海の見える海外線の町-世界のネタバラシをされ異世界転生しても特に変わらない男の話
事故にあった、目覚めたら、この場にいた。
此処、特に名前などに意味を感じないので省略するが、海の見える海岸線の町、割と雰囲気があって俺は好きだ、に俺はいた。
「はあー、別にやる事が、なにもない、ってそりゃそうなんだろうな」
このように、独り言をぶつぶつ呟いて、最近は過ごすことが多い。
どうやらこの世界、ネットの世界もスマホもゲームもアニメも、オタク系の事は皆無で。
根っからの陰キャ・出不精の俺の事、この世界に来て完全にやる気をなくしてしまったまである、のだ。
「本でもありゃ良いんだが、マトモな本すらないとねー」
とか言いながら、ページをまくる。
21世紀のライトノベル文化を堪能しまくった俺としては、このような100年前の英語文学を彷彿とさせる、この内容はちとばかし退屈か。
というより、タイトルだけで1ページ分になるような、自然言語AIによって小説が書かれるようになり、なにか一線超えた摩訶不思議な感じに変貌した、神々の黄昏の遊戯のような、非常に高度な小説を読み過ぎた弊害か。
率直に言って、俺の頭は割と”可笑しい”からな。
「まあ、偶には外にも出る」
転生してから、二カ月少々。
状況などは”親”に当たる両親から、多少は聞いた、他にも世界のネタバラシを行える立場にいる”神域”と呼ばれる、偶に会えるらしい人からも多少は聞いた。
が、ぶっちゃけよく分からん現状、この良く分からない世界の、特に外は怖いのだが、退屈ならしょうがない、外に出る。
「特に、此処が凄いんだよなあ」
完全に記憶した場所以外は、絶対に行かない、だって迷子になるからな、迷子になるのは凄く怖い事だ。
さて。
目の前には、遥か向こうにまで続く、16車線くらいは構成できそうな、巨大な”空洞”がある。
その空洞は割と開けていて、先進的でメタリックな色彩が多め、明け透けに言えば”要塞”のような趣がある。
さらにトンデモないのは、そこかしこに、像くらいの大きさの兵器、通称”波動砲”、オート波動砲が設置されまくっている点。
「あー、神域のねーちゃんの事おもいだした、はー、あのスライム乳、もみしだきたかったなあぁー、、、なんちゃって」
失言を適当に取り繕い、開けた場所なので、背後に件の人物が突然「こんにちわ」する心配もないのに、割と小心者の俺らしい。
そのねーちゃんに教わった、この町の案内時に聞いた情報によると。
この町の南側の領域は、あまりにレベルが高すぎる、イメージ的にはハンターの暗黒大陸のようになってるとか、なんとか。
神でありゲームマスターであり、監視者・監督者っぽい人達が、両親も設計・製作に関わってるらしい、作った驚くべき機構だとかね。
「これもルーチンワークだ、さて始めようか」
家に帰る、俺はノートとペンを執る、前の世界ではパソコンでキーボードを叩いていた身分としては、凄まじく非効率で不便、前時代的なのだった。
適当に雰囲気のでる独り言が止まらない、そういうの出さないと狂いそうになるのが最近の悩みだ。
元の世界で四六時中、配信者とか呼ばれる生き物を見ていたので、TVは見てなかったが割と深刻な中毒だったと今では未了に分かろうというもの。
「裏観測者の世界を作り込む、迫真リアリティーを少しでも、現実感、信じたい、信仰力、を少しでも高めると、、、」
俺は前の世界からの話だが、よく、夢を見る。
それも明晰夢としか思えん、リアルと変わらない解像度の、とにかく高解像度の、可笑しな夢、ヘンテコな夢を。
「俺にとって、この手の世界観、超越的な世界は、真に真意、神意を感じるのだ。
著しい時、苦しい時に、激痛爆発状態(ホントに苦しい時を俺はこう表現する事にしている)
で、真に役に立つのでな」
コツコツと自分が信じたくなるような、そんな世界を自分の中だけでも、心の心象風景の中だけでも、作り上げるのが重要だと感じる。
例えばそれは、魅力的な邪気眼中二病世界観のように、ようなモノでも、本当にどんな荒唐無稽なものでも。
少なくとも、その作った本人、自分が信じたいと心底から信じれる類のモノならば、コツコツでも作り込むに値する。
「世界の解像度や情報量を上げたり、自分が信仰したくなるような、神々の世界のような、聖書のように、うまく。
そう、自己暗示、催眠暗示、などなど、ヒプノシス系統でも駆使して行使してもいいから、とにかく作り込むのが重要か、も」
俺は俺の全人生中で、常に思い描いていた、理想の世界に、今いると思う。
だが、まだ足りない、理想を叶えれば、もっともっとと、果てしない上位の世界を人は望み願うのだと思う。
その後、適当に今日見た、間近で見た件の波動砲、オート波動砲が、のことを日記のように書き綴るような文章を書き。
あの、うじゃうじゃ感というか、設置されているエリアがある事。
ゲームマスター、神がつくった建造物である略歴含めた情報。
普通にしてたら、あまりにも巨大な、暗黒大陸のような怪物が、頻繁に街を滅ぼしてしまうので、などなど。
そして南の外側は、まあそういう風になっている、とかの設定を書いた、そこで筆を置いたのだった。
「とにかく、暇だ、外に出よう、息苦しく、退屈で、死んでしまいそう」
そんな風に、人生を浪費しているのに飽きたのか、冒険をしようと思った。
そして現在。
「道に迷う、完璧に、割と強めに覚えたつもりだけど、割と道に迷って、迷い、後になる」
スマホとか、異世界転生要素でも、割と持ってても良いと思う、こういう欲しい場面になると特にそう思う。
俺は思うのだが、ここで、こういうところで、読者諸氏に親近感やら、身近感を持てるように。
上手く作用させるギミック要素、つまり現代でも身近にあるアイテムであるスマホはあっていいと思うのだ。
「誰に言っているかも特にないが、知らんが、確かライトノベルで異世界転生してもスマホを持ってるようなネタの話があったような気がする」
そう気もしたのだ、ただそれだけ、何の解決にもつながらない思考しかできない自分に、ちょっとガッカリというか落胆。
迷子になった嫌気もあいまって、ちょっとばかし欝が入りかけている自分を自覚的なだけ、このパターンはマシな方。
本当にアレなら錯乱して発狂している、キチゲ解放モードじゃないだけ、俺にとってはマシな現状だと。
素晴らしく的を得た現状認識によって、いろいろ有耶無耶に上書きしようと、全力で俺は頑張って思考を展開している、今ここだ、、、って感じ、、、。
「道に迷っているの?」
「ああ、いいから、迷って困る、地図が必要とか、前時代的で明治大正恋模様みたいな、現代にはなくなった世界観重視で」
そこで出会う、例の妖怪のような少女
俺の両親の働いている出先機関、とかいう良く分からない主人公の独自ワードだが、特に説明をせずに語られる。
その重役の一人娘、この町を監督する、波動砲とも関係をにおわせる、神の使徒、たぶん観測者の関係に連なる眷属。
「あの、ついて、、、憑いて来ないでくれませんか?」
で、その娘にロックオンされて、なぜか異様に瞳をルンルンと、キラキラさせている、危なげな少女に付けられている、今ここ、このワード今日は二度目だな、とか日常の些細な思考の癖すら気になる、神経質になっている兆候だな、これは割と色々な意味で危ない、俺の俺をずっと見てきた経験上の話しな。
和風建築のわりとデカい城のような自宅に、両親はめったに帰還しない。
「ああ、こういうところで”帰還”とか言って、色々とにおわせると、面白い。
トリアージみたいな救済、救世機関サンクチュアリのような感じ、例のアレ、アレアレ、それだな、、、」
その自宅の、押し入れに隠れた、あの神出鬼没な少女のことだ、今も”あの目”で俺を見ているのは間違いなく。
一ヶ月ほど見なくなって、全力でその存在を忘れようとした、現に今日は一度も俺の脳内思考に登場しなかった。
仮に、この今日が小説化されて、その文章を見て見れば、絶対にあの少女のことは描写されていないだろうと断言できる。
「みたいな奴でも良いか?」
俺お得意の、思考に埋没して、没頭して、周囲の音すら聞こえなくなる特殊能力。
それを使って、ずっと無視していたのだが、どうやら限界がきたようだ。
というより、一緒に既に押し入れに入られている、息苦しい、少女の甘ったるい匂いも色々と具合が悪い、俺は外に出る。
「初めまして、こんちにわ」
意味が分からないセリフ、はじめましてじゃない、こんにちわ、じゃない、もう深夜も零時を過ぎているだろう。
明瞭に見た目からして、ヤバい、変な角まで生えてるしな。
決して人間にはありえない、きめ細か過ぎる、透き通るよな、言っちゃえば化け物染みた白い肌、透明な存在感。
この少女を構成するなにもかもが、明瞭すぎる程、常軌を逸しているのが、露骨に丸わかりなのだった。
話して、関わっていると、サンチが急激に上昇して、発狂しそうになるのだった。
これは言葉にしても伝わらないと絶対に思う、等身大の、この少女の存在感の強大さについては、コズミックホラー的な描写不可能の領域に値するので、酷く言語化できない、不可能領域に存在する、そう、そんな深淵のような少女の形をした”ナニか”なのだ、とっ思う、、、。
「可愛い妖怪少女、ちっちゃくて、純粋無垢で壊さない、幼いけど、低身長だけど、グラマラスでロリ巨にゅうで、、、」
居間の、とりあえず偉い人の娘だ、諦めて茶でも出そうとか、キッチンに立つと、不可思議な鳴き声と共に、首に纏わりついてきた。
もちろん、本人申告のロリ巨乳、それがムチュムチュと背中にタプタプと辺り、少女と同じ、まとわりついてくるように、蠢く。
「あー、正直に言おう、お前はねーちゃんほどじゃないが、色々と我慢できなくさせる女の子でヤバい感じがヤバい」
精神力が限界を迎える、あの、例のねーちゃんのスライム乳ほどじゃないだろうが。
もちろん童貞で、この今うしろにある乳以外に当然知らんが、男を駄目にするモノが、この世には確かにあるのだと、この世の宇宙の真理にも比肩するだろう、壮大な神秘を実感中なのだった。
「でも神の使途の、かなり偉い重役の一人娘で、手を出すわけには絶対にいけない、両親にも悪い、迷惑をかける、、、」
「大丈夫だよ、ダイジョブうだよ、いーこいーこ」
歯抜け萌え声のような、どこから声を出しているのか、明瞭に不明だ、耳を打つ、耳朶を打つ言葉が体に溶け込むような不思議な音色なのだ。
思い出すのは、萌え声配信者が歯抜け萌え声は、舌を出して、それを上唇に当てながら話すとか言っていた、もちろんそんな事はしていない少女だった。
「そもそも、良く分からないコズミックホラー的な存在、今ここで真の真空を作り出してビッククランチを生み出したら」
「信用する?」
俺の良く分からない言葉、セリフに、意図を完全に理解しているとしか、思えん、ノンタイムで返された。
俺の電波な返しで、主導権を強引に取り戻そうとした、その意図を意趣返しするような形だった。
というか、その見た目、その知能低そうな見た目、話し方、存在感、全てを覆すような、俊敏さのようなモノが凄く怖かった。
酷く敏く、人間の知を凌駕してそうな、俺はそういうのに弱い、劣等感とでもいうのか、全てを飲み込む”アレ”を既に知ってしまっているからか、、、それとも果たして、、、○○○○を思い出すカラカ、それはどうか、分からないで、分からないのだが。
「、、、とかいって、そんなことをしたら大変な事になる、宇宙が崩壊して、潰れちゃうよ!とか主人公がいって」
「大丈夫」
そうだなー、とおちゃらけて、お茶目に笑い飛ばそうとした、タイミングで、絶妙に入る合いの手。
同時にこれもまた絶妙なタイミングで、背中に当たる二つのふくらみが、むぎゅーとさらに押しつぶされるような勢いで押し当てられる同時攻撃で、一瞬息も止まり、一瞬間、心臓も止まりそうになった、いや実際にとまってたかもわからん。
「力技で逆に押しつぶせるから、とか言って、驚愕させるような、一幕も、まあ、あり、かな?」
背後を振り向くと、そこには、まるでビックバンの前兆のような、輝ける七色の空間を手に平に携える少女がいた。
さて基本、”虚空”と”妖精”の世界観とを、複雑にミックス、そしてリンクさせる、翼にまつわる物語を主軸にした。
それは歴史小説のような趣だった、俺の本筋とするべき”世界”でなく、主軸を”物語”にした。
そんな大きなウェイト、占めるべき大勢は物語の歴史、その推移と過程、クロニクル的な、人間、個人がヤバいスペックを持つって、そんな設定規模の時空でも、、、これは見た事がない、いや”無かった”。




