妄想を語ろうじゃないか。
未来を生きるというのは、現在を、今を生きる我々にはできない事だ。
下手に未来に手を伸ばすと未来に食われるから。だから、語ろうじゃないか。生きること事が出来なくても手が届かなくても、妄想を語るのは、未来を想うのは、それぞれの、我々の、自由であるべきだ。
まずは手近な未来から語ろう。
民間医療装置。
これはドクターの資格が無くても、合法的に名医に成れる装置である。
ブラックジャックという漫画の主人公はあまりに有名だが、彼の様に無免許で手術が出来てしまう、否、彼の様でなくては手術が出来ない様な未来がきっと来る。と、私は思う。
ドクターは手術に時間を割かなくても良くなる。手術プランを組まなくてもいいのだ。
何故ならば、ドクターでなくても、何度でも、手術が、出来てしまうから、手術はドクターでは無く、ゲーム感覚で腕をと名を挙げた人々がスコアを競って最善を尽くしてくれる。
だから、ドクターは診断だけに集中できると言う事。検査事項を決めるだけでリスクが無い、夢の職業になると言う事。
では、どうしたらその夢が現実になるのかというのは、VRだ。
バーチャル・リアリティだ。
今はまだゲームに特化しているこの技術だが、上手く使えば上記の様な事も出来ると言う事。私もゲームは好きで良くやっていた。過去、大手メーカーから手術をするゲームが発売された事があるのをよく覚えている。当時は無理ゲーの烙印を押されてしまったタイトルだが、VRでこのジャンルを復刻し、販売し、データを売買して、更にバーチャルとリアルの境を取っ払うことが出来るなら、家に居ながら他人の病巣を取り除く事が出来るようになる。
ハイスコアのデータにはより高い報酬を与え参加人数を増やしつつ、技術系ドクターを育成していく事。
よりリアルな触感でプレイ出来るようにVRの質を上げて行く事。
VR対応するロボットを制作する事。
そして、バーチャル・リアリティをリアルで活用するという点から、倫理、法の壁は越える事。
それらが出来たならきっと民間医療装置は完成する。
ただし、注意もある。
データの為に病を進行させる様な事をする人も現れる、と言うのがそれだ。
将来的にはデータは金銭的価値を持つ事となる。データ自体が報酬となると言う事。
報酬の為に健康を犠牲にする人もきっと現れると言う事で、それは確実ではないけれどかなり深刻な問題だ。
ほかにもまだ見えない問題はある。
民間人からの手術データでは信用ができないという人も出て来るだろうし、停電などのトラブル時に手術の失敗率が上がると言ったリスクもある。
リスクという点で物を見るなら、責任の所在をどうするか、という問題はやはり無視できない。この装置で責任を追及を始めてしまうと逃げも隠れも出来ない。スコアから個人を特定することが出来てしまうからだ。
様々な問題を抱えながらもトライ&エラーで進めていけたらいいと私は思う。