始祖図書館群‐イリカと黄金の徒
コードメサイアの所持者、世界の破滅を司り、世界の始祖から生まれた神。
「そう、どれだけの感情を起爆できるか、情報力場は、世界の広さをどれだけ深く知るかが重要だ」
私の望みは何か、それを求めるが故に、世界を創生し、今も無限大の無限大に果てしなく、情報を鬼集している。
「だが、何時までも答えは出ない、究極の理想も、究極の特異点も、真に神成る私を満たすには、全然にほど遠い」
人は超越者であると、絶対の超越者であると、私を言う。
だがそれは偏見だ、私は人間を極めつくして、世界すら創生できるほどに卓見した、所詮は人間でしかないのだ。
己の見える範囲の世界で満足できずに、自らで真に果てしない世界を創造するなど、人間でなければ成しえない偉業なのだろうか?
「おい、お前、クソイリカ」
「ああ?」
金髪を振り振りして、ゴミみたいなロリータファッションのセンス、男を誘惑する事にしか性能を発揮しない衣装。
「クソシャロか、なんだ?」
「世界の破滅の、キーを抜いてんじゃないわよ」
ああコレ、私は手の平の、何の変哲もない、私の中から出てきたカギを眺める。
「私のゴルデミックパンドラを解放して、絶対化して、全世界に波及する前だったから良いモノを!」
「別にいいじゃねえか、図書館の主が、どうせ全部下に戻す、再現できるんだからよ」
そうだ、この世界を終わらせようとしても、もう終わらない。
絶対の権限は、エクストの主が握り、既に世界の実権の幾らかは解放されているみたいなモノ。
だが故に、未知なるを求められる、それでも。
「狂っている、世界を終わらせるなんて」
「当然だ馬鹿野郎、俺様が狂ってなければ、誰が狂っているんだ」
狂っている、当然だ。
私は世界を知っていた、なのに世界を創生した、その時点で狂っているのは証明された。
真に狂っていなければ、人間で在り続ける事は絶対に不可能なのだから。
「それでなんだ? クソシャロ、お姉さまに耽溺してるお前が、わざわざ俺様の下に馳せ参じる理由だ」
「ちょっと待ちなさい、まるで私がシスターコンプレックスのような、ありえない事象を否定させて」
「嘘をつくな、俺様はメサイア図書館の主だぞ?
集める情報の質的に、お前の変態的な姉に対するアレコレに対する痴態は、優先収集対象だ。
ああ楽しかったな、クソみたいにクールな顔をしているお前が、姉を前にして、姉を思って、あんなクソをやらかすとは」
「きぃいい!!!」
クソ電波周波数の声をまき散らして、黄金のレイピアでわたしを無きモノにしようとする幼女。
まあコイツも本気で私を殺害する気はないようで、子供の喧嘩程度で自体は収まる。
「それで? 何なんだ?」
「取引よ、わたしをイルミナードに派遣して」
「はあ、分かりきっているが、どうせシャルロットに対する、主人公ポジションなんだろ?」
「もう言葉を選ばないわ、私はお姉さまとラブラブいちゃいちゃできるなら、何でも差し出せる。
あの至宝の女性と結ばれてしまいたいの、でも姉妹だし、その他もろもろで出来ないの。
だったら、夢を見せてくれても良いじゃない!!」
「うるさい奴だ、さっさと差し出せる対価の、最大上限を提示しろ」
まあ予想はできる、黄金郷とのコネクションで、
更にメサイアとの長期にわたる信用取引、継続的な繋がりを見越して、此処がベストパートナーと選んだ、ならば。
「それについては、俺から語ってやろうか」
どこからか、まあ分かる場所だったが、転移してきた青年くらいの奴が来る。
こいつも黄金の系譜、名は覇道なんたら、まあ私から見ればモブ程度の奴なのだが。
「黄金の系譜に連なる、王者、黄金郷の戦闘員として見れる程度の、、、なるほど、俺様に観測されたいか?」
全てを完膚なきまで知り尽くせる、コードをチラつかせる。
コレを差し向けられて、猶予を残さずに逃げ帰った上位存在は数知れない。
「なるほど、逃げ出さないか、それがそのもの、取引材料って訳だな? シャロ?」
「ふっふ、つまりはそういう事よ、どうかしら? 差し出す対価に、見合って?」
「ああ、いいだろうよ」
この姉愛馬鹿は、正直どうでもいい。
だがこの時期、このタイミング、この不確定要素を、黄金の勢力が投入してきた意味と価値は、興味が湧いた。
どうやら何かが動き出す、その予兆程度は、ただの人間一人の直感だけでも確信の領域で分かる、今このトキだった。




