ブラックダイヤモンドを使った建造費5兆円の真のVIPだけが使用できるホテル(短編っぽい今風の題名かな?)
全てが終わった、その後の話し。
俺はツラツラと散歩していた。
麗らかな春日和、天気はまあまあの快晴、木漏れ日が周囲を覆っている、町の人々はいつも通り、俺は憂鬱。
いつも歩く、割と住み慣れた感のある、しかしまだまだ知らない所もママある我が住む町。
驚くべき発見、二頭身のゴリラがトレードマークの激安のスーパー、ホンキーコングという最近名前にメガがつくようになった店がある。
ぱっと見わからなかったが、海外線通りの駅前程度ではない、少し離れた幹線道路の横道に、ソレはあった。
ホンキーコングは俺の好みの雰囲気で、好きだったのだが、見た目が分かりづらいだろうコレは。
ホンキーコングが、外からモザイクアートのように見えるようになっていて、普通の店舗のようにぱっと見でソレと分からないのだ、ソレとはホンキーコングという意味な。
俺は入ろうか迷った、好きは好きなのだが、荒っぽい客層ゆえ、躊躇するのだ。
少し遠巻きに様子を伺いつつ、入ろうか入るまいか、うずうずしていると、ある事に気づく。
併設されている、ビル、デカいビルだ、が、なにかモノモノしい雰囲気なのだ。
「ちょっと、見てみるか」
しかし可笑しいな、ホンキーコングに併設されている施設、ホテルか?にしては、妙に豪華なのだ。
ギャップが凄まじい事になっている、、、な。
ホンキーコングから直接、裏口のようなから、場所から、そのホテル施設っぽい場所に入っている。
正面エントランス的なものは別にあるようだ。
とりまトイレでも借りるかと、立ち寄ると、妙にイカツイ兄さんが(ホテルのスタッフなのか不明)、やめることにする。
いつの間にか二階っぽい場所に居たようだ、ぜんぜんそんなつもりはなかったが、妙な構造だな。
上から見えるホンキーコングは、いつも通り、見慣れた店舗構造を晒している、吹き抜け風味の場所から眺めると。
それから、エントランスに行った、行くつもりはなかったが、彷徨っていると、自然と到達した、足が向いたのだ。
「これは、ちょっとヤバいな」
圧倒的な、場違い感、施設の豪華さ、重厚さ、スタッフの一人一人の質、なにもかもが遥かに上質で、各違い。
どうやら”ここは俺なんかが居てはいけない世界”、だったようである。
エントランス、正面玄関の重厚さは、とんでもない、遥かない歴史をさかのぼるような錯覚する想起させる。
スタッフ一人一人が熟練の職人のような、一騎当千の執事かなにかの貫禄がある。
一面を埋め尽くすタイルの一つ一つが光り輝き、一枚一枚に職人がそのすべての歳月を注いだかのような情熱が宿る。
とにかくだ、あまりに重厚、壮大、スケールが各違いどころでなく、遥かに数億桁以上で見通せないほど、各違いなのだ。
このような感覚は初めてだ、それもホンキーコングの併設されている施設がコレって、どう考えても可笑しいし。
「とりあえず、脱出しよう」
内心を極小声で呟きながら、引き返す、しかし俺の方向音痴で脱出できるわけもなく、来た道すら即座に忘れる。
興味のない事は覚えないを通り越して、瞬間的に記憶から忘れる、俺の無駄に俊敏でパッシブな特性が災いし過ぎる。
この生き詰まる閉鎖空間のような場所に、延々とグルグルとしていると、その女、少女は其処に、平然と存在している。
「存在していた、許したつもりはないが、、、レオミュール嬢」
「あら、、、そう」
なにか端末を弄る、絶世、表現は誇張でなく、世界を絶する、絶世という冠を俺が唯一与えた、そんな女だった奴。
5兆円ゲーム以来である。
俺の最愛の妹が、遺伝子の深部に眠る、深く複雑な構造性ガンのような、人間のアポトーシス的な病変で。
そんな最愛の桃色の妹を救うために、世界の深部プロジェクト、人間を超越する布石、遺伝子改変人類化計画の。
その根幹の方向性を、ただの”俺の妹の為”だけに、大きく変えるのに、必要だったのが、5兆円だったのだ。
そして俺はコイツと争った。
世界は今、二つの勢力に決定的に分かれている、地球と火星の根拠、本拠とするコロニー連合だ。
地球は全体主義体制、総力戦体制に移行する上で、すべての人間を限りなく長期的に、熱狂させ、信奉させる全体主義の指導者を求めた。
常に国民の支持率を仰ぎ、半永久的に、長期的に存続する”強い政府”その代表を求めた。
俺とコイツは、最高の芸術家、最高のカリスマ性を所持する人間として、争ったのだった。
俺は5兆円の為に、妹の為に、コイツは、おそらく、ただの己の悦楽を効率的に目指す為に、”その地位”を望んだ、のだろう。
「地球連合臨時軍の首席総帥、総統、主席元帥、宇宙軍、艦隊司令長官」
いくつかある、今の彼女の名称をそらんじて見る。
なにか端末を弄る作業が終わりでもしたか、奴は俺の方に完全に焦点を合わせたようだ。
「火星を根拠、本拠にするコロニー連合、VS、レオミュールのバックストーリー的な、、まあ役不足ね、下らないわ」
クルっと振り返り、こちらに無駄に長い足で、ツカツカとブーツで底上げされた高身長、女にしても上背だ、を近付けてくる。
無駄に挑発的な釣り目、言い過ぎればメスガキのような色香を纏う、接近されると露骨に跳ねる己の心臓が恨めしくなる。
「妹が特殊過ぎる病気で金が必要で、5兆とか?かかるとかで、桜時ちゃんだっけ?
そんなのような名前だったかしら?正味わすれて、よく覚えてないのだけどねッ。
至高の芸術家の貴方のお荷物、至極どうでもよかったわ」
死んだ、もうあのゲームが終わってからの話だ、個人的にはもう随分と前のような気がしていること。
「ああ、なるしかなかった、そしてお前、シャルロットに敗れた。
真の二番手みたいな、な、イメージでも良いかもな」
俺はその場に立ち尽くし、彼女を見つめる、彼女も俺を見つめる、なにも感情は湧いてこなかった、妹の仇のようなモンなのにな、不思議な事だと自分でも思う。
「生涯のライバルみたいな、私に、そのような感情を抱いているのかしらぁ?
芸術界における......みたいな?、イメージな、凜とか呼びだすか?クフッフ、貴方が用意できる最高の、坂崎凜を」
思えば、彼女もどこか遠くに行ったなと、そう思った、妹を無くして、スカスカになった俺に愛想尽かしたのだと思う。
周囲を見る、重厚な豪華さ、呪いのような豪華さ、吐き気すら催すみたいな、およそ戯言のシリーズだな、恨めしくなる。
「貴方の考えている事は、およそ把握できるのよね、”わたし”ほどになると。
たぶん、それは正解、だってこのホテルは、建造費が、貴方の妹を救うに足るだけの、金額に相当する、およそ5兆円。
世界でも数百人しかいない、存在しない真のVIPだけが使うに足る、その下の直属の手足を考慮し、勘案しても。
この施設を使うに足る人間なんて、数千と少し程度だわ、およそ人間がマトモに釣り合い存在するには、ここは少々値が張り過ぎるもの」
つらつらと回る舌である、俺に当てつける為だけに、こんな場所に、こんなモノを用意した、彼女の意図がそこから透けて見えてしまうというモノである、ただただ俺は”悪趣味な”と、ただただ彼女の捻じれた性根の醜悪さに吐き気を催すだけだった。
「そうであるか、まあ、人に、そんな価値があるわけがない。
でも、そのような幻想を操り、世界を騙すことができれば、それは明瞭に、現実に浮かび上がるほどの、価値になる。
貨幣という幻想が、世界を支配し、その本来の価値の何十、何千倍の価値を、信用創造するように。
妄想や空想を現実のものにする、それを俺は個人的に、奇術師、と、そう呼んでいる、そう呼んでいるのだけどね、、、」
レオミュールは、面白そうに俺を見つめながら、せせら笑うという感じが相応しくも微笑む、まるで少女みたいだと思った。
「だれかのセリフ、その頂点に突き抜けて存在する、まさしくお前の事だよ、レオミュール。
あれって私の勘違いや思い過ごし、自惚れのようなモノがないのなら、”愛の告白”そうメタファーを暗喩を内に盛大に秘めていると思ったけど、ちがう?」
「ちがう、失せろレオミュール」
俺は不機嫌になって、踵を返す、もちろん、この施設から脱出できるとも思ってない。
とにかく、不愉快にメスガキのような本性を晒しだした彼女から逃げる為、そして恥ずかしい昔のセリフを持ち出されて、いまにも噴火してしまいそうな羞恥心を雲散させる為、決してこんな顔を、内心を見透かされて、彼女に笑われたくないとか、思春期の童貞少年のよな初心な理由からではない、決してない。
「あら、やだ、逃げないでよ、昔のように、気儘に、気柄に...遊びましょうよ、なにか...そう、どんな下らない遊びでも良いのよ? わたしの遊び相手として相応に”役立つ”のは、世界広しといえども、アンタだけなのよ、ちょ、待ちなさいよ!」
初めはツカツカと、俺が尋常でなく、”能力を発動して”走ると、奴も焦ったのだろう、”全力”で走り出した。
しかし残念ながら、無駄にフリフリに着飾り、盛大に”オメカシ”した手前、動きが鈍ったのだろう。
誰に見せるのか知らんが、少しフリルが多すぎたみたいだな、過剰に動きすぎれば衣装が”壊れる”と危惧した奴の一瞬の躊躇が功を奏し、俺は奴からだけは逃げることに成功した、しかしまだ施設の中だ、ソレは変わらない。
「やあ、オスカー・ラブクラフト卿、久しいな、いつぶりくらいかな?」
通路を歩いていると、知っている旧知に遭遇する。
残念ながら名前は忘れてしまったが、久しいな、それ以外の全てを覚えているのだから、俺にとっての友人だと認識する。
某国の防衛大臣にして、とある高貴な人間のブレインとして、友人として、この世界に暗躍して存在している御方だったか、どうか、多分そんな感じ。
「君もあったようだね、彼女、世が世なら、その存在すら、決して世界に、人間社会に認められ得ない存在だ。
火星と対決する上で、そのドサクサで、まぎれて、裏で暗殺合戦もあった。
その果てに、”あの地位”っまで上り詰めたのだから、怖れいる」
「なにか、頼み事でも、あるのか_?」
友人の、長年の勘だ、言いたい事が真にあるのだろうと察し、俺の方から語り掛けた、久しぶりの感覚だ、友人など居ない俺の事だ。
「ああ、とりあえず場所を移そうか、ここでは周りが開けすぎている、どこに目となり耳になるモノがあるか分からない」
俺は彼についていき、通路の先にあった、他と比較しても豪奢な扉に招き入れられる。
コトコト、風雅な香りだ、俺の感覚を揺り動かすだけで、値千金以上、この世界の市場価格で数千万の品だろう。
それを嗜むというだけで、どれだけ、この場の歪さを露骨に表現しえる。
発展途上国の人間をどれだけ搾取すれば、このような嗜好品に、それだけの金を投下できるのか、不明だが。
まあ他人の稼いだ、搾取した金だ、もう奪われたしまったモノに思いを馳せるほど、俺も暇ではないし、友人の歓待、贈り物としても無碍にするには余りある、頂いている。
「さて、一息ついたところで、本題に移りたいのだが?」
「答えはイエス、話を聞こうじゃないか」
妙に乗り気だ、こういう時は俺の勘が冴えわたっている時だ。
およそ世界に己を位置させる時は、今までの感覚がモノを言う、調子が良い時は状況に身を任せるのも良いものだ。
「いま、実質の地球連合の盟主、首相じゃない、あんな口髭が偉そうなだけの、オールバック禿げクソジジイ老害は、なんの役にも立たない、、、立たなかった。
あの、たった一人の、至高の芸術家、本当にただの芸術家だ、それ以上でもそれ以下でもない、レオミュールだ」
俺が彼女に会った時に言った肩書は、なにも嘘でも誇張でもない、彼女は実権を所有する独裁者なのだ。
でも、それがただの傀儡か、真に権力を意のままにできるようなタイプかは定かではなかったのだが、、、。
「率直に言おう、彼女に対する暗殺計画がある。
実は、人知も想像も超える、遺伝子改変人類が登場する前から。
同レベルの、同レベルを尽き果てた、世界にただ一人のみ、いるみたいなレベルの人間だった。
それで想像を超えるような、失敗をするようなわけにはいかない。
君の言う、”描く”物語において、レオミュール暗殺に手を貸すような流れにしても面白そうではないか?」
俺は今の気持ちを諳んじる、空想演算楽器を使って、外の景色を見つめながら、シリアルナンバー、”タクト”を振る。
「日常の延長線上に、バグって遭遇するように。
隠れて明転、明天、隠れた感じに存在する、ホンキーコングの隣に。
上記、上述のようなモノが存在し、迷い込んでは。」
レオミュールに監視されている、、、これは再戦、大いなる巨大な意思で、未来を読みきる戦いだ。
知っている人間なら知っている、意志の巨大さ、その強大さで、未来を強引に己の思い描くを、引き寄せられるということをな、その戦いに敗れて、また遊んであげようレオミュール、お前の命を賭けるという点だけ、あの時とは違う。
そうか俺はお前を憎んでいたんだな。
通されて、このような施設、俺が迷いこんでも、通されるには奴の許可がいただろう。
そんなに俺と遊びたいのかよ、愛しいメスガキのような女、レオミュールよ。
俺には彼女の気高すぎる望みも一片も分からない、それだけの局所的に突き放されたレベルの、格の違いを感じるから。
それでも、彼女の中に通されて、邂逅して、遊んで、なんかして、情に絆された感、少なくとも俺は俺をそう分析している。
「人類蒸発、気に入られて、歩きながら空想演算して、自分も噛んで、妹もガンで、トチ狂って、そういう邂逅劇を、会ってもよいか」
場面が変わる、俺の”空想演算”、そしてシリアルナンバー、世界樹、系統樹の”領域”における”神域”の兵器。
その合わせ技による、世界の根幹の法則を改竄し、改良し、世界が修正力を行使し、全てを”修復”するまで。
延々と俺の作ったバグ、エラー世界が、まさしく現実と化す、超常の、世界超越系の能力、世界系の物語の主人公のようなのが俺なのだ。
そこは学校だった、なにかシナリオが始まったのだろう、記憶は勝手に流れ込む。
校庭に、三人、俺とレオミュールと、俺の友人のような、格好は黒づくめ。
このシチュエーションで、俺がレオミュールを殺せば勝ちだ、この現実でも死ねば死ぬ、そういう設定のルールでゲームだ。
「それでどうするの? あの女を始末するの?するならするで、早くして頂戴、殺すだけならいつでも、簡単に、”私なら”造作もなく、できるのだから」
尊大な、何時ものような口調、自分が操られている事も知らなそうな、そんな口調だな。
ワンチャン、コイツほどの超感覚なら、異変に気付くルートも多分にある、前はそうだった。
だが、今回は違うパターンらしいな、と気づき内心で嘲笑しながら仮面舞踏会、マスカレイドのマスクを、嘲笑でずり上がりかけた””ソレ”を被りなおす。
「諜報はわたくし達の得意とするところ、レオミュール嬢は、好機が来るまで刃を研いでいてくだされば結構ですよ」
とか言いながら、背後ではレオミュールと権力争いに白刃を削ってるだろう、狸な有人の姿にも笑いが出かける。
「とにかくだ、俺からお前らに言える事は、すこし待て、勝手に動くな、ただそれだけだな」
俺も、妹が死ぬ前の、地球連合に5兆円ゲームをしかける前の、あの状況を作る、策謀を、この三人でしていた頃の、ような、ある意味で虚しい虚勢で、意気揚々だった頃を思い出して、演じる、ただ”演じる”。
地球連合の首都で、首相の娘だった、一番手強かったクソ女が、両隣に黒服を携えて、こちらに向かってくる。
首都で最も在校生の多い、名門校、実質、軍学校に各界のエリートを強引に送り込むために設立されたような場所。
その内部は腐っていて、要求に応じなければ御つきの執事ともども忙殺されるような場所である、いじめとかいうレベルじゃないが、そのような不正を隠蔽するには学校という場は最適だったのだろう。
そのような水面下での、最前線の手練手管を統括し、推進していたのが、地球連合、傀儡の首相の一人娘だったというのは、なんとか皮肉か、策謀家のクソ女の顔が見えてきた辺りで、思考を止める。
「ようこそ、我が学園へ」
一言目でスキップ、俺は”空想演算術”を使う、、、使った。
つまり、時間を巻き戻す、この策謀家の悪い所は、勝った時に、顔に出すところだと思う、
某「まだ笑うな、堪えるんだ」で有名な、デスいノートの主人公を見習ってほしいモノだ、本当に。
「つまり、なにかしら不手際があって、負けた、ということだな」
静止した世界で、時間を弄る、俺の上方右斜め上に、時計がある、面倒だが、このようなUI設計は俺の一存では変えられない、いちいちソレを手で動かす。
さらに、手動で、目の前のクソ女、策謀家の女の肩辺りを引っ張って、もっと元の位置、正門入り口まで引っ張り戻す、ついでに黒服二人も。
本当なら、どうせなら、俺に対して勝ちを気取った、その憎らしい顔ごと、好き放題飽きるまでボコボコにブチのめしたい所だが、それをするとバレるのでしない、意志力を振り絞って我慢する。
「さて、どこでバレた?」
計画は、順調だ、記憶を洗っても、隙はない。
「ならば、裏切りか」
こういう時に一番怪しいのはレオミュールだ、一人で何でもできるからだ。
裏切るのに組織という枷がある我が友人は、裏切るとかいう行為に適さない、個人の一存で大胆に動けるレオミュールの方が遥かに、この場合は疑わしいのだ。
「とりあえず、殴っておくか」
俺はレオミュールの、麗しく、男ならば誰もが見惚れる尊顔に、容赦のない右ストレートを叩きこもうとした。
当たれば、確実に某ド〇えもんの乱暴者がの〇太の顔面にしたように、PTAから苦情が殺到するような、顔面陥没クラスの、言っちゃえば鼻辺りが骨が折れるくらいの威力に抑えてパンチした、もちろん本気でやれば頭蓋骨が陥没する。
「なにすんのよッーお?」
それをレオミュールは、意志力を消費する事で、避けた。
この停止時空、ある一定以上の意志力があれば動けることは知っていたが、実際にやられると驚くな、、、というところで。
「お前か? 裏切ったのは?」
「ちがうわよぉッ!!!」
言い方からして、ガチらしい、本心というのは操る人間が本気で言った場合に限り、信憑性が突き抜ける、コイツの場合がまさらにソレ、馬鹿は嘘を付けないと道理は似ている。
「ち、時間切れか」
時計が回りだす。
しかし、なにも変わらないようでいて、なにもかも変わった可能性がある。
位置はさきほど動かした物理現象だけ変わり、時間軸だけが横滑りしてスライドした形だ。
だが、なぜか全ての事象にランダムな変動が確認されるのが、この場合は存在しうるのだ、詳細は不明。
「そして、レオミュール、お前は裏切ったな?」
さきほど本心から裏切ってないと言った。
だが一瞬後、コイツの表情は嘘を言った、となった、表情で分かるのだ。
本心を言った反動だ、馬鹿は嘘を付けない道理と似ていると言ったが。
コイツの己の高貴さを確信するのが、馬鹿と表裏一体のようなもので、嘘をつかないと言ったが。
たぶん、一瞬後の世界改変時に、ウソを言ったことに、現実が改変された、つまりはそういうこと。
前の世界で、誰が裏切ったのか不明だったが、この世界では、”コイツが裏切った”、という事実を俺が読み切った、というわけだ。
「とりあえず死ねよ」
俺は事前に連絡してある、俺が指を鳴らす動作。
それを地球連合の秘密部隊の衛星軌道上の衛星兵器、それに内蔵されているAIミネルヴァが感知し、目標に照射する。
この場合、事後処理が大変だが、実際にコイツは裏切っている、つまりこの場で殺してしまっても、後々に責任が俺に追及される心配はないのだ。
「ちぃ!!!」
稲妻のような衛星照射、超凝縮パルスレーザー砲の嵐を、奴は生身でケダモノ染みた動きでかわしている。
「駄目だな、仕留めきれない、、、次」
俺はまた”タクト”を召喚、時間稼ぎをしている内に、次の世界の召喚、空想演算術を開始する。
なぜなら、次の次の瞬間には、体勢を立てなおした、生身で戦争兵器を相手取る化け物に制圧されてしまうからね。
また、学校、、、だった、つか戻り過ぎ。
2月も半場だし、俺が学校に潜入し、工作し、この学校の暗部を暴き、弱みを握る所からスタートか?ふ・ざ・け・ろ・だ。
またレオミュールと、あの策謀家のクソ女と、ラブコメして、信用や情を利用して、成り上がるような、俺の物語を、また再現しろってか?
マジでふざけてる!
しかし、やるしかない、タクトを使った空想演算術は、一定の負荷がかかる、確実に精神力を消費する。
限りなく限りあるリソースを節約するために、俺はラブコメ思考に埋没する、没入する。
そう、レオミュールと坂崎連理、あの策謀家の名前だ、を攻略するのは、適性があるとはいえ、難しい難事業なのだから。




