そうな顔をしながら言ってくる。さすが150歳オーバーな女性だけに、男の扱いが上手いな。と思っていると、
「今失礼なこと考えてたでしょ?」
なんで分かるんだよ!? と思いながらも平静を保つ。
「何も考えてないぜ? そんなことより一緒に寝よう」
「さっきは嫌って言ったくせに」
「昔のことは忘れた」
「調子いいんだから」
そう言いながらもセリスは嬉しそうにしている。告白してよかったと思い、今度こそ二人で一緒に寝ることにする。
「じゃあおやすみ」
「うん、おやすみなさい」
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そう言って数分したらすーっすーっという寝息が聞こえ始めた。
「子供みたいな寝顔」
「……」
「大好きよ、ソウタ」
そう言ったセリスの顔は幸せに満ちていた。そして、数分間ソウタの顔を眺め、眠たくなったので寝ることにする。
「おやすみなさい、ソウタ」
そして、明日からも楽しみだなぁ!と思いながらセリスも眠りについた。
✱✱✱作者✱✱✱
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