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幻想領域から来るモノ ☆3



 今日は朝から、もの凄く嫌な事があったものだ。

 俺こと王国を統べる覇者的な存在だが、実態は物凄く矮小で在る自覚が多分にある。


 存在ネットワークをあーだこーだ上手い感じにバランスを取るには、俺の存在規模を矮小にするのが、

 少なくとも、俺の構築する観測者やら能力者の情報集権ネットワーク機構においては最適で最大なのだった。

 故に俺は、書籍化に向けて、という小説投稿サイトに自作小説をアップして、その感想とかに一喜一憂する位には、な。


「はあ、ヒルダーネットワークに、さっさと戻りたいモノだ、こういう事があると、富に想うモノだ」


 あの芸術的な宇宙法則に支えられて存在する、巨大な視るモノとしての観測者視点、

 そして、森羅万象が跋扈する情報ネットワークの存在比率の、神憑り的なバランスの究極進化系の生みだしたシステムの共存。

 全てが全て、無限大に望んでも止まない渇望を喚起する、およそ知的生命体としての悦楽を嗜むに極点にして至高、

 そう、俺が帰るべき世界とは、あそこであり、アレ、なのだと確信する。


「やあやあ、ニアコさんが現れましたよ」


「イリスちゃんも、参上したよ」


 軍議に次ぐ軍議の会議の中を、小休止の合間を縫って現れる二つの影。

 一人は幻想領域の大支配者、もう一人は、件の観測集団の、もとい俺の昔馴染みだな。


「おいニアコ、イリス、邪魔だ、失せろ」


 俺は言う、どうせ下らなさを極めて、詰らんしょうもない戯言を俺にほざきに来たに決まっているのだ、今までの実戦経験から知れる。


「下らないのはお前だぁ!」


「邪魔だあああ!!!!」


 二人は笑っている、特にニアコ、鈴を転がしたような、耳障りな笑い声が俺の怒りを増長させた。


「ニアコちゃん、その鈴をころかしたような笑い声、凄くいいね! イリスも真似してみる!」


「いいよ!いいよ! どっちが、より上手に鈴をぶっ転がしたような笑い声ができるか!勝負だね!」


 二人そろって、俺的にはステレオな感じに、その鈴を転がしたらしい笑い声が響き渡る室内。


「率直に言って、殺したいのだが」


 ハッキリ言って、俺の邪魔をする奴は、その障害度に関わらず、さっさと一切の慈悲無く殺してしまうのが俺の主義なのだが。

 だがまあ、この二人に関しては除外されてしまう法則だ、あまりにも存在規模がデカ過ぎる。


「にゃあうぅ、負けっちゃったよ」


 この顛末からも、この二人が掛け値なしのゴミ屑だという事が、容易に分かってしまうモノだ。

 笑い声が鈴ってのは、どうやらニアコの方が経験的に有利なのか、上手い感じに笑っていられるようだ。

 みたいな、ゴミみたいな益体の無い事に必死になり、馬鹿みたいに人生を楽しめるセンスが、俺的には腐り果てたゴミのように映るのだ。


「違うよ違うよ、こうやって、鈴を二つ転がすように笑うのがコツなのだよ!」


 そういってニアコは、本当に口の中に鈴を二つ放り込んで、耳障りに揺らしているかのような笑い声を出す。


「凄い!凄い! すごく綺麗で良い音色が鳴ってるよ! わたしもぉお!」


 というゴミ屑を突き抜けた、幼女っぽいヴィジュアルのクソカス共が、三十分も場を乱してから、やっと本題らしきモノを言ってやがる。


「ねえねえ、幻想領域に踏み入ってる件だけどさあ」


 幻想の支配者、銀の猫耳を揺らして、ルビー色の瞳をこちらに向けて、いやらしい口調で尋ねてきた。


「知らん」


 俺は一顧だにしない、コイツの言う事は全て、俺は金輪際ことわらない事に遥か昔に決定しているのだ。


「駄目駄目、私の尻尾の先にタッチしておいて、はい知りませんじゃ、問い屋が卸して通らないわけよお」


「なるほど、それゆえの貴様、イリスの同伴という訳か」


「そうそう、わたしが融通を利かすというわけよお、

 もちろん、今現在、貴方が保有する、ヒルダーネットワークに残存させているモノを、幾らか、ってね。

 意味分からないかな? いやいいよ、分かっているのが当然なんだから、確証も証拠もある。

 そしてリアルタイムに求めるモノだって熟知してるつもりだよ」


「知った口をききやがって、イリス、てめえは遥か昔から、、、

 まあいい、その件は置いておく、俺は研鑽される歴史を嫌うって、一応の心情にしているくらいだ、

 それにどうせは水に流せる程度の、”因縁”にしかならんだろうからな、多めに見てやるってわけだ、感謝しろよ、突き抜けた屑が」


「はいはい、貴方は昔から、そんな感じで、そんな有様だったね、

 まあだからこそ、ヒルダネットワークに残っていて欲しいって、わたし自らが心底から望んでるのも、知ってるよね?」


「馬鹿が、てめえの利己的で営利主義な、機会主義を増やす名目なんだから、恩を着せるな、うざってえんだろうがよ」


「にゃは、まあいいじゃん、わたしの立ち位置が、貴方に利益をもたらす事に、金輪際含めて、永遠に不変なのだろうしねえ。

 というより実を言うと、最近は保守的な観測者が多くなり過ぎて、ボスからも貴方を出戻らせたいって、要請も一応はあるんだよ」


 ボス、もちろんネットワーク機構のトップだろう、

 なるほどヒルダの奴、どうせ高みで好きに動き回れるように、馬鹿しか部下にしてないから、今に成ってそのツケ、泣きを見ているのだろう、簡単に想像も推察もつく話だ。


「だが、流石にトップが意向として所持してても、一度組織に背を向けた奴を、容易に戻せるとは思えんが?」


「もちの論だよ、貴方の扱い、特に保守派の、観測者を敬虔な神の使徒、世界の理かのように崇めてる連中にとっては、断罪するべきって意見だってあるのは否定しない。

 だけどね、わたしのように、世界ってのが綺麗事と理想論で、絶対に成り立たないと知る、真なる観測者たち、

 ハッキリ言うなら、幹部クラス以上の人たち全員だね、みんな貴方の帰りを心待ちにしてるくらいは、太鼓判を押しても良い位に断言できる事実なんだね」


「くだらん、嬉々として外道の手先となり、真理の探究の為に、鬼畜で極悪人である事を、自己の存在と共に肯定する馬鹿共が」


「貴方だって、同じなのだし、言いっこ無しだよ。

 いや違うね、貴方の場合は、最愛の存在を、無限大の強化人間の計画に差し出したのだし、場合によってはまた別口かな? 

 どうでもいいね、

 とにかく、わたしが望むのは、過去の状態に今が戻ることなの、今のままじゃ、あまりに寂し過ぎるから」


「どうとでもシロ、俺にできる事はなにも無い」


「嘘だね、今だって、全力で出戻る為に、死力すら超越して頑張っているじゃないの。

 あと組織に背を向けた件は、アウルベーンのあーだこーだの事故なのだし、特例としても通り易い前提はできているんだよ。

 プラスして、貴方がこのイルミーナードで、組織に貢献する成果を出せば、おのずと成る話なのだよ」


「そうか、俺があえて、計画して、この場に居ると、ただ言うだけで、組織を離れていた件は、チャラになるというわけか?」


「そういうこと、特に幻想関連の法則は多いのだし、未開拓の暗号なら、幾らでもでっち上げられるでしょう?」


「世界の最前線でも、独占できる未開拓、未開発、しかも法則級のレベルだと、少しばかり、いやありえんほど割が合わんが」


 そこで、既に話に加わらず、一人でに携帯ゲームをやっていた、ニアコがやってきて言う。


「世界に無尽蔵に隠された、神秘的なトンデモ伏線作りにおいて、右に出るモノはいない私的には」


「いいから、重点である用件だけを端的に話さんか」


「そうだね、ようは大深度幻想領域、つまりはイルミナードに直結していた私の支配下領域の、

 その方位陣に、私の部隊を潜らせる」


「上に了解は得ているのか?」


「当たり前だよ、絶対存在の絶対能力無くして、この最前線力場が展開される場所で、情報を扱うなんて不可能ごと、やるわきゃない」


「どうだかな、絶対存在の、その分離帯、分離した切れはし、影が、暗躍しているのが、お前ら幻想の勢力の専売特許だろうが」


「つまりは?、その絶対存在の影が、今回の主犯であると、君は予想しているの?

 でもだったらそれはそれで、良いんじゃないの? やる事に変わりは無いのだし」


「馬鹿が、絶対存在の勅命と、その代理で動いてる影の意志では、どう考えても戦力がワンクラス劣るだろうが」


 俺が疑いの目でニアコを見ていると、先ほどの携帯ゲーム機をバトンパスされてプレイしていたイリスがやってきて言う。


「いやいや、だからこそ、幻想の絶対存在の動向を探る任務を持つわたしが、今回のフォローに回されたって、既に察してるんじゃなかったの?」


「馬鹿が、そんなクソみたいな伏線は忘れていた、だいたい秘匿されていた事を、

 仮に影だったとしても、幻想サイドの居る場で話す奴があるか」


「いいじゃんいいじゃん、

 そして仮に言うけど、この子は本体の勅命を受ける位には、深い場所にずっといた経歴があるからね、信用度は高いのだよ」


 そうか、ならば割は合う、

 大深度幻想領域の、その秘法則を集積するのは骨だが、見返りに成るモノが確実、ようは確実性の高い賭けなら、乗るべきなのだろう。


「話は終わった、お前らはどこへなりとも、この領域の隅で存在する事は許してやる、出てけ」


「嫌だよ、覇者君と友達になっておこうと思って、今日はここに来た理由もあるのだし、絶対に嫌だ」


「交友を温めるくらいは、許してくれるよね?」


 俺が苦虫噛み潰したような顔をして、先ほどよりパワーアップした鈴を転がすような笑い声を二人同時にされて、いちばち殺そうかと思ったのだった。


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