退屈を持て余した観測者‐挙措動
「あー、退屈すぎるぅ~」
退屈で退屈で、しょうがない。
だが、世界はまるっきり面白くない、遊びつくしたのだ。
ゲームとしては例えるなら、全クリしたあと、全てのやり込み要素を制覇して。
そしてその後、自分自身でオリジナルの分厚い解体新書を作ったくらいのレベルぅ。
「面白い事が何もない、もう死にたい、無になりたい、のになれない、退屈だぁ~、なんじゃー」
もう最後の手段だ、自分自身の内なる宇宙を観測してみよう。
もしかしたら、何か見つかるかもしれない。
あまり期待しないながらも、わたしは己の中にだけ埋没した。
「やあ、わたし」
やあ、と手をあげた。
目の前、どこからどう見てもわたしだ。
光輝いてて素晴らしくチャーミング可愛い、ぺろぺろしたい。
「うわぁ、わたしったら、こんなに素晴らしかったのねぇ」
「うん、そうだよ、一つになろう」
「うん、なろうなろう」
わたしはわたしを見つめて、見つめ直している内に、また生きる活力を少しずつ回復させていったのだろう。
また外のゲームをしたくなったのだ。
この新しく心機一転した心地で、あのゲームをプレイしたならば、割と楽しめそうな気がする。
「わたしは、こんなにも世界を愛していたんだ。
久々な感覚だよ、うれしいよぉ、たのしいよぉ、この感覚ぅ、何時までも胸に持って大事にしたいよぉ」
だけど、そういうハイな気持ちも薄れて、また宵闇が訪れる。
「なんでなんで!、こんなに詰まらないのぉ? はっきりクソゲー過ぎんよぉ!」
わたしは世界を叩いて壊したくなるほど、憤慨し失望し絶望したぁ!
「わたしはわたしの世界に返るぞ、こんな糞みたいな世界にいられるか!」
また自分の内側に篭る。
ここは最後の防衛線、ここを否定すれば、わたしは掛け値なしに終わりだ。
だからか、最後の最後まで、わたしの臨界点はここに尽きるのだろう。
「はぁはぁ、なんとか宵闇を逃れた、凌げた」
なんとなく、また外の世界が神ゲーっぽく思えてきた時頃。
「わたしは一杯助けられたな、この世界にも、わたしの内なる世界にも」
そこで思った、人生を最大限楽しみ尽くし満喫し、飽きた果てに辿り着いた世界、わたしの内なる世界。
他ならないわたしを助けてくれた世界ならば、みんなも助けれるはずだ。
凡人ばかりでゴミゴミしてて、うざったらしい世界だとは思っていた。
よし、ここはいっちょ、わたしが世界を啓蒙してやろう。
そうすれば、人類という存在的ゲーム要素の次元も上がって、世界を観測するわたしにも、見逃せないメリットがある。
「はっはっ、詰まらない、実に詰まらない、だがそれでこそ変え我意があるぅ!」
わたしは世界に絶望している、こんな世界はクソゲーだと常に思っている。
だけど、生きなくちゃいけない、簡単には死ねもしなければ無にもなれない。
だから、神ゲーに、できる限りそうする為にがんばっている。
わたしはやっぱり人間だから、そんなゲームに嵌らざるを得ない。
人間だもの、こればっかりはしょうがない領域の事象だと思って、諦める他に絶対にないのだと確信した。
人間である以上、心底から絶望する愚かしさも、心底から希望する賢さも、所詮は根本的に持てるようなものでない。
生理的な限界を迎えない限りは、わたしはこれからも、自殺もできなければ、神の領域にいたり、悟りきる事もできるとは思えない。
人生とは、やっぱり努力するか、堕落するか、死ぬかの、どれかのプレイスタイルしかありえない。
上を目指すか、現状維持以下で下に落ちるか、ストレスが溜まって自殺するか、だ。
ならば、わたしは、目の前にゲームがあるなら、どんなクソゲーでも神ゲーでも、至高のプレイヤーとして向き合いたいと思う。
それは当然ではないか?
目の前にゲームがあって、それをする以外に何も手はない。
だったら、リセットを押さずに、ずっと全力でプレイしていればいい。
人生というゲームは、極論まで突き詰めれば、見事に見極め切ることができる。
こういう簡単な話に纏められるほどに、シンプルで単純だったのかと、正直に驚く。
「さて、いま、わたしはゲームを叩き壊したくなるほどに、詰まらないと思ってるんだけど、、どうしたらいいかな?
ねえ、君の意見を聞かせてくれるかな?
もしかしたら、わたしはそれに従いたいって、思うかもしれないから、慎重に答えてね?」
わたしは、初めて、このような根源的な問いを、ゲーム内の登場人物に対して、ゲームの中の存在に語りかけたのだった。




